64「一度疑ったらまた信じるのって大変じゃね?」②
「……保さん。私はあなたに結構感謝しているの。異世界から帰ってきて、力を持ったままとかどうしようと悩んでいたところに声をかけてもらって、同じ境遇の人がいるんだって安心したわ」
「そう言ってくれると私も声をかけてよかったよ。でも、感謝してもらっている割には、首に剣を突きつけられている理由がわからないんだけどね?」
息を切らしながら、保は平静を装うとしている。
しかし、ステファニーは淡々としていた。
少しでも怪しい素振りを見せれば首を斬る。
そう決めて、いつでも魔剣を動かせるよう力を入れていた。
「困ったな。ステファニーがどうしてこんなことをしているのか、私にはまったくわからないんだけどね。よかったら、僕が何をしたのか説明してくれないかな?」
「保さんは、魔眼の勇者でしたよね?」
「そうだよ。いつだったか、君が私に教えてくれたように、私も君に力のことを話した記憶があるんだけど……私の思い違いだったかな?」
「いいえ、出会ってすぐに話をしてもらいました。しかし、保さんは鮮血の剣と岩鬼の剣を使いましたね。その力を持っていた友人が死んでいることももちろん、存じているはずです」
「もちろんだよ。他ならぬ私が彼らの死を見とったからね。もしかして、彼らの力を使ったことで私を疑っているのかい?」
驚いた、と保から動揺を感じた。
しかし、それも演技しているように見えてしまった。
もしかしたら、魔王サタンの巧妙な話術によって、手のひらで転がされている可能性もある。
だが、一度疑ってしまったステファニーの心は、保を信じることができなかった。
「そうです」
「それこそ、誤解だよ。私もすべての力を君に語ったわけじゃない。それは、仕方がないことだろう。一から十まで全て打ち明けることができるほど、私たちは親密ではないんだ。仲間であっても全て何もかも曝け出すことはできない」
「わかっています。その上で、説明をしてください」
「――私の魔眼の能力に模写という便利な機能があるんだ」
「そうだったんですね」
「ああ、そうだとも。紛らわしいことにしてしまって本当に申し訳ないと思っている。彼らの力を使う前に、君に説明しておくべきだったね。私の配慮不足だ、すまない」
「では、私の魔剣を模写してくれませんか?」
「……君の魔剣は君の力ではない。契約して一体化しているけど、君の力ではないからできないんだよ」
「困りましたね。あなたの言葉だけでは信用できませんね」
「じゃあ、私のことを知る者を会いに行こう、いや、呼んでも構わない」
「逃げらる可能性があるので、無理です」
はぁ、と大袈裟に保がため息を吐く。
「ステファニー、私を信じてほしい」
「では、私を信じさせる努力をしてください」
しばしの沈黙は走った後、唐突に保が笑い出した。
「あははははは! 前々から知っていたつもりだったけど、ステファニー! 君は本当に面倒臭い女だな!」




