第五話 自業自得の絶望を画面の向こうで見下ろす
ギルドから支給された保存食を抱え、俺たちはアジトである秘密基地へと帰還した。
「さて、基地の機能を確認するか」
指令室の操作パネルに魔力を流すと、中央の巨大なメインスクリーンが音を立てて起動した。
【外部出力、周辺の敵性国家の動向をリアルタイム投影します】
抑揚のないシステム音声と共に、画面に映し出されたのは、ボロボロに破壊された聖都の王の間だった。
何者かの攻撃によって城壁はあちこち崩壊し、中庭には怪人や魔族の襲撃で傷ついた兵士たちが溢れかえっている。
「王よ、コージを呼び戻さねば我が国は本当に終わりです! 奴の張っていた結界がなければ、魔族の猛攻を防ぎきれません!」
セウトが必死に玉座の前で膝をつき、報告している。
それを聞いたセットー王は、絶望のあまり青筋を立て、がたがたと震えていた。
「早く、早く結界を戻しなさいよ! 何をしてるのよアンタ! アイツを捨ててアンタを拾ってやったのを忘れたの!?」
元婚約者のリース姫は、ヒステリックに叫びながら自分の髪を掻きむしっている。
かつて俺を”醜い化け物”と罵り、笑顔で追放した者たちの、見るも無惨で哀れな自滅の光景。
「おいおい、王様はストレスで泡を吹いて失神しちゃったぞ。お約束……オツヤク通りの最高の自業自得、ざまぁだな」
画面の向こうの絶望を、俺は秘密基地の最高級ソファに深く腰掛け、冷たい笑みを浮かべて見下ろした。
「我が首領! これより秘密結社・逆鱗、世界掌握に向けて動き出します! オツヤク!!」」
フェンリの忠誠の咆哮を背に、無敵の秘密結社による爽快なる異世界勘違いコメディが、今ここに幕をあけたのだった。
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