65「大地の勇者の全力じゃね?」④
「ぐっあぁあああああああああああああああああああああ!?」
石の槍に貫かれた寒波の神が叫んだ。
「――んっはあああああああああああああああああああああ!」
冷気の渦に閉じ込められた祐介が気持ちの悪いポーズをとって叫ぶ。
「ふんどしさんがっ、ふんしどさんが凍りついて壊れちゃうぅ――――て、思うじゃん?」
祐介の魔力が高まり、冷気の渦を吹き飛ばした。
肌にまとわりつく霜を払い、尻をぱぁんっ、と叩いた。
「冷気に閉じ込めて凍らせ切り刻むか、結構エグい技だね。だけど、大地の勇者には効かないよ」
「おのれぇぇええええええええっ、よくも、よくも私にっ」
石槍を砕き、激昂する寒波の神。
「私が新たな扉を開いたらどう責任を取るつもりだったんだぁああああああああああ!」
「どういうこと!?」
「再生能力持っていて本当によかったぁああああああああああああああああああああ!」
「どういう意味!?」
「――佐渡祐介、貴様は個人的に絶対に殺す!」
「どうして!?」
寒波の神が憤怒の形相で飛びかかってきた。
避けようとした祐介だが、ふんどしを掴まれてしまう。
「そのふんどしが丈夫であることは理解している」
「――くっ、ぐぁっ」
ふんどしを掴んだ寒波の神が祐介を振り回し、地面に何度も叩きつけた。
「大地の勇者ならば、大地で死ぬのは本望だろう」
「やめて、本当に脱げちゃう!」
「知るか!」
寒波の神は手を緩めない。
繰り返し地面に激突する祐介だが、ダメージはまるでない。
大地の勇者の特徴として、とにかく硬い。
その力は防御力になるし、攻撃にもなる。
「脱げちゃう! ぬーげーちゃーうー!」
しかし、強固な防御を持っていても、ふんどしが脱げてしまいそうな状況を堪えるので精一杯だった。
「ちょっと、マジでやめてくれないと、本気出しちゃうよ!」
「出してみろ、大地の勇者!」
寒波の神が、今までで一番強く地面に祐介を叩きつけた。
そして、もう一度、振り回して地面に叩きつけようとした。
「――――あ」
祐介が悲しい声を出した。
掴んでいたふんどしから重さが消えて、寒波の神の力が行き場をなくし、地面に倒れることになってしまう。
慌てて立ち上がり、祐介に視線を向けた寒波の神は絶句した。
「――どうして全裸だ?」
「あなたのせいだけどね! だからやめてって言ったじゃん!」
半泣きになった祐介が大きく足を広げ、構えをとった。
寒波の神が絶句する。
「――まさか、そのまま戦うのか?」
「人は生まれてくる時は裸だ! 恥ずかしくなんかない! むしろ、あ、なんか、扉が、扉が開」
「うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
祐介が一線を越えるよりも早く、寒波の神が仕掛けた。
おかげで祐介はただのやんちゃな男の子としてとどまることができた。
「どうしてそんな焦って攻撃をしてくるのかわからないけれど、甘いよ」
襲いかかる冷気を纏った拳を掴むと、祐介は寒波の神の足を払いそのまま一本背負いをした。




