12「興味のないお話って眠くなんね?」②
「我はまだ生まれてもいなかったが、当時の魔王……いや、魔族たちは大いに驚いたらしい。まさか我らが人として扱われていないとは思いもしなかったようだ」
いくら交流がなかったとはいえ、言葉を交わし、意思疎通ができる魔族をモンスターとして認識していたとは誰もが思っていなかったようだ。
魔族の土地を欲しがった国や商人によって冒険者ギルドに依頼を出し、魔族狩りも頻繁に行われていた。
「当時の魔王様は再三人間たちに抗議をしたみたいだけど、モンスターの言葉など聞き入れることはできないって」
悲しそうな顔をしてラーラが母の言葉を続けた。
「だから、私たちは自分たちを守るために戦う決断をしたの」
「その割には、戦いが長く続いているようなんじゃが」
「毎回戦う国が違うのよ!」
「はぁ? どういうことじゃ?」
ラーラの言葉の意味がわからず、小梅が尋ねた。
「現在の一番の敵はブレイバーズ王国だけど、前は別の国だったし! 人間の国はすぐに滅びるから戦っても戦ってもキリがないのよ! それに、奴らはすぐに異世界から勇者を召喚するから!」
「……歴代の勇者はそんなに理不尽じゃったんか?」
「私は知らないけど、ママは?」
魔王ギーゼラは、腕を組み過去を振り返りはっきりと言った。
「……後にも先にも由良夏樹ほど強い勇者はいなかった。我も今まで勇者を何人か相手にしたが、取るに足らない相手だった。あまり記憶にも残っていない」
「雑魚ばっかり呼んどったと思ったら――」
「破壊の化身を呼んじゃったってことっすねぇ」
「なんてついていないんだ、魔族は」
「この場合、ついていたんは人間の方かもしれへんな」
小梅たちはそれぞれの感想を口にする。
義政がちらり、とずっと沈黙を保っている夏樹を伺った。
「さすがと言うべきでしょうか。この状況で眠っているとは……」
「むにゃむにゅ……すみません……もう、お腹いっぱいで……いえ、そんなきゅうりは好きです。好きなんですけど……せめてお味噌を、お味噌をつけてください」
「さっきから静かじゃと思っとったら寝とるんかーい! というか、どんな夢を見とるんじゃい!? 上司に酒を勧められて困るみたいな夢の河童版じゃろ!? おどれの夢はどんなんなんじゃ!?」
小梅が突っ込みながら夏樹の頭を引っ叩くと、夏樹はゆっくり目を開けた。
少し寝ぼけているのか目をこすりながら、周囲を見渡し、状況を把握した。
「話終わった?」
「……まだ途中じゃがな! 自由すぎるじゃろ、おどれは!?」
「そっか。いやー、めんごめんご。俺は魔族と人間のうんたらかんたらは一応知っているし、知っている上で別にって感じだからさ。眠くなっちった」
「きっと学校の先生も授業中に堂々と寝とる生徒にはこんな気分なんじゃろうなぁ」
夏樹は「うーん」と背を伸ばすと、魔王をまっすぐ見た。
「言っておくけどさ、この世界の人間と会話って無駄だよ。関わりたくないって言うけど、それ無理だから。人間どもはこれ幸いって、戦いの備えをして今まで以上に攻めてくるよ」
「……で、あろうな。では、どうすればいい?」
ギーゼラもわかっているのだろう。
おそらく魔神の支配下にない彼女は優しく、穏やかな人格なのだろう。
ゆえに、夏樹ははっきり告げた。
「人間を滅ぼすしかない」
NGシーン
なっちゃん「人間を滅ぼして、河童さんの河童さんのための河童さんの世界を作りしかない!」
魔王さん「なあに、それ?」




