99「都さんは今日もお姉ちゃんが大好きじゃね?」
「――というわけで陽キャの神を見つけてほしいんだけど」
昼休み。屋上で、夏樹と一登、都、杏、すみれ、萌葱が弁当を食べながら話をしていた。
「というわけでと言われても、俺たちは陽キャの神様なんてしらないんだけど。というか要キャの神様なんているの!?」
「あ、通名は海の神らしい」
「絶対そっちだから!」
「でもさ、海の神だと俺の力と被るからさ」
「ホラーさんでいいじゃん!」
「うん、いいんだけど。さすがの俺もホラーさん前にしてホラーさんとは言えないから、俺の力は海の神さん! 海の神は陽キャの神でよろしく!」
「……それはそれでどうなんだろうね!」
「久しぶりに学校にきましたが、相変わらずですね。新たな神々がお一人増えていますし、死の神や「帝国」でしたっけ、新しいトラブルに関しては花子様からお聞きしていましたが……絶好調ですね」
夏樹と一登のやりとりを見て、ため息を吐いたのは水無月都だ。
彼女は実父、水無月俊平の登場によりゴタゴタしていたようだ。
七森家と加座間家とも関わっていて、水無月家の情報を売っていたこともわかっていたので、大変だったようだ。
「都さん、水無月家の方は落ち着いたの?」
「はい。水無月俊平は――まあ、お察しください」
「ひぇっ」
察して、夏樹と一登が抱き合った。
きっと処されたのだろう。
水無月俊平は愚かにも、都の前で澪を貶めたのだ。
お姉ちゃん大好きっ子である都を相手に、自殺行為をしたのだから、彼がどうなったのか想像に容易い。
「私は気持ちの悪いメンヘラ男が実父だった事実に心が傷付きましたので、ここ数日お姉ちゃんに甘えまくっていました。もう少しで赤ちゃんに戻ってしまうかと思いました」
「どんだけ甘えていたの!? 澪さんが大変そう!」
「お姉ちゃんは妹と仲良くできて嬉しいって言ってくれています!」
都の瞳に迷いはなかった。
余計なことを言って怒らせたくなかったので、夏樹は静かに口を閉じた。
「あー、ごほん。その、なんだ。海の神……じゃなくて陽キャの神を探してくれと言われても、放っておいても会いに来るのではないか?」
話を軌道修正したのは萌葱だった。
「俺としては、別にゆっくりでいいんだけどさ。風の神さんが勝手の俺の心の中に不法侵入した分際で、出ていくことができないと言うから! あの神、俺の心の中で俺の弱みを握っているから言うこと聞くしかないの!」
「……女神に脅されるって、青春すぎでしょう!」
「こんな青春嫌だ!」
夏樹は顔を覆って泣き出した。
「はぁ。実際問題として、要キャの神様と会ったことがある方はいるんですか?」
「杏はないよ」
「私も青春的にない」
「私もだ。ずっと学校にいたからな」
「俺も。あ、でも炎の神様なら知っているかも」
「はい、では要キャの神様は一登くんにお任せしましょう」
「ちょ」
都の一言に女性陣は任せた、と親指を立てた。
悲しいかな、一登には抵抗する勇気はなかった。
「しかし、本当に色々な神様がいますね。――はっ、もしやお姉ちゃんの神もいるのでは! いえ、むしろ、お姉ちゃんこそ神!」
「……都さん、ラノベだったら登場時は主人公にやられてからヒロインになるようなポジションだったのに、お姉ちゃん大好きっ子に生まれ変わっちゃったね」
杏の一言に、うんうん、と夏樹を除く全員が頷いた。




