99「死の神も介入です」①
死の神から凄まじい圧迫感が放たれる。
夏樹以外の者が、全員圧迫感によって押しつぶされた。
小梅と花子が膝をつく程度だが、千手たちはその場に押しつぶされてしまい、ぴくりとも動けない。
「……なんで夏樹は、このプレッシャーの中でピンピンしとるんじゃ!」
気を抜けばすぐに倒れてしまいそうな小梅が、余裕で立っている夏樹に文句を言うが、それ以上の言葉を吐き出すことはできなかった。
「小梅ちゃん、無理しないで。というか、死の神! お前な、前回もだけど、自分が強いんですぅ、と言わんばかりに力を主張するんじゃねえよ! 迷惑だって気づかないの!?」
「お前たちの感想などどうでもいい。私は、お前を殺す。その邪魔をさせないために、有象無象を動けなくした。それだけのことだ」
「上からぁ! というか、どうして俺が命狙われているんですかねぇ!」
夏樹と死の神が睨み合いながら、足を進めた。
顔と顔がくっついてしまいそうなほど接近すると、瞬きもせずに睨みつける。
「ふざっけんな、一昔前の不良みたいなことしてるんじゃねえよ! 新たな神々っ、てめらのせいで俺たちは不自由なんだよ! その責任取りやがれ!」
「帝国」の守谷盛夫が全力で、死の神の圧迫感を解いた。
ふらつきながらも立ち上がると、持つ魔力を全て使い「傀儡術」を使用した。
同じく倒れていた傀儡の支配下にある、同じ「帝国」の人間を無理やり操ると、死の神と夏樹に向かい襲いかかった。
「矮小の身でありながら立ち上がれたことは褒めてやろう。しかし、その程度の力で死に抗おうとは無駄でしかない」
死の神の視線が、夏樹から外れ盛夫に向かった。
同時に、彼は蛇に睨まれた蛙のごとく硬直してしまう。
「異世界で力を得ただけの人間が、身の丈に合わぬ力を得て強くなったと勘違いしているだけの人間が、死をどうにかできるはずがないだろう」
死の神が、身体をこわばらせたまま突っ込んでくる盛夫の首を無遠慮に掴んだ。
首の骨が軋む音がした。
「ひとつだけ誤解を解いておくが、私は他の神々のようにお前たち異世界帰還者に興味はない。だが、敵意を向けて挑んでくる人間には、死を以て応えよう。お前たち「帝国」など私にとって毛ほどの興味もないのだが、これは見せしめだ」
「やめろ、死の神!」
夏樹が止めようと、剣を振るう。
だが、剣は死の神に届かなかった。
神力の放出により、夏樹は魔剣ごと吹き飛ばされてしまったからだ。
「しばし待て、由良夏樹。この人間を殺した後は、お前の番だ」
死の神は夏樹を一瞥すると、守谷の首をより強い力で締め上げる。
そして、死の言葉を吐いた。
「――死ね」




