77「用があるならお前から来いって思わね?」③
「御託はいらない。由良夏樹、お前も聖剣の勇者だと聞いている」
「だったらなんだ?」
小池はじめの右手に長い剣が握られていた。
「……ツーハンドソードとかさぁ」
全長二メートルほどある、両手剣だ。
長めの握り、ガードが特徴のロングソードをそのまま巨大化した両刃剣だ。
「見誤るなよ、由良夏樹。この剣は、ただ長いだけの剣じゃない」
「知ってるよ、雑魚が使うに丁度いい雑魚な剣なんでしょ?」
「この剣の名は、聖剣生命の剣という。斬り殺した相手の力を使い手に与え、さらなる力を与える素晴らしい剣だ」
「それのどこが聖剣!? 魔剣じゃなくて!?」
「何よりも、重い。俺のような優れた勇者だからこそ、持ち上げることができるほど重量がある。その重量は何も、この剣の材質の問題ではない。この剣に宿る魔力、そして存在そのものが重いのだ」
「スケールちっちゃ!」
夏樹の相棒である蒼穹の星槍は、複数の世界を破壊している。
命を奪って力にし、重いだけの剣とは比べ物にならない。
「――常闇の剣」
夏樹はアイテムボックスから、魔王の愛剣を取り出した。
「いいぞ、魔剣か。凄まじい力を感じる。多くの命を奪ってきた、血塗られた魔剣だな。しかし、俺の聖剣と戦うには少し力不足に思える」
「まあまあ、そういうことは――戦ってから言おう、ぜっ!」
夏樹は砂浜を蹴った。
一瞬で間合いを詰めると、常闇の剣を薙いだ。
対し、はじめは長剣をバッドのように振るった。
ぐおん。
そんな音が聞こえた気がした。
常闇の剣よりも長い剣を、夏樹と同じ速度で振るってみせたのだ。
魔剣と聖剣がぶつかり、火花が散った。
同時に、常闇の剣の一部が砕かれ、破片が舞う。
「どうやら俺の剣の方が上だったようだな! いや、剣を使う俺の腕の方か?」
「知るか!」
夏樹は常闇の剣が砕かれたことなど全く気にせず、はじめの満面の笑みが浮かぶ顔に拳を叩き込んだ。
一度ではない、三度だ。
はじめの鼻が潰れ、血が吹き出した。
「由良夏樹ぃ! 相棒が壊れても平気か!」
「別に相棒じゃねえし。武器が壊れて動揺するわけがねえだろ。壊れるまで使ってこそ、武器だ!」
「――はっ、違いない」
「というか、いい加減、その俺は強いんですって雰囲気やめて。普通に苛立つ」
鼻血を拭きながら、まだ楽しそうなはじめの襟首を掴んで思い切り引き寄せる。
どうやら聖剣生命の剣が重いことは事実なのだろう。
はじめをこちらに引っ張るのに、無駄に力が必要だった。
しかし、問題はない。
夏樹は思い切り、はじめの額めがけて頭突きをした。
常闇の剣さん「しょぼん」
十束の剣さん「なになに、しょんぼりしちゃって。大丈夫だって、なっちゃんだって大事に思ってるって。ほら、常闇の剣ちゃんって自己修復能力あるじゃん。だからだって。あ、そういえば、良いフレンチ料理店知っているんだけど、行く?」
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