プロローグ「久しぶりの登校じゃね?」
由良夏樹は異世界に召喚された聖剣の勇者である。
魔王を倒し、魔神を殺して異世界から帰還すると、近所にファンタジーが溢れていると知ってしまう。
天使、魔族、神相手に無双しながら、のんびりとした日々を送るのだった。
朝食を食べ終えた夏樹は、食器を台所に置いて部屋に戻って制服に着替える。
窓を閉め、忘れ物がないかチェックすると、スマホを制服のポケットにしまった。
「……ここまでは毎日しているんだけどね。異世界から帰還したけどちゃんと学校に通ってないや。おかしいなぁ、帰還したときはファンタジーがないって思ったんだけど、ファンタジーに囲まれている件」
今日こそ学校に行けると良いな、なんてことを思いながら階段を降り、茶の間にいる家族たちに挨拶をした。
「それじゃ、いってきまーす」
「おう、異世界転移には気をつけるじゃぞ!」
「知らない異世界に着いてっちゃダメっすよ」
「……俺はどう返事をするのが正解なんだろうか?」
通学路で異世界転移した夏樹を知る小梅・ルシファーと青山銀子に注意を受けるが、いくら異世界帰りの勇者でも注意なんかできるはずがない。
「友よ、異世界転移はさておき、急なアブダクションには気をつけてほしい」
「キャトルミューティレーションもですよ!」
「あれ? 宇宙人ってやっぱり人間諦めてなくね!?」
グレイ型宇宙人であるジャック・ランドック・ジャスパー・ウィリアムソン・花巻と婚約者のナンシー・ピィーティー・ロットロット・ナイジェルマリー・赤星も真面目な顔をしてそんなことを言うものだから、急に家から出たくなくなった。
「ぬらぬら。あんまり兄ちゃんをいじめてやりなさんなって、ほら、お弁当作っておいたぞ。陽気がいいから保冷剤を入れておいたぜ」
「ありがとう! んじゃ、行ってきまーす!」
「いってらっしゃーい!」
手を振り、元気に学校に向かった夏樹を笑顔で見送る家族たち。
「いやいやいやいや、気づけよ! 知らないおじいちゃんいたらびっくりするでしょうに! ぬらりひょん的な力使ってないよ!? ぬらぬらしてねえよ!? 気づかなかったの? それはそれでどうなのよ!? 気づいていたとしても、それはそれで怖いんですけど!?」
こっそり家族に加わっていた妖怪ぬらりひょんはエプロンをつけたまま、リアクションのなかった夏樹に絶叫するのだった。
四章はじめました(冷やし中華風)
前回、登場人物紹介のお名前を間違えたこと、この場をお借りして心からお詫び申し上げます。
一方その頃。
雷神トール「ここが日本か……まずは、秋葉原でメイド喫茶だ! 開店まで時間があるな。時差を失念していた」
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