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第74話:夜明けの体温(届いた荷物と、解かれた鎖)

午前五時。王国内部にある、ケニーが指定した「非公開の配送センター」。トラックのエンジンが静かに止まった。

1. 封印の解除

「ロジャー、お疲れ様。……積み荷(・ ・ ・)を下ろしてくれ」

司令室から駆けつけたケニーの声に、ドライバーのロジャーは深く頷き、後部コンテナの重い扉を開いた。

暗い庫内、絶縁素材の箱の隅で、一人の少女が膝を抱えて震えていた。

「……ここは、もう安全だ。お嬢ちゃん、よく頑張ったな」

ロジャーが大きな手で、彼女を優しく抱き上げる。賄賂を使ってまで守り抜いた「命」が、ようやく朝の光の下へと運び出された。

2. 泥だらけの再会

センターの隅で、一晩中一睡もせずに待ち続けていた老人が、よろよろと立ち上がった。

「……じいじ!」

少女が地面に降り立ち、小さな足で駆け出す。老人は膝をつき、泥のついた作業服も構わず、孫娘を力いっぱい抱きしめた。

「……ああ、ああ、生きていてくれたか。本当に……本当に……」

老人の嗚咽が、冷え切ったセンターの空気を震わせる。第70話でナイフを握っていたあの手は、今はただ、愛する者を離さないために強く震えていた。

3. 49歳の「清算」

「……オーナー。これ、今回の『通行料』の領収書です。……まあ、経理には出せませんわね」

ソラリスが、苦笑いしながら一通のメモを手渡す。

ケニーは、再会を喜ぶ二人を見つめながら、そのメモを無造作にポケットへねじ込んだ。

「……いいさ。あのおにぎりと、スープの代金だと思えば、少しばかり高いが……釣りはくる」

法や正義では救えなかったものを、汚れた金と、深夜の物流ルートが救った。それは、経営者として一つの「勝負」に勝った瞬間だった。

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