90「ツッコミ担当不在じゃね?」①
「同行? どうこうしてそういう結論に?」
「…………彼の望みです」
夏樹は不思議そうな顔をした。
ツッコミが来ない。
「ね、ねえ、夏樹ちゃん、どうこうして」
「夏樹は黙っとれ! 話を進めるんじゃ!」
しょんぼりしてしまった夏樹をスルーして、話を進めた。
素盞嗚尊だけがツッコミを入れようとオロオロしてしているが、悲しいかな彼にはツッコミスキルはなかった。
「死の神は特別他の神々と関わってはいないようです。加座間家に関しても金を欲しただけでしたので、もうどうでもいいようですね」
「……そういえばそんな家もおったのう。毎日色々なことが起きるから、ところてんのように情報が出ていってしまうんじゃ」
「ははは、いえ、笑えないですね」
「笑えんのじゃ」
不思議なことに、先日接触した加座間家が「久しぶり」だと思えてしまうほど、毎日色々なことが起きるのだ。
慌ただしく、楽しくもあるのだが、時々怖くもある。
「話を進めてしまいますが、死の神は今さらどこかの組織に加わることはしないでしょうし、きっと我々の仲間になることもないでしょう」
「そうじゃのう。俺様たちも彼奴を仲間にしても対応に困るというか、俺様たちのノリについてこれんじゃろう!」
「ノリというか、まあ、そうですね。死の神が向島市にいたらいたでまた新たな問題が出てくるでしょうし。何よりも、彼が少女のそばにいたいと願っています」
「その辺はありすに丸投げして、荷物持ちでも、補佐でも、護衛でもなんでもええじゃろう。じゃが、死の神を単身で海外に送るつもりか? 奴を恨んどる奴は多いじゃろうて」
「無論、監視と護衛として数人つけます。護衛対象は、少女とご家族も入っています」
「それならええ。もっとも死の神をどうこうできる奴がそうそうおらんじゃろうて」
「そうですね。だからこそ、新たな神々は死の神を戦力として利用したかったのでしょう」
死の神の扱いは慎重にならなければならない。
彼が執着する少女に万が一何かが起きようなら、「死」が猛威を振るうことになるだろう。
それは、誰も望まない。
「いくつか枷もつけます。私ではなく、専門とする神に頼むことになるでしょう。それでも心配はありますが……」
「俺様たちは天使や神じゃが、未来は見えんし、何もかも上手くいくなんてことはできん。あまり気にしてばかりいると禿げるんじゃ」
「……禿げませんよ」
死の神の扱いはわかった。
あとは百合園ありすの連絡を改めて待とう。
「それで、月読が一番気にしとった不死の神に関してはどうじゃったんじゃ?」




