58「急に部屋を開けられるとびっくりするんじゃね?」②
「いやぁあああああああああああああああああああああああ!」
「あの」
「いやぁああああああああああああああああああああああっ!」
「あのね」
「にゅわぁああああああああああああああああああああああ!」
「んほぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
叫び続けるホラーさんに、夏樹も対抗して叫んでみた。
効果があったようで、ぴたり、とホラーさんの動きが止まる。
「……えっとね、とりあえずお話ししましょう。ほら、あなたの知り合いの大地の神さんが海パンの中にしまってあったねっちょりしたウィジャボードもあるからさ。話が苦手ならそれでい」
「いやぁあああああああああああああああああああああああっ!」
「……うん、今の悲鳴は仕方がないかなって思うなっちゃんでした」
夢の中でもしっとりねっちょりしたウィジャボードは、あまりにもリアリティな質感だ。
現実世界で、炎の神からもらったウェットティッシュで拭いたのだが、ぬめりは取れなかった。
重曹とクエン酸につけてやろうかと思ったが、価値のある骨董品とのことなので壊してはよくないと思い諦めた。
一度ぬめりを体験してしまったので、夏樹は現在ウィジャボードを釣ったばかりの魚だと思い込むことにしている。
「ホラーさん、このウィジャボードを使ってねっちょり会話しようじゃないか! さあ! さあ! さあ!」
「やめなさーいっ!」
「あべこっ!?」
ウィジャボードを掲げ少しずつホラーさんに迫っていく夏樹が背後から衝撃を受け、吹き飛んだ。
まるでギャグ漫画のようの砂浜に上半身が埋まってしまう。
「まさかこんなところに変質者が出てくるなんて思っていなかったです。大丈夫ですか、お姉ちゃん」
「誰が変質者じゃーい!」
砂浜を爆散させて埋まっていた上半身を解放させた夏樹が怒鳴った。
「変質者といったら、ホラーさんはさておき、あんたはどこのどいつだ! 人の夢の中に勝手に居座りやがって、滞在費一億円払ってもらおうじゃねえか!」
「……まさか、君は……由良夏樹くんですか?」
「そうですー。俺が、ギャラクシー河童勇者由良夏樹ですぅ! それで、あんたはどこの誰じゃあぁあああああああああああああああ!?」
警戒心むき出しにしていた十代半ばほどの少女は、背筋を整えると夏樹にお辞儀をした。
「私は風の神です! 海の神たちと一緒に君の中にいたんですけど、焼きそばを買っている間に置いてかれてしまって……」
「ほーん、それで俺を変質者扱いして蹴りをしたわけね」
「……それは、申し訳ないです。でも! ねっとりしたウィジャボードを持ってお姉ちゃんに迫るから!」
「迫ってはいないよ! コンタクトを取ろうとしていただけだよ! つーか、なんで風の神さんがいるのかな? 不法侵入だから早く出ていってもらっていいですかぁ!?」
亜麻色の神をポニーテールにしたホットパンツとキャミソール姿の少女――風の神は、片手にヘラを握りしめたまま文句を言う夏樹に懇願した。
「あの、お願いですから、ここから出してください!」
「さすがにその方法はわからないんですけど!?」




