95「やっぱり月読先生は大変じゃね?」①
月読命は夏樹たちが帰宅し、素盞嗚尊も晩御飯の時間だからと帰って行き、他の面々もいなくなった静かな部屋で一息ついていた。
「……疲れました、と言ったら怒られてしまうかもしれませんが、疲れました」
昨日から、「帝国」幹部の柏原保の接触、死の神の確保、死の神の取り調べなど慌ただしくはなかったが、やることが多かった。
性格上、物事を雑に行うことができないので、つい時間をかけてしまった。
「明日から学校ですか」
神でも月曜日は辛い。
自分で選んだ仕事だが、若き少年少女の未来に関わる仕事だ。
大変だがやりがいもある。
それでも、少し、本当に少しだけ、日曜日から月曜日になることが辛かった。
「夕食は……外で食べましょう。レンジでチンもいいですが、今日はパスタでも」
そう言ってジャケットを羽織ろうとした月読のスマホが鳴った。
ディスプレイに表示されている名を見て、珍しく月読がめちゃくちゃ嫌そうな顔をした。
「はぁぁぁぁぁぁぁ」
大きくため息をついて、通話とタップする。
「……もしもし」
「やあやあやあやあ! 月読くん、お久しぶりだね! だね!」
「……お久しぶりというほどではありませんが、こんばんは、笹山先生」
「こんばんは、こんばんは! 休日にすみませんね! 私は生徒と共に実習ですよ。いやぁ、我が校の生徒は優秀である以上に責任感が強くて敵いません。今日も高校生にはあまる相手に死闘を繰り広げました。自らを顧みず、人々を助ける! それこそ我々霊能力者のあるべき姿ではありませんかね! ね!」
「……そうですね」
内心、思い切りため息をついた。
電話の相手、笹山は夏樹を誘った霊能学校の教師だ。
向島市をはじめ県内外から生徒を集める、霊能学校のひとつである。
そして、最も夏樹の見学を求めている学校と教師だった。
――正直、月読は笹山が苦手だ。
基本的に善人ではあるのだが、生徒自慢が長い。
隙があれば、生徒自慢から自分の自慢に移行するので油断できない。
今日も、おそらくそれなりの結果を上げたので、霊能関係の連絡が届くよりも先に自分から連絡して自慢したかったのだろう。
「ところで、ゴールデンウィークの件。どうなりましたか?」
「それはまだ生徒と話を」
「いやいやいやいやいや、困りますなぁ。我が校の成績優秀者が、わざわざ彼のために時間を割いてくれると言っているのに、そちらがぼんやりされますとねぇ」
「どうしても来るよう言ったのはそちらでしょう。こちらも生徒の未来がかかっているのでおいそれと決められないのです」
「わかっています。わかっています。わかっているからこそ、お勧めしているのです。一般人が力を持ってしまったことは不幸です。その力の使い方を誤り人を傷つけてしまうことがあります。その力のせいで謂れのない悪意を向けられることがあります。そんな彼らを守り、導くのが我々教師ではありませんかっ!」
(―――言っていることは、本当にちゃんとしているんですよねぇ)
だからこそ、扱いに困るのだ。
月読先生の同期にして、一方的にライバル視している笹谷先生(独身)。
実は、月読が霊能学校の教師になると思って自分もなったのに、一般学校に行かれてしょんぼりしていた。
笹山先生に育てられた生徒は正道の道を進み、将来有望と呼ばれ、現役では名が売れている生徒も多い。
癖はあるが、導き手としては優秀。同窓会にめっちゃ呼ばれるタイプ。
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