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転生ガチャ~悪役令嬢の後日譚  作者: 帆船
第三章:国難
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【崩御】

 国政の体制構築とアレックス公爵家としての体裁がようやく整った頃にそれは唐突に訪れた。その日の朝、王宮から突然呼び出された。至急来て欲しいらしい。


 何事かと駆けつけると宰相が鎮痛な面持ちで出迎えてくれた。案内されたのは先王の私室。


 そこで先王は……亡くなっていた。あの爽やかなイケオジの顔は見る影もなく驚愕の表情を浮かべており、そして胸には魔属性魔法で穿たれた跡があった。おかしい。今の私なら外部から王都に侵入した魔の者がいれば察知できるはず。


 自分の無力さにギリッと歯を噛み締める。


 『落ち着けレッドムーン。神が怒りをあらわにすれば矮小な者どもは狼狽するであろう?まあ我が言えた事ではないがな』


 ???これは……あの時の龍神?部屋には日差しが差し込んでる。つまりお天道様は見てたんだろう。深く息を吐くとちょっと席を外させてもらってバルコニーへ。


 『お天道様……ソル、見てたの?』

 『我は太陽の化身。お天道様の届くところは全て見渡しておると以前にも言うたであろう』

 『魔の者が王都の外から入ってくれば必ず分かるって自信があったのに……全く気づけなかった』

 『魔の者は外部からの侵入者にあらず。人間の王が飼っておったであろう?』


 !!!


 『気づいたようだな。だがすでに王都を出ておる。以前、我が縄張りを侵した痴れ者と合流し南に向かっておるな』


 南?よりによってアレックス公爵領方面かよ。


 『追いかけても無駄だぞ。そなたの月兎(ゲット)をもってしても追いつくこと叶うまい。それに夜になれば我の監視からも外れる。まあ行先はおおよそ見当がついておる。焦る事もあるまいよ。我にとっては人間などどうでもよいが、そなたにとっては人間の王との約定もあろう?』


 月兎って?ああ、赤い月が所有してる赤兎馬の事か。確かに追い付けないなら今は先にやる事がある。



 頭を冷やしてから王の部屋に戻るとまずは女神の力で魔属性魔法で穿たれた傷を癒す。傷を癒しても生き返るわけじゃないけど、魔属性に侵食されるとよくないからね。表情も穏やかになったように見えるから不思議だ。


 宰相に頼んで廃嫡野郎がいる座敷牢に案内してもらった。格子がボロボロになってる。ここも魔属性に冒されたんだろう。浄化した後、宰相に光魔法で照らしてもらう。闇が深い。考えてみたらアイツもここに閉じ込められてもう七年。それだけの期間、闇を拗らせてたって事になる。逃走経路も宰相の光魔法で明らかになった。


 これって王太后陛下には事実伏せなきゃな案件だなあ。そうこうするうちに王都にある神殿の女神像が割れたという報告があった。なんでも王都に住む信者たちの家に祀ってある女神木像も次々と割れたらしい。民衆は神罰だと恐れてるそうだ。ソルが言ってたのはこの事か。


「……これって私が内心で強い怒りを抱いたからでしょうね。先王の死を隠す事が難しくなりました」

「いや、貴女が陛下のために怒ってくれるかたでよかった。アイツも喜んでる事でしょう。私と筆頭宮廷魔術師は、我が息子トーケとハニャス殿と元王子、まあ今となっては下手人ですが、と同じように学園で共に学んだ仲でした。

 あの頃のアイツは王子である前に一人の学友であり、将来国を背負って立つ責任感のある男だった。その彼が貴女の事を語る時はまるで親が娘の事を語るように一人の人間になっていた」


 ……はい。


「アレックス公爵家とオーリス公爵家の関係は私も存じておりますし、あの肖像画を拝見した事もございます。だから今だけはこう呼ばせてください。

 エリザベス嬢、我が友に代わってお願い申し上げます。どうか幼い国王を支えこの国を守っていただきたい」


 ……。咄嗟に言葉が出せずにただ頷いた。



 まさかいきなり御前会議の緊急事態条項を使うことになるとはさすがに考えてなかった。国王は幼いうえに事実を伏せる必要があるし、父上とレクサスの二公爵は自領だ。また騎士団は不測の事態に備えてる。なので私と宰相と筆頭宮廷魔術師だけで話を進める。


「王都の女神像が次々と割れていることで民衆が恐慌に陥る可能性がありますね」


 宰相が指摘する。


「おそらくですけど、王都だけでなく国内各地で同じことが起こってると思います」


 はあ。軽い自己嫌悪だよ。


「ならば早急に先王陛下の崩御を発表したほうが逆に動揺は収まるでしょう」

「表向きは『先王陛下の崩御を察した女神の悲しみ』という事にしてはいかがかと」


 うん。それが妥当かな。あとはナツヒ先輩にも力を借りる必要があるかな。


「カスミ教は政治と距離を取る態度を崩してませんが今回ばかりは力を借りたほうがいいかと思います。どういう形がいいかはゆっくりと考えて相談する必要があると思いますけど、ナツヒ最高司祭には私から協力要請だけは先んじてしておこうと思います」


 宰相と筆頭宮廷魔術師は「分かりました」と了承してくれた。


「民衆向けには先王陛下の崩御は病死として知らせるとして廃嫡された元王子については何も伝えない。また王太后陛下には外部から侵入した魔の者が先王陛下と元王子を殺害した、と説明する事でよろしいでしょうか?」


 とこれは宰相の発案。これもこの場では了承される。あとは、実際の発表やら二公爵へ追認を求める連絡やらだけどこれは宰相が請け負ってくれた。

 筆頭宮廷魔術師からはこの件でレクサスがまた野心を持つことを危惧する発言があった。少し悩んだけど、思いついたのがカヅチに泥をおっ被せる事。竜災害の件ではレクサス公の失態もあるんでカヅチが実行犯だと言う事にすれば、レクサス騎士団の暴走が遠因と釘を刺すことができる。


 ってぇかさ。なんで私こんな宮中の権謀術数みたいな事やってんだろうね?いたいけな悪役令嬢だったはずなのに……え?それは違う??



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これからもお付き合いいただければ幸いです。

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