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最強なのに無能扱いの俺、グータラ生活を維持するため今日も最低限の働きをする。  作者: 鯖村光輝


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第5話「失われた日常」

とある朝。


シンの家の前に立つリナ。

 

リナ「シン、依頼行くわよ」


シン「……」


リナ「シン!起きてるんでしょ?」


シン(...よし、まだ行けそうだ。)


リナ「...ファイヤー....」 


シン「え?」


リナ「アロー!!!」


シン「待てー!やりすぎだろー!」


シンが急いで窓を開ける。


リナ「おはよ♡

朝の発声練習してた。」


何事もなかったかのように、

リナは笑顔で言った。


シン「...

そういうの脅しって言うんだぞ。」


リナ「脅し?

ん?なんのこと?

さ、お仕事いこ♡」


シン(明日は何言われても起きない。) 



ギルド。

 

リナ「今日はこれね。」 


リナが紙を差し出す。


シン「リークル山に生えてる薬草採取?

こんなのギルドに頼む仕事か?」


リナ「どうやら山賊が出るらしいの。」


シン「ふーん。

てか、ちょっと遠くないか?

もう少し近めで....」


リナ「これ達成したら、しばらくお休みしてもいいわよ。」


シン「そうか...行こう。

いざ、リークル山へ!」


リナ「うん♡」


この世界にはテレビや動画がある。


シンの楽しみは、


お菓子を食べながらゴロゴロして動画を見ることである。


シン(明日からのんびりしよー。

あのアニメと、あのドラマ観よ。

しばらくってどのくらいかな。

まあ、最低でも一週間くらいはあるだろ。

楽しみだー。)


リナ(最近けっこう連れ回しちゃってたから、

たまには2連休くらいさせてあげてもいいかな。)


二人の感覚はだいぶズレていた。


山道。


シン、リナ、そしてその他3人の冒険者。


人の気配が減っていく。


代わりに、妙な静けさ。


リナ「いつ山賊が出るかわからないから、

油断しないようにね。」


リナは真剣な表情でみんなに言った。


冒険者「はい!

常に警戒していきます!」


シンはいつも通り、

あくびをしながらゆっくり着いてくる。


シン「フワァー」


リナ(あいかわらずの緊張感の無さね。)


山の奥。


目的の薬草は、すぐに見つかった。


リナ「これね」


冒険者「思ったより早く見つかりましたね。」


リナ「うん。」


リナがしゃがむ。


その瞬間——


「動くな」


低い声。


囲まれていた。


山賊。


20人以上。 


武器を構えている。


「おほーっ!いい女じゃねぇか。」


リーダーらしき男が前に出る。

 

リーダー「お前ら、金とその女、置いてけ」


冒険者「ふ、ふざけるな!

そんな要求飲むわけないだろ。

お、お前らこそ早く逃げた方が身のためだ。

リナさんはめちゃくちゃ強い魔法使いなんだぞ。」


リーダー「ほー、リナっていうのか。

いい名前だ。

俺の女になれ。」


リナは立ち上がる。


リナ「断るわ」


リーダー「へへ、気の強い女。

俺の好みだぜ。

お前ら、この人数相手に強がらない方が身のためだと思うぞ。」


冒険者たち「くっ!」


シンは眠たそうにしている。


リーダー「いいから来い。

悪いようにはしねえからよ。」


シン、一瞬消える。戻る。


リナ「ふざけないで!だれが山賊の女なんかになるもんですか。」


シン、また消える。戻る。


リーダー「そんなこと言うなよ。

こう見えて、けっこう優しいんだぜ。俺。」


ドサッ


リーダーの隣にいた山賊が急に気を失って倒れる。


リーダー「おい。どうしたんだ。

この暑さでやられちまったのか?

情けねえやつだな。」


リーダーが、ふと後ろを見る。


山賊全員倒れて気を失っている。


リーダー「えーーーー!」


冒険者「な、なんだ!どういうことだ。

全員熱中症か?」


リナは薄い笑みを浮かべた。


リナ「どうやら動けるのはあなた一人みたいね。」


リーダー「く、くそー!」


リーダーがリナに切りかかる。


リナ「インパクトショット!」


衝撃で山賊のリーダーが吹っ飛ぶ。


リーダー「ぐはー!」


気を失う。


冒険者「うおー!すげー!

さすがリナさんだ。」


リナは笑みを浮かべてシンを見る。


いつも通りのあくび。


リナ「フフ。

さあ、早く薬草を採って街に帰りましょ。」

 

薬草を回収する。


帰り道。


冒険者「シン、さすがだぜ。

今日も何もしてねえな。」


シン「フフ、まあな。」


冒険者「褒めてねえよ。」


リナはニコニコ。


夕焼け。


リナがシンに近づき、小声で話しかけた。


リナ「ねぇ」


シン「なに?」


リナ「もし私がいなくなったらどうする?」


シン「家でのんびりする。」


リナ「なにそれー。

心配にならないの?」


シン「あんたならどこでもやっていけるだろ。」


リナ、ふてくされる。


シン「なんだよ。褒めてんだぞ。」


リナ「納得いかない。」


シン「んー。

なんというか。

あんたがいるのが当たり前になってるから。

いなくなるとか想像できないんだよな。」


リナ「え?」


その時。


シンの足が、わずかに止まった。


(……なんだ。

この嫌な感じ。)


違和感。


一瞬だけ。


だが——


リナ「どうしたの?」


シン「何かいる。」


リナ「え?何かって?」


冒険者「う、うわー!」


暗黒狼の集団が前を歩いていた冒険者たちを襲う。


シン(こんな山に暗黒狼だと!?)


シンは、気づかれないように暗黒狼たちを倒していく。


リナ「キャー!」


シンがリナの方を振り向く。


リナがいない。


「……おい。リナ!

どこだ!」


返事はない。


わずかな魔力だけが残っている。


冒険者「シン、リナさんはどこ行った?」


シン「...どうやら行方不明になっちまったみたいだ。

みんなはギルドに行って、

リナがいなくなったことを伝えてくれ。」


冒険者「わ、わかった。

お前はどうするんだ。」


シン「俺はもう少し探してみる。」


冒険者「わかった。

無理するなよ。」


シン「ああ...」


シンの目つきは、

今までとは別人のように鋭くなっていた。

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