91「ツッコミ担当不在じゃね?」②
しばしの間があった。
「不死の神の存在に関しては、曖昧でした」
「曖昧じゃと?」
「まず、死の神が他の神に興味がないと言う大問題があります」
「あー」
「ただ、それらしき神に接触したことはないようです。基本的に勧誘や敵対した者は全て殺しているようですので。殺していない相手のことは一応覚えているようですが、その中にも不死の神はいないようです」
「どこまで確かかわからんのう。不死の神が、別の神を名乗っておったらまた違うじゃろうし。その辺を考え出したら切りがないしのう」
小梅の言う通り、疑い出したら切りがないのだ。
「ですが、死の神が言うには、幸せを司る神がいれば不幸を司る神がいる以上、死を司る神がいるのであれば不死を司る神がいても不思議ではないと」
「じゃが、俺様は不死を知らん」
「私もです」
「私の知人は少ないが、いないな」
「不死なんて青春じゃない奴なんて知り合いにいないわ」
萌葱とすみれも不死は知らない。
小梅たちも寿命は長いし、放っておけば生き続けるだろう。
だが、不死ではない。
殺せば死ぬ。
これはゴッドでも変わらない。
世界の理だ。
「夏樹、異世界に不死なんぞおったか?」
小梅は素盞嗚尊と一緒によくわからないダンスを撮影している夏樹に声をかけた。
「いないよ。めっちゃ強い師匠だって死んじゃったし、星槍さんたちだって例外はないし、魔神も俺が殺したし」
「じゃよなぁ」
「俺さ、思うんだよ」
「なんじゃ?」
「――不死って、人の想いなんだって」
「そういうのはええんじゃ! 何を言うとるんじゃ、おどれは!」
「しょぼーん」
「星一番のバーサーカーが、人の想いとか!」
「待って、待って待って、規模が大きい。星って、せめて向島市にして。きっと隣の街だって俺みたいな奴いるから」
「そんなおったら地球が割れてしまうんじゃ!」
「えー、俺の扱い悪ー」
夏樹自身もらしくないことを言っていると思う。
ただ、「想い」というのは、心が折れない限り消えないと考えている。
夏樹は異世界に帰ると強く心に想いを抱いた。
そして、帰ってこられた。
たとえ、異世界で朽ち果てたとしても、その想いは死ななかっただろう。
もしこの世に不死があるのであれが、その想いこそ不死だ。
「まあ、本当に不死の神がいるのであれば――本当に不死かどうか俺の力で試してやるよ!」
「やっぱりバーサーカーじゃった!」
「嫌だなぁ、勇者ですから!」
「――とぅくーん!」
きりっ、とした表情を作った夏樹に小梅がときめき胸を抑えた。
「はぁ。夏樹くんらしいといえばらしいのですが」
月読がため息をつき、
「青春じゃないわね。というか、今ときめく要素あった!?」
青春の神が呆れ、
「まったく、物騒なことを言って! ――あちらの寝室で教育的指導だ!」
学校の神は夏樹の不謹慎さに怒った。
「させないんじゃが?」
「させませんよ?」
「させないからね?」
小梅、月読、すみれに睨まれた萌葱は舌打ちをした。
「なっちゃん! なっちゃん! 俺たちのダンスにいいねついたよ! これでまもんまもんチャンネルを潰すぜ!」
「甚平姿のおっさんと中学生がようわからんダンスしただけで、まもんまもんチャンネルが潰せるわけがないじゃろうて!」
「甘いな、ルシファー小梅。なっちゃんの言う通り、俺たちの想いが――不死だ!」
「やかましい! ドヤ顔をするでない!」
その後、月読のマンションで美脚の神をはじめ住んでいるみんなと夏樹は楽しい時間を過ごしたのだった。




