第131話:カウンター越しの系譜(重なる告白と、時空を越えた再会)
深夜の静寂が包む第1支店。店内に響くのは、冷蔵ケースの微かな駆動音と、レジ袋の擦れる音だけだった。
1. 繰り返される光景
「……あのさ、ずっと言いたかったんだけど。……俺と、付き合ってくれないか?」
レジカウンター越しに、若い男が顔を真っ赤にして、バイト中の同級生らしき女性店員に告白していた。
女性店員は驚きに目を見開き、やがて顔を伏せながらも、小さく、だが嬉しそうに頷いた。
「……はい。よろしくお願いします」
初々しい二人の姿を、店内の隅で補充作業をしていたケニーは、目を細めて見守っていた。
2. 蘇る前世の記憶
(……既視感だな)
ケニーの脳裏に、49年の人生を歩んだ前世の記憶が鮮やかに蘇る。
あの時も、自分の経営していたセブン-イレブンのカウンター越しに、同じように同級生の男の子が店員の女の子に告白していた。
あの二人はそのまま付き合い、やがて結婚した。そして、元気な男の子が二人生まれた。驚いたことに、その息子たちも成長すると、親と同じように自分の店でアルバイトとして働いてくれたのだ。
「……懐かしいな。あの家族には、本当にお世話になった」
3. 消えた長男の行方
ふと、ケニーは記憶の断片を繋ぎ合わせた。
「そういえば、あの家の長男坊……。数年前、突然行方不明になったと聞いていたが……」
結婚したという知らせを聞いた後、風の便りで「長男が神隠しに遭ったように消えた」という話を聞いて、心配していたのだ。
ケニーは、先ほど告白を成功させた若い男の背中を見つめながら、不思議な感覚に包まれた。
この異世界という「受け皿」があるのなら、彼もまた、どこかの街のコンビニに辿り着いているのではないか。
4. 繋がっていく命のバトン
「オーナー、どうかしましたか? ニヤニヤして」
ロイに声をかけられ、ケニーは我に返った。
「いや、なんでもない。ただ、コンビニのカウンターっていうのは、人生が交差する不思議な場所だと思ってな」
告白した二人は、手を繋いで幸せそうに店を出ていった。
かつての教え子が、あるいはその子供が、この異世界のどこかで自分の看板の下、今日もレジを打っているかもしれない。
「……もしあいつが来ているなら、立派な店員として育ててやるさ。俺の店だ、食うには困らせない」
ケニーは、24時間営業の明かりを見上げ、目に見えない「縁」の糸を感じながら、満足げにレジ袋を整えた。
これでまた、自分の中に「徳」という名の、温かな記憶が一つ積み重なった。
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