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異世界から帰還したら地球もかなりファンタジーでした。あと、負けヒロインどもこっち見んな。  作者: 飯田栄静@市村鉄之助
4章

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5「ビッグネームな妖怪じゃね?」




「そんじゃ、なっちゃんとゆーちゃんとせんちゃんの三人で遠野行くってことで決まりだな!」

「なーんか、距離の縮め方がえぐい」

「よっしゃー!」

「誰が、せんちゃんだよ。クソジジィ!」


 坊ちゃん呼びから急に馴れ馴れしくなったぬらりひょんだが、ノリノリの祐介はさておき、千手がご不満だ。

 夏樹としては、どこかぬらりひょんが憎めない性格をしているので、ツッコミこそしても、嫌ではない。


「でもさ、どうやって遠野まで行くの? 飛ぶ?」


 夏樹の疑問に、ぬらりひょんは、慌てなさんなと制す。


「まず、普通は飛べねえのよ。いくらおじちゃんが妖怪の中の妖怪だからって、飛ぶのは無理なんだな。そこで、一反木綿さーん!」

「へーい!」


 陽気な男性の声と共に、空から一枚の大きな布が落ちてきた。


「……なにこれ」

「妖怪の中でも、きっとトップテンに入る人気者の一反木綿さんだぜ!」

「いや、これ、ただの布じゃん。正方形の大きな布じゃん。なんか違う」

「……それは言わねえ約束だろ」

「そんな約束してないから!」


 一反木綿というと、なんとなく細長い存在を想像してしまったのだが、実際に現れたのは白い正方形の布だ。

 顔もなにもなく、どこから声を出しているのかもわからない。

 ある意味、さすが妖怪だと感心できる。


「……物語に出てくる絨毯じゃないんだから」

「兄ちゃん兄ちゃん、それは言いっこなしだぜ」

「乗ったらずぼっていきそうで怖いなぁ」

「平気だって! 踏ん張るから!」

「どこで踏ん張るんだよ!」

「兄ちゃん、細かいことを気にしていたら禿げるぜぃ! とりあえず、他の兄ちゃんたちみたいに乗りな!」

「……って、祐介くんと千手さんがもう乗ってるし! 瞳キラキラさせんなよぉ!」


 一反木綿の真ん中に、胡坐をかくぬらりひょんと、お行儀よく正座する祐介と千手に、夏樹は嘆息する。


「夏樹くん……よく考えるんだ。これは最高のファンタジーだよ。異世界に一反木綿さんなんていなかったからね」

「そりゃね! 妖怪がいなかったもんね!」

「由良! 男の子なら一反木綿さんに乗れることを光栄に思わないと駄目だ!」

「千手さんって時々バグるよね!? なんで、ふたりとも午前中からそんなにテンション高いの!?」


 もう一度、大きく嘆息すると、夏樹は地面を軽く蹴って宙に浮いた。


「いや、俺は飛べるからいいよ。なんか安定してなさそうで怖いし」

「兄ちゃんも飛べるんかい! いいねぇ。だけど、俺っちのほうが早いぜ。俺っちは新幹線よりも早いぜ!」

「ほほーん。なんか三人が振り落とされるような未来しか見えないけど、新幹線よりもねぇ。でも、きっと俺の方が早いよ。俺は神速だよ」

「おいおい、神様気取りかい? あ、俺っちは韋駄天に勝ったからね!」

「神様気取りじゃないよ。神殺し様気取りだよ」

「へぇ」

「ふぅん」


 夏樹と、乗客を乗せた一反木綿が空高く浮かび上がっていく。

 相変わらず一反木綿のどこに顔があるのかわからないが、なんとなく目と目が合い、火花が散った気がした。


「そこまで言うなら、勝負しようか、兄ちゃん!」

「乗った!」


 ぬらりひょんたちが「ちょ、ま」と何かを言おうとしているようだが、夏樹と一反木綿の耳には届かない。

 次の瞬間、魔力を練り上げた夏樹と、妖力を高めた一反木綿が空を舞台にした勝負を始めた。





 ――ちなみに、ぬらりひょんたちは、岩手近海で海に落ちたが気づいてもらえず、半魚人さんたちに回収された。

 また、夏樹と一反木綿の勝負は引き分けだった。






 半魚人さん「やあ、ボーイたち。溺れているようだが助けは必要かい?」

 祐介くん「ぎゃあぁあああああああ! 声はすごく紳士なのにグロい半魚人が出たぁああああああ! 人魚さんとチェンジで!」

 半魚人さん「ははははは! 元気なボーイだ! さ、掴まりたまえ。陸の近くまで運んであげよう」


 なーんてやりとりがあったのですが、それはまた別のお話。

 勝負を終えた夏樹くんと一反木綿さんが三人を回収しにきました。



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― 新着の感想 ―
深き者さんには紳士的な方もおられるらしい
黄桜のCMに出てくるような河童のお姉さん、早う
[気になる点] きっと半魚人さんは心の中では、傷ついていたのに表面には出さなかったんやればなぁ、まぁ、外見魚だからわからなかっただけかもしれないけど
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