28「まんたまんたじゃね?」①
「――夏樹?」
「なにが起きた? 私の腕が、指が元に? いったい、これは?」
止まっていた世界が動くと同時に、聖剣さんと魔王アールウェルスが驚きを浮かべていた。
それもそのはず、戦いが突然終わっていたのだ。
それだけではない。
夏樹によって腕を斬り落とされ、指を食いちぎられたアールウェルスの怪我もまるで最初からなかったように回復している。
なによりも、
「なんで急にマンタに乗った女がいるのよ!」
この場にいなかった者が、増えているのだ。
聖剣さんとアールウェルスにとっては瞬く間の出来事だ。
困惑するのも無理はない。
「まんたさんです!」
「どうも! まんたまんた!」
「……わかったわ。どうせこの女はゴッドみたいな存在で、夏樹がやりたい放題暴れたから慌てて止めにきたのね! そして意気投合! でしょ!」
「え、嘘、なんでわかるの?」
「夏樹がマンタに乗っている姿見れば、そりゃわかるわよ!」
ざっくりとした予想だが、だいたい合っていた。
「あまり関わっちゃ駄目なんだけどねー。魔王アールウェルスくん、彼はもう君と敵対しないから、君は君のすべきことをしてね」
「まさか、あなたは――神か?」
まんたさんが優しく声をかけると、アールウェルスがその場に膝をつく。
「そんな大それたもんじゃないから。ただのまんたさんだよ」
「……まんた様」
「つーか、この女ってまんたって名前なの!?」
「便宜上ね」
「便宜上!?」
聖剣さん的には、管理者の名前がまんたさんであることが納得できないらしい。
「ごめんね、聖剣さん」
「夏樹?」
「まんたさんからマンタもらえなかった」
「謝られても困るんですけど! 宙に浮くマンタもらってどうするのよ!?」
「マンタに乗った勇者って――珍しくね?」
「珍しい以前にいないでしょう! って、なんで私がツッコンでばかりいるのよ!」
ツッコミ続けていた聖剣さんの苛立ちが頂点に達し、夏樹の顔面に拳を叩き込む。
「ありがとうございます!」
「……そういうのいいから。んで、結局、このまんた女はなんなの?」
「世界の管理人さん!」
「やっぱり。そういう感じだものね」
「わかるの?」
「わかるに決まっているでしょう。マンタに乗った女がその辺の女と同じであるわけがないじゃない!」
「ですよねー」
「それで、あのクソみたいな世界に戻ることはできるの?」
夏樹は親指を立てた。
「マンタで送ってくれるって!」
「――マンタは便利な道具じゃないのよ!」
てしん、と聖剣さんが夏樹の頭を引っ叩いた。




