表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生ガチャ~悪役令嬢の後日譚  作者: 帆船
第三章:国難
27/33

【国葬】

 こうして当日の午後には宰相から先王陛下崩御が発表された。

 私はいったん屋敷に戻ると女神の魔力をたっぷり注いだ飼い葉を赤兎馬に食わせてベグに預けた。リミッター解除した赤兎馬なら王都からホイールに行って父上に手紙を渡し、そこからシャフト経由でアクシオ侯爵領を抜けてレクサス公に手紙を届けても夕方には戻ってこられる。

 なお、父上宛てとレクサス公宛てでは手紙の内容が若干異なる。文面を考えてくれたのは宰相だ。


夜になって王都屋敷に帰ると鈴木さんと中村さんの三人で異世界人会議だ。


「で、女神リザの信仰心って大丈夫なの?」

「今のところ問題ないと思う」

「しばらくはエナドリ飼い葉は私が引き受けるわ。ヒロインの魔力は影響受けないだろうから」

「羨ましいね。こっちは信者の信仰心で力が増減するのにさ」

「その代わり成長もしないんだけどね」

「それで手を下したのはあの元王子なんでしょ?でカヅチと合流したって?」

「うん、龍神が言うにはね。お天道様が見てたって。あと夕方にはアフラ教国に入ったっぽい。あっちは教国とは名ばかりの魔の巣窟になってるってさ」

「う~ん。その龍神ってやっぱりゲームシナリオも出てくるヤツじゃないかなあ」

「そなの?私、そんなシナリオやってないけど」

「あー、中村さん途中離脱組だっけ?隠しルートの特殊シナリオでヒロインが竜を調伏するシナリオがあったんだよね。この世界って色々シナリオが狂ってるし、エリザベスが半分ヒロイン役にもなってるから、女神リザと龍神の盟約ってのはシナリオの修正版に当たるんじゃないかと思うんだ」


 あの火竜も、この世界の埒外の存在って事?


「そうなるね。だって田中さんの事をレッドムーンって呼んだんでしょ?それってどう考えても運営が設定してるでしょ。検証するなら私の事をシルバームーンって呼んだら確定だね」

「この世界の埒外の存在って?私その話聞いてない」


 ああ、クララが産まれるより前の話か。私の女神化って。鈴木さんがザックリと説明してくれた。


「だったらハニャスやトーケ、それに今回の元凶である元王子やカヅチも埒外の存在って事になるよね?最終的にはゲームのネームドキャラの戦いみたいになるんじゃない?」

「それはありそうねえ。だったらハニトーも王都に呼びつけたほうがよさげ」

「ねえ鈴木さん、ちなみにクララは?」


 中村さんの問いに思わず鈴木さんが黙り込む。


「判断が難しいねえソレ。エリザベスルートでは月下の告白のスチルの後、二人の間に子どもができたってモノローグで終わるから」

「半モブみたいなもんかあ」


 まあいいよ。中村さんはアフターストーリー楽しみに来たんでしょ?困った時に事典貸してくれるだけですごくありがたいから。



 翌日は申し訳ないけどまたベグに走り回ってもらう。ハニャス、トーケ、ナツヒの三人を王都に呼び出すために手紙を届けてもらったんだけど、トーケ先輩を後ろに乗せて帰ってきてくれた。


「こんな体験、二度としたくないね。アンニャロー」


 顔色が真っ青だ。そりゃベグが駆る赤兎馬は新幹線並みのスピードだからね。夕方にはハニャス先輩がナツヒ先輩を乗せて到着した。カスミ教にもエナドリ飼い葉を解禁してもいいかもしれないねえ。ナツヒ先輩は仕組みを知ってるはずだけど律儀に知らないふりしてる節があるし。

 旧教会のヤラカシがあるから必要以上に王宮を刺激しないようにしてる感じ。


 そんな彼らにも元王子とカヅチの狼藉を伝えて協力を要請する。ハニャス先輩とトーケ先輩はこの世界では私の配下扱いなんだけど、これはこの世界の埒外の乙ゲーの話だからね。本人たちには言えないけど。


 まず独自に動いてくれる事になったのはナツヒ先輩で、王都の神殿に行って信者たちを落ち着かせてくれた。それと共に聖都に連絡を入れてカスミ教の重鎮たちを各地に派遣して民衆のケアをしてくれる事になった。事前に宰相たちと考えたシナリオに合わせて『先王の死を察した女神の悲しみ』という説明をしてくれるそうだ。

 ハニャス先輩は魔道騎士団に連絡して、街道にある女神像を全て調査してくれる事になった。トーケ先輩はシフトの職人組合に連絡して女神像の大量生産。ここにはマサラだけでなくカルダも協力してくれた。おかげで民の間に恐慌が起こる可能性はだいぶ減らせた。


 それはそれとして葬儀を行わなくちゃいけない。だけど私にはこの世界の葬儀なんて分からない。ゲーム内でもそんなイベントはなかったらしく鈴木さんや中村さんも知らない。なんでこの世界の風習に合わせればいいんだけど。


 喪主は王太后陛下で実質的には宰相が取り仕切る。宰相も苦労人だね。それからこの世界では喪中という概念がない。正確には旧教会にはなかった。そこでナツヒ先輩にも相談した結果、可能ならば古代『霞』王朝の風習を復活させたいと思ってるそうだ。

 というワケで『霞』に連なる古い家といえばリーナ伯爵家。私から協力要請の手紙を書いてナツヒ先輩にリーナ領まで赴いてもらった。何しろ私は今、王都から動きづらい。結果としては『葬儀が行なわれるまでは喪に服し華美な催しはおこなわない』程度に落ち着いた。ただ先王陛下ともなると崩御の発表から葬儀まで約一か月はかかるんで、その間が実質的な喪中期間になる。


 政治と宗教の一線をキッチリと引いてるナツヒ先輩だけど死者の葬送となると宗教の出番だ。ナツヒ先輩は葬儀の方法も可能な限り古代王朝時代のものを復活させる方針でリーナ伯爵ほか、王家からも資料を借りていた。


 一つ困ったのが料理だそうで、これが全く分からないという。旧教会でも特に決まりはなかったそうだ。そういう時は中村さんの事典の出番。精進料理をドーバに見せて再現してもらった。メインは鮮魚と野菜だね。


 色々と手探りだったけど、ようやく先王陛下の葬儀が終わって日常が戻ってきた。あの人懐っこいイケオジの顔は今でも忘れられない。あの人が私に託してくれたものは守らなきゃね。



 葬儀が終わっても、国政の体制構築の他に私にはアレックス公爵領の再建っていう仕事がある。サレナほど酷くはなかったもののレクサス公は魔人による瘴気災害の被災地域をほぼ切り捨ててたらしい。無事だった地域から食料などの支援だけはしてたものの再建には消極的だったようだ。旧セルシオ領に手を伸ばしてたのもこのあたりも一因だと思う。


 さっそく手をつけたのは『国道』づくり。王都からほぼ真っすぐ南下したところにクラッチという町がある。ここをアレックス公爵領の新しい城下町に決めて、シフトからクラッチまでの街道敷設を行なった。それが完成すると王都とクラッチの間もつなぐ。さらにはクラッチから東に直進するとピラーの南にダンパーという小さな町ある。このダンパーをアレックス騎士団の本拠地にして、クラッチとダンパーの間も『国道』でつなぐ。


 作った『国道』には『サービスエリア』を作り、女神像を設置する。これで領内の残留瘴気は近いうちになくなるはずだ。


 余談だけど女神像と言えば先王崩御の時に私が大量に壊しちゃった分だけど、ステアとシフトの職人たちが不眠不休で量産してくれた。マサラとカルダも刻印魔法を刻むのでかなり無理してくれたと聞いてる。おかげで冬になる前には全て交換が終わった。

 壊れた女神像は聖都に運び込まれ、先王陛下追悼セレモニーで供養される事になってる。


 閑話休題。アレックス領の最北西に魔道騎士団、最南東にアレックス騎士団を置く形になるけど、ウチにはエナドリ飼い葉があるからなにか事があればすぐに駆け付けられる。そのためには連絡網が必要だけど、これは前に鈴木さんが作ってくれた伝書鳩を利用した。

 クラッチとダンパー、クラッチとシフト、シフトとペダル、シフトとステア、ステアとアクセルを結ぶ伝書鳩網でリレーすれば他の貴族領を通らずに情報のやり取りができる。


 ダンパーからステアまででも二回の中継を入れて半日以内には情報が届く。この世界では画期的なスピードなんだけど、できればリアルタイムで情報を伝えたい。情報化社会で暮らしてた現代日本人のサガだね。そんなワケで中村さんに相談したら電話を提案されたんだけども。ガラムの興味が今は別のところに向いているらしく後回しだそうだ。


 何を作ってるのかは『内緒』『完成した時にビックリさせたい』と教えてくれない。



反応があると励みになります。よろしければリアクションや感想等いただけると嬉しいです。

これからもお付き合いいただければ幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ