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44歳おっさん、若返って異世界で秘密結社始めました 〜特撮オタでヒーローが好きなのにいつの間にか恐ろしい首領に見られてた〜  作者: 田島久護


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第八話 元戦友の襲撃と”名乗り”のお約束

「良いか、二人とも。これから我が組織を拡大していくにあたり、絶対に守らなければならない重要な『オツヤク(お約束)』がある!」


 翌朝、アジトの居間の整理整頓をしながら、俺は直立不動のフェンリと王牙に向かって熱弁を振るっていた。


「「オツヤク!!」」


 二人の返事のキレは相変わらず素晴らしかった。


「一つ! 敵が名を名乗っている最中は、絶対に手を出してはならない! 二つ! 部屋に入る時は必ずノックをする! この二つは、どんな戦場であっても徹底してもらう!」


 特撮ヒーローや悪の組織において、名乗り口上の最中に攻撃を仕掛けないのは絶対の美学でありマナーだ。


異世界であってもそのこだわりだけは譲れない。


「「はっ! 敵の名乗りを静聴し、礼儀を尽くして滅ぼす……! オツヤク、肝に銘じます!」」


 ただの特撮オタクの様式美なのだが、二人の中では『敵に絶望を与えるための禁忌の儀式手順』として脳内変換されていた。


その時、指令室のバッジからアリサの緊迫した声が響いた。


『コージ、大変よ! 屋敷の外の結界の前に、いかにも高そうな華美な鎧を着た、トカゲ顔の男たちが大勢押し寄せてきているわ!』

「華美な鎧……。たぶん、イマガモノ国の聖騎士団だな。手早く片付けて、掃除の続きをしよう」


 俺たちが屋敷の外へ出ると白銀の結界の向こう側に、二メートル近い背丈のトカゲ族の男が部下を引き連れて立っていた。


顔に無数の小さな傷を持つその男には見覚えがあった。


魔王討伐の旅で一緒だった聖騎士トレイダだ。


トレイダは手にした魔法の水晶がアジトを指しているのを見て、驚愕に顔を引きつらせていた。


「おいおい、何なんだこのボロ屋敷は……。国を護っていたあの神の結界が、なんでこんな場所にあるんだよ……! 嘘だろ!?」

「お前たち、よくぞ我らの秘密基地まで来たな!」


 フェンリがすかさず前に出て、斜め四十五度ポーズを決める。


「こいつら、何なんだその妙な構えは……!? とてもコージの味方とは思えんが……。おい、大人しくコージを差し出せ! でなければ、姫様から授かったこの『広範囲消滅弾(イレイザーボム)』で、この区域ごとすべて消し去ってやる!」


 トレイダが腰の袋から、黒く禍々しい怨念の気を放つ掌サイズの杭を取り出した。


その禍々しい魔力の密度を見た瞬間、前世の万年平社員時代に培った俺の勘が、最大警戒のアラームを鳴らした。


あの一撃をまともに喰らえば、アジトが吹き飛ぶ……! お約束の戦闘開始だ!


「フェンリ、王牙、前衛を任せる!」


「「オツヤク!!」」


二人の巨漢が、凄まじい速度で結界を飛び出した。



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