漢なら臭くてもがまんしろ!(前)
お、おまたせ。
清々しい朝が来た、希望の朝だ。
京介は日のでと共に清々しい朝を迎えていた。
昨日の晩は色々ハッスルしすぎたため嫌な目覚めになるかと思っていたが、
モモが気をきかせて癒しの魔法と深い眠りへの魔法をかけていてくれたので、
疲れも眠気も感じない万全の状態だ。
異世界での初体験の感想は、
「臭い」だった。
やっぱりお風呂って大切だね。
京介は心からそう思うのだった。
だが、それ以外は上々と言えた。アルシュの引き締まった体もそうだが、女でありながら相手を屈伏させんとばかりの攻撃的な行為は、受け身の相手が多かった京介に新鮮な感動を与えた。
「さて、モモ。今日の予定を教えてくれ。」
「はい、まずはこの女奴隷を奴隷市に売り払いに行きます。相場を調べた感じでは、それなりのところに売れば2年ほどは豪遊できるほどの金額になると思います。」
モモは昨日の疲れから未だ起きる気配のないアルシュを指さしながらいう。
「それなり?」
「それなりはそれなりですよ・・・ふふ。」
聞き返す京介に、モモが唇に人差し指を当て怪しく笑う。
基本的にはモモはスマホのアプリだったモモに人格を与えたものだが、そのベースになっているのは、ネットの検索履歴や、ダウンロードしていたアプリ等の志向等のデータなので、価値観や考え方のロジックは同じはずだ。「しかし、俺ってこんなドSだったけか?」自分のかくれた性癖に気づかされた気がして京介の背中に冷たい汗が流れる。
「その後に、ウィンザー様達との待ち合わせですね。昼の一つ目の鐘が鳴る頃って言ってましたから、だいたい13時頃ですね。アラームでお知らせしますね。」
「わかった。」
京介はそういうとアルシュをたたき起すと簡単に身支度を済ませ、宿の外にでる。
ちなみに、京介の荷物はすべてアプリ「キョウスケの冒険」にデータとして登録されている。モモの話では京介が自分の持ち物だと判断したものを分解解析しその組成をデータとして登録。使用時にはそのデータを魔法「ディプリケーター」を通すことにより再構築しているといことだった。ただしこれは物質に限ったことであり、魂の解析はできないので生物の登録はできない。
外で作業をしている宿屋の主人にセシルを支払い奴隷市場へと向かう。アルシュは昨日のことですっかり心を折られたのか、文句も言わずうつむいたまま京介達付いて来ている。
モモのナビに従い奴隷市に向かう通りを進むと、二つの人影が京介の行く手を阻む。フェキサとベンジンだ。京介の前に進み出ると二人は口を開く事もなく武器を構える。
「へえ、問答無用ってことね。覚悟は出来てんだな。」
京介も構えをとると、その拳に光が集まりガンドレットを形成する。
殺気が朝の冷えた空気をさらに冷たくし、緊張感がたかまる。
それが頂点に達しようとしたとき。
「待ってくれ!」
今まで無言だったアルシュが叫びながら両者の間に割って入った。
そして、仲間に向って這いつくばるようにして頭さげる。そして一言。
「すまない」
そう言って顔を上げた。
京介からではアルシュのその顔は分からないが、フエキサ逹無言で武器をおさめ、背を向けると足早に去って行った。
「いいのか?お前を助に来たんじゃないのか?」
仲間を見送る背に言葉を投げかりる。
アルシュは地に手を付けたままの姿で、仲間の去り行く背を見送っていた。
「おい、そろそろ行くぞ」
動かないアルシュの方に触れ、移動を促す。
だが、その手はアルシュに乱暴に振りはらわれた。
「っつ、お前・・・」
気色ばむ京介に、アルシュは手をついたまま京介に向き直り額を地面にこすりつける。
「頼む!私を売るのはやめて欲しい!」
「なにいってんだ?お前の頼みを聞く義理が何処にある?お前は俺を殺すつもりで刃を向けた。奴隷がいやなら、死ぬか?」
「それもやめてくれ!図々しいのはわかっている。私を抱きたいのであれば、飽きるまで好きにしてくれていい。金がいるのであれば必ずお前の希望の額を揃えてみせる。それに、私はこう見えても貴族の娘だ。地位が欲しいなら便宜も図ろう。だから、チャンスをくれないか?」
「確かに、お前の体は良かったけど、クセーしな。女もお前だけってわけじゃないし。金にも困ってなけりゃ、この世界の地位になんて興味ねえ。やっぱり、お前を許す必要性は感じないな。」
「っく・・・」
京介の言葉に肩を落としながらも拳を握りしめる。
「私は・・・やらなければならないことがあるのだ・・・。」
アルシュの絞り出すような声に、京介ななんだ?とといかける。
「私は!」
奮い立つよう声をあげながら、顔を上げ京介を見据える。
昨日、自分をめちゃくちゃにした魔導士。自分の自信を粉々に打ち砕いた男が目の前にいる。
アルシュはおそらく生まれて初めて恐怖した。
だが、気力を振り絞り言葉を続ける。
「私は魔王を討たなければならない!」
忘れてるわけじゃないんだからね。地味に改稿とかしてるんだからね!
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