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最強なのに無能扱いの俺、グータラ生活を維持するため今日も最低限の働きをする。  作者: 鯖村光輝


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第8話「休めない休日」

冷たい床。

鉄の匂い。


目の前に、誰かがいる。


腕に抱かれている男は涙を流しがら言った。


「生きろよ...シン」


血まみれ。


「...なんで...」


「...なんでだよ」


目の前が真っ暗になった。


-----------------------


ライラ「シン」


シン「んん...」


ライラ「シン、起きて」


シンはゆっくりと目を開ける。


見慣れた天井。


自分の部屋。


「...なんだったんだ。今の。

やたらリアルな夢だったな。」


眠そうに体を起こす。


ライラ「シンー。開けてー。」


シンが窓を開ける。


ライラが立っている。


ライラ「シン、おはよー。」


シン「...おはよー。」


ライラ「話があるの」


シン「...今日、休みの日だから無理。

明日ギルドで聞く。」


ライラ「ギルドじゃダメなの!

誰にも聞かれたくないの。」


シン「...そっか。

じゃあここで聞く。」


ライラ「ひどーい。

普通そこは、立ち話もなんだし、

まあ入れよっていうものなのよ。」


シン「...お前魔族だろ。

そんな会話絶対ないだろ。」


ライラ「あるわよ。

シンは私たちを誤解してる。

とりあえず中に入れて。」


シン「...」

(めんどくせー)


家の中。


テーブルの上には、ジュース。

棚には、お菓子。

漫画。ゲーム。

冷蔵庫には、ぎっしりと食料。

その他、家の中で楽しめるものが揃っている。


ライラ「へー。

シンの家ってなんでもあるのね。」


シン「まあな。

これだけあればしばらく外出なくていいだろ。」


ライラ「うん。

ダメ男感がとっても素敵♡」


シン「で、話ってなに?」


シンはソファに沈む。


ライラ「うん...

私ね...」


その時。


コンコン。


リナ「シン、いる?」


聞き慣れた声。


シン、めんどくさそうな表情。


シン(嫌な予感しかしない)


シンがドアを開ける。


リナ「あ、おはよ。」


シン「なに?

今日、お休みなんですけど。」


リナ「うん。

お休みだから、暇してるかなーと思って。

遊びに来てあげた。」


シン「...全然暇じゃない。

お前のせいでドラマもアニメも最近全然進んでないんだぞ。

帰れ!」


リナ「そんな不健康な生活してないで、

ご飯でも食べにいこうよ。」


シン「...」


リナ「ん?」


リナがライラを見つける。


顔が変わる。


リナ「...へぇ」


空気が冷える。


リナ「なんでいるの?」


ライラ「ふふふ。

なんでって、シンと私はそういう関係だからに

決まってるじゃない。」


リナ「あら、そう。

ごめんなさい、お邪魔だったわね。

じゃあ、二人で楽しんでねー。

バイバーイ。」


シン「リナ。ちょっと待て。

ライラは話があるからって今さっき来たとこだ。

ライラ、次変なこと言ったら追い出す。」


ライラ「はーい。

ごめんなさーい。」


シン「ライラ、リナもいていいか?」


ライラ「うーん。

ほんとは二人きりがよかったけど、

まあいいわ。入って。」


リナのこめかみがピクッと動く。


リナ「...なんでそんなに偉そうなのよ。」


シン、リナ、ライラがテーブルを囲む。


シンが一口ジュースを飲む。


シン「で?」

 

ライラ「私ね……魔物を殺せないの」


シン「そうだな。

この前の依頼の時も、

全然攻撃してなかったもんな。」


ライラ「シンのためになりたいって本気で思ってる。

愛のパワーがあれば、簡単に裏切れると思ってた。」


シン「ふむふむ。」


ライラ「魔物は...仲間だから」


シン「で?

どうする?

冒険者やめて魔王のとこに帰る?」

 

リナ「そうね。それがいいと思う。

あなたの気持ち、わかるわ。」


リナ、陰でニヤリ。


ライラは、ゆっくり息を吐く。


沈黙。


ライラ「でも、シンと離れたくない。」


リナ「それはわがまますぎない?

そんなこと言ったって、

戦えないんでしょ。」


ライラ「だからね。」


決意に満ちたまっすぐな目。


ライラ「終わらせたいの。

仲間同士で殺し合うの。」


シン「終わらせるって、

どうやって?」


ライラ「魔王様に会ってほしい」


ライラは、迷わず言った。


空気が凍る。


シン「...は?」


リナ「ふざけてるの?」


ライラ「本気よ」


リナ「相手は魔王よ?

殺されにいくようなものじゃない。」


ライラ「そんなことない。

あなたたちは魔族を誤解している。

話せばきっとわかってくれる。」


リナ「私はデーロンてやつに犯されかけたのよ。」


ライラ「デーロンは特別。

魔族の中でも特に最低なやつ。

私も嫌いだった...」


リナ「そんなの信じられない。」


シン「人間の中にもデーロンみたいなやつはいる。」


ライラ「シン」


シンは、冷蔵庫を開ける。


ジュースを一本取り出して。


ゆっくり飲む。


シン「...はぁ」


ため息。


シン「めんどくさいな」


シンは、何でもないように言った。


シン「行くか」


リナ「え?」


リナが驚く。


シン「どうせ断っても諦めないんだろ?」


ライラ「うん。」


ライラが笑顔で言った。


ライラ「シン、大好き♡」


ライラ呆然。


リナ「...本気?」


シン「ライラを説得する方が面倒だ。」


リナは、ため息をついた。


リナ「...もう」


諦めたように。


リナ「わかったわ。

私も行く。」


ライラ「リナは大丈夫。」


リナ「はあ?

行くったら行くのよ。」


シン「よし、決まり。

さ、話は終わったろ?

帰ってくれ。」


結局二人は帰らず、

夕方まで居座り続けた。


シン(こんなはずじゃなかった...)

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