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エメラルド・アイ ~サイボーグ少女の復讐劇  作者: mf
第一章 女子高生連続失踪事件
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8 いじめ

「よぉ、黒川、金、持ってきたかよ」


  同じ頃、桜華高校の体育館の裏では、一人の女子生徒が六人のいじめグループの女子生徒たちに囲まれていた。


「わたし、お小遣い少ないから、お金なんて……」

  女子生徒――黒川久美(くろかわ くみ)が弱々しい声で言った。


「何だと、てめえ、ひっぱたかれてえのか」

  いじめグループの一人が久美の胸ぐらをつかんだ。


「許して下さい。本当にお金、ないんです」


「ざけんなっ!!」


  いじめグループの生徒が久美の頬をひっぱたいた。


 久美は熱くなった頬を押さえ、目を潤ませた。


「金がなきゃ、親の金、盗んでくりゃいいだろ」

いじめグループの生徒が脅しを利かせた声で言った。


「そんなことできません」


「できねえだと、こら、おめえ、痛い目にあいてえのかよ」


女子生徒が久美の頬を軽く二、三度叩いた。


「そんな……わたし、お金以外のことなら何でもしますから」

久美は怯えた様子で言った。


「へえ、何でもするってさ。どうする?」


  いじめグループの生徒たちはこそこそと話し合った。

  久美はその様子を不安げに見守っている。


  少しして相談が終わり、生徒たちが久美の方を向いた。


「何でもするんだな」


「はい……」


「だったら、ここで裸になれ」


「え?」


「裸になるんだよ。そんで犬みたいに四つん這いになって、三べん回ってワンと鳴きな」


「そ、そんな……」

  久美の顔が真っ青になった。


「そしたら、今日は許してやるよ」


「そんな恥ずかしいこと、わたし……」


「何だ、できねえって言うのか。さっき、何でもするって言っただろ」


「でも……」


「でも、何だよ」

  女子生徒が剃刀を久美の前にちらつかせた。「あんまりわがまま言ってると、そのほっぺたに二度と消えない傷が付くぜ」


「……」


「どうなんだ、やるのかやらねえのか」


  生徒は剃刀の刃を久美の頬にあてた。


「わかりました。やります」

  久美は顔をこわばらせながら、言った。


「やりますじゃねえ、やらせていただきますだろ」


「や、やらせていただきます」

 久美の声は涙声になっていた。


「よし、やれ。さっさとやらねえともっとすげえことやらすぞ」

  女子生徒はドスの利いた声で言った。


  久美はぶるぶると震えながら、制服のボタンに手をかけた。


  どうしよう。


  久美は不安のあまり胸が苦しくなった。


  黒川久美。高校一年生。

  内向的でおとなしく、弱気な性格のため、入学早々からクラスの女子生徒たちのいじめの標的にされた。

  学校内には友達は一人もいない。一人っ子の上、両親も共働きで、いじめの相談をすることもできなかった。


  既にいじめは三ヶ月近く続き、自分の貯金や小遣い、CDから洋服に至るまでほとんどいじめグループの女子生徒たちに持っていかれてしまった。


「わたし、できません……」


  久美はワイシャツのボタンを二つ外したところで、泣き出した。


「できねえだと。わがまま言ってんじゃねえ。脱げないならあたいたちがやってやるよ」


  女子生徒が久美のワイシャツを鷲掴みにして一気に引き裂いた。


「きゃあああ」


  久美は顔を覆って、座り込む。


「悲鳴上げたって無駄なんだよ、こんなとこ、誰も来やしねえからな。さあ、裸になれ」


  女子生徒たちは久美を集団で蹴り始めた。


「お願いです、やめて下さい」


  久美の悲痛な声も女子生徒たちには届かなかった。

  久美は完全にサンドバッグと化している。


「そこまでにしておくのね」


  その時、どこからか女の声がした。


  女子生徒たちが久美への攻撃をやめ、周囲を見回す。


「何だ、今の声?」


「誰だ」


  女子生徒たちはお互い顔を見合わせた。


「どこを見ているの、ここよ」

  再び女の声。


「畜生、どこにいやがる、出てこい」


  女子生徒たちはキョロキョロ見回しながら、喚き散らした。


「木の上よ」


  女子生徒たちが木の上を見る。

  高い木の枝の上には桜華高校の制服を着た一人の少女が立っていた。


「何だ、てめえは!」

  女子生徒が少女を見上げて、言った。


「私の名はアクア・アイ」

  少女は木から飛び降り、地上に降り立った。


「けっ、頭いかれてんじゃねえの」


  女子生徒たちはニヤニヤ笑いながらも、木刀やチェーンを手にした。


「こうなったら、あいつを裸にしちまおうぜ」


「そうだな」


  女子生徒たちが少女に襲いかかった。


  しかし、少女は七、八メートルジャンプして、襲いかかる女子生徒たちを飛び越し、彼女たちの背後に降り立った。


「サイバー・ホイップ!」


  少女の右手首から金属色の長い鞭が現れた。少女が鞭を振るうと、女子生徒たちの内の二人に巻き付いた。


「ライトニング・ボルト」


  少女の言葉で、鞭に電流が走った。


「ぎゃああっ」


  二人の女子生徒たちが悲鳴を上げて、気を失った。


「こいつ、おかしな武器、持ってるぜ」


「ひるむな、一斉にかかれ」


  残った四人の女子生徒たちが木刀を振りかざして、再び少女に襲いかかる。


「ハンドガン!」


 少女が左掌を女子生徒たちに向けた。掌から銃の先端が飛び出す。

 銃口から無音の弾丸が乱射された。


「うああっ」


  女子生徒たちが次々に吹っ飛ばされ、倒れる。

  一瞬にして、女子生徒はリーダー格の一人だけになってしまった。


「てめえ、飛び道具なんて卑怯だぞ」


「それなら、素手でもいいわよ」

 少女は鞭と銃を内部に納めた。


「行くぜ」


  女子生徒が木刀で少女に襲いかかる。

  だが、少女は女子生徒の振り回す木刀を紙一重でかわしてしまう。


「くそぉ」


  女子生徒は木刀を振り回すのに疲れて、呼吸を乱した。


「レベルが低いのよ、あなたは」


 少女の瞳が水色に変わった。


「な、なんなんだ」


「さようなら」


 少女は懇親の拳を女子生徒の顔面に叩き込んだ。

 少女の拳が女子生徒の顔に半分以上めり込んだ。少女が手を引き抜くと、女子生徒は荷物のようにその場に崩れた。


「よかったわね」


  少女は久美のところへ歩み寄った。


「いや、来ないで」

  久美は怯えた表情で言った。


「心配しなくていいわ。あなたは選ばれた人間なの、我々の仲間となるべきね」

 少女はそう言うと、水色の瞳を光らせた。


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