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これからの話

 シナリオの初日はそんな感じで終わった。何事もなく完遂できて良かった。


 ヒロインであるミレイユも、シナリオ通り普通だった。ゲームと同じシチュエーション、なんなら台詞もあんな感じだった気がする。



 セレナも少なくとも今日見た限り、俺が感じ取っていた感覚に間違いはなく、只々周りの連中が、勝手な変偏見で、口々に言っているようにしか見えなかった。



 家に帰り、自室へ戻るといつもの癖で、直ぐに制服を脱ぎベッドへ倒れ込んだ。

 すげぇ柔らかい、最高じゃん。そのまま身を任せて寝ってしまいそうになる。


 でも、ふと思い出し身体を起こすと、俺はそそくさと机に向かい、手頃なところにあったノートと、高そうな万年筆を取った。


 全部覚えてるわけじゃないけど、明日からの学園で過ごすにあたり、覚えているだけシナリオの内容を書き出してみることにした。



 【ストーリー】


 うん、分かればいい。どうせ俺しか見ないのだからと、セレナ・ノワールが断罪されるまでの流れを書き連ね始めた。


 ヒロインが4人の攻略対象達と仲良くなる。それを見た悪役令嬢が嫉妬をして、嫌がらせや問題を起こす。

 それを見かねた俺らが最後に断罪するってだいぶ王道な話だよな。ありきたりだし。



 まあ、でも。推しであるセレナが断罪されるのは何回見ても嫌だったな。なんて思いながらペンを滑らせていく。

 軽く振り返りも兼ねて、今日の事から書いていくとしよう。


 【入学式】


 ミレイユと接触する攻略対象は、ディルとテオ。軽く話したくらいだし、まぁ初対面ならあんなもんだよな。

 むしろテオと同じクラスらしいし、あっちが本命イベントのはず。


 

 他の攻略対象キャラとの接触イベントも書き出してみるか。ヒロインと学年が違うから、ディルやテオに比べて後から登場するんだもんな。



 【二年生 ジェイク→噴水イベント】


 暫く経ちミレイユが、俺やテオと仲良くなって好感度が上がっていくと、同学年の女子生徒達に嫉妬される。

 そして、持ち物を中庭の噴水へ投げ込まれる。そんな所に

ジェイク登場し、スマートに自分から噴水に足を入れミレイユの持ち物を回収して騒ぎを鎮めて、そこから距離が縮まってくんだよな。


 いや、今考えるとイベント強引だな。てか、女子怖過ぎだろ。



 【三年生 レオン→パーティー】


 レオンとは確か、学園内のパーティーで初対面するんだよな。

 これまた、嫉妬した女子生徒躓いたふりをして持っていたジュースをミレイユのドレスにかけて台無しにする。

 それを見ていたレオンが横抱きしてって感じだ。



 そう言えば、ディルの好感度イベントってなんかあった気がするんだけど、なんだっけな。

 俺は、くるくると万年筆を回しながら思い出そうとしていた。




【生徒会】


 そうだ!と思い出した俺は、生徒会の文字に赤くペンで丸を描いた。

 生徒会に入った俺は、仕事に追われていた。


 普段は、生徒会で書類整理などと同時並行でやっていたが、調べ物のついでに図書室へ向かう。そこにヒロインが居て、調べ物を手伝ってくれるというイベントだ。


 ここで結構好感度上がるんだよな。なんて考えながら紙を見つめると、登場人物の名前が並びその中で、セレナ・ノワールの文字に目が止まった。



 【セレナ・ノワール→断罪】


 

 一年後の卒業記念パーティーにて、この乙女ゲームの悪役令嬢であるセレナが断罪される。

 ゲームだとクリックしながらイベント進めてあっという間だったけど、実際一年って案外長いな。


 でも、ゲームやっている時も、今も推しなのは変わらない。あんな子が最後には断罪されるなんてあってはならない。


 俺は万年筆を強く握ると、決心した。【断罪】その文字を二重線で消した。代わりに【保護】と書き加える。

 少し考えてから、さらに書き足す。


 【一年あれば、救えるかもしれない】


 推しだから、それだけ。別に正義感じゃない。


 一年後に全部知ってから後悔するくらいなら。一年ある今、動いた方がいいよな。目を瞑りながら少し考えた俺は、ノートを閉じた。


 まだ何をするかは決めてない、でも俺は、一つだけ決めた。セレナ・ノワールを断罪エンドにはさせない!!



 俺はセレナを保護する!!

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