39「外国の言葉って無駄にかっこよくね?」②
「あ、足が痺れちゃった……お婿にいけない」
「足が痺れちゃったから、もうお嫁に行けないよぉ」
「……この似たもの兄妹め。お前たちがにわかドイツ好きだってことはわかったから静かにしてろ」
「にわかじゃないよ! ほら、俺の愛用シャーペン見てよ! ドイツのメーカーだよ!」
「にわかじゃないもん! ほら、杏のシャーペンドイツのメーカーだもん!」
夏樹と杏は同じようなことを言い出し、スクールバックをあさって同じ形の同じ色のシャーペンを千手に見せた。
「…………」
「…………」
「同じだぁああああああああああああああああああ!」
「同じのだぁあああああああああああああああああ!」
「コントでもやってんのか!? 示し合わせたみたいに同じ物出してきやがって! お前たち、仲悪かったなんて嘘だろう!?」
まさかの、同じシャーペンを愛用していた夏樹と杏だった。
一登はこっそりイギリスメーカーのシャーペンを愛用しているが、特に意識しているわけではなく、入学祝いにもらった物を大事に使っているだけだった。
「まったく……中学生なら購買で売っているノートとシャーペン使ってろ!」
そんなことを言う千手だったが、私室のテーブルには十万円以上する万年筆やボールペンが何本かある。
書きやすさやメーカーにこだわっているのではなく、「裏稼業の人間として、クライアントにあった時に高い文房具を取り出すのがなんかカッコいいと思ったから」という理由だが、この場では口が裂けても言うことはしないだろう。
「はぁ。綾川は常識人枠だと思っていたんだが、さすが由良関係者だな。どこかしらネジが外れていやがる」
疲れたようにソファーに座り直した千手の前に、冷たいお茶が入ったコップが置かれた。千手はお茶を飲み干し、一息つく。
その間に一登が、「あれ? 俺も夏樹くん関係者としてネジが外れているとか思われているのかな!?」と不思議がっているが、その通りだ。
「とにかく! 新しい勢力は帝国だ。そして、トップが「皇帝」その下に、「公爵」「侯爵」「伯爵」「子爵」「男爵」「騎士」がいるとさ」
「かっけぇええええええええええええええええ!」
「ださいぃいいいいいいいいいいいいいいいい!」
「もうそれはいいんだよ! ドイツ語じゃなくて日本語だってさ! 公爵と書いてヘルツォークとは言わねえから!」
瞳を輝かせる夏樹と、鳥肌を立てる杏が何かを言うよりも早く、千手が先回りした。
一登たちは「……千手さんもドイツ語で公爵をヘルツォークって知っているんだね」と生暖かい目で見たが、あえて口にはしなかった。
とらぴー「あたいは現代文が得意だ! 英語もできるぞ! いつかグレートキャニオンを見にいくのが夢なんだぜ! ――きっと新婚旅行で、――ぽっ。あ、でも、新婚旅行は熱海か」
千手さん「いや、今は新婚旅行で熱海にはいかないだろ! ハワイとか……じゃなくて、そもそも新婚旅行なんかしねえよ!?」
とらぴー「わかってる。きっと新婚旅行の前に赤ちゃんできちゃうもんね」
千手さん「そんなこと言ってねぇええええええええええええええええええええ!」
シリアス先輩「厨二病してないで話進めろよ! シリアスしろよ!」
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