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Another World Online(通称:AWO)  作者: バモス
第二章 CROSS社契約編

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55/133

第2話 副業申請という現実の壁

 翌朝。


 俺――上塚賢吾は、いつものようにスーツへ袖を通していた。


 昨日の夜はAWOへログイン。


 バルガに捕まり、《鉄刀・試作四号》の構想を一緒に考えた。


 そして現実では。


《CROSS LIVE 正式配信者契約書》


 まだ。


 契約前。


「問題はこっちだよな」


 スマートフォン。


 表示。


《副業・兼業申請》


 勤務先。


 銀行。


 当然。


 何でも自由に副業していいわけではない。


 情報管理。


 利益相反。


 信用。


 勤務への影響。


 色々。


 確認される。


「黒鎖商会より面倒とか言ったら怒られるな」


 まあ。


 比べるものでもない。


         ◇◇◇


 午前八時二十分。


 職場。


「おはようございます」


「おはようございます、上塚主任!」


 いつもの。


 銀行。


 いつもの。


 挨拶。


 いつもの。


 端末。


 いつもの。


 書類。


「主任」


「何?」


「昨日AWO入りました?」


「なんで俺に聞く?」


「ジョウゴの配信なかったから」


「知らないよ」


「でも主任、ジョウゴ好きでしょう?」


「見る程度」


 危ない。


 最近。


 この後輩。


 妙に俺へジョウゴの話を振ってくる。


「昨日」


「バルガが試作四号作るらしいって掲示板に出てましたよ!」


「へえ」


「三号もう完成したばっかりなのに」


「職人ってそういうものじゃない?」


「詳しいですね」


「一般論」


「なるほど」


 危ない。


         ◇◇◇


 午前。


 普通。


 仕事。


 顧客対応。


 融資資料。


 後輩の確認。


 電話。


 そして。


 昼休み。


「……よし」


 俺は社内システムを開いた。


《副業・兼業申請》


《新規申請》


 職種。


 ここ。


「配信者?」


 選択肢。


《動画・ライブ配信活動》


「ちゃんとあるんだ」


 今の時代。


 珍しくないらしい。


         ◇◇◇


《活動内容を入力してください》


 どう書く。


「VRMMORPGのプレイ配信」


 それだけ。


 だと。


 軽すぎる?


《フルダイブ型VRMMORPG《Another World Online》のゲームプレイを、CROSS株式会社が提供する配信サービス《CROSS LIVE》上で配信する活動》


「これでいいか」


 次。


《活動頻度》


《月4回以上を予定》


 ただし。


 本業優先。


《原則として勤務時間外。月4回程度を基本とし、勤務への影響が生じない範囲で実施》


 次。


《報酬》


「……」


 契約金。


 広告。


 投げ銭。


 変動。


「ここが一番嫌だな」


 金額。


 幅。


 大きい。


 CROSS社。


 提示。


 想定収益。


 入力。


「これ」


 審査する人。


 驚かない?


         ◇◇◇


 次。


《取引先・顧客との利益相反はありますか?》


「なし」


《勤務先の名称・ロゴ・制服・内部情報等を副業活動で使用しますか?》


「しない」


《本業で知り得た個人情報・営業秘密を使用しますか?》


「絶対しない」


《現職の信用を利用した広告活動を行いますか?》


「しない」


《実名・勤務先を公開しますか?》


「しない」


 ここ。


 重要。


         ◇◇◇


「主任」


「うわっ」


 後ろ。


「何してるんです?」


 即。


 画面。


 最小化。


「びっくりさせるな」


「すみません」


「資料確認」


「何か用?」


「午後の案件」


「ああ」


 後輩。


 書類。


 出す。


「ここなんですが」


「見る」


 仕事。


 戻る。


         ◇◇◇


 昼休み。


 終わり間際。


 申請。


 最後。


《上長へ申請しますか?》


「……」


 これ。


 押せば。


 直属。


 上司。


 見る。


「まあ」


 契約。


 するなら。


 避けられない。


《申請》


 ポチ。


《副業・兼業申請を送信しました》


「送った」


 なんか。


 灰色谷。


 突入。


 より。


 緊張。


 する。


         ◇◇◇


 午後二時十三分。


「上塚君」


「はい」


 支店長。


 呼ばれる。


 早い。


「ちょっといい?」


「はい」


 来た。


         ◇◇◇


 応接スペース。


 俺。


 支店長。


 二人。


「副業申請」


「はい」


「配信活動?」


「そうです」


 支店長。


 タブレット。


 見る。


「ゲーム?」


「はい」


「AWO」


「ご存じですか?」


「名前は知ってる」


 まさか。


「やってます?」


「やってない」


「そうですか」


「息子がやってる」


「……」


 嫌な。


 予感。


「それで」


 支店長。


「CROSS LIVE」


「公式配信者?」


「契約前ですが」


「正式契約の打診を受けています」


「なるほど」


 資料。


 読む。


         ◇◇◇


「勤務時間外」


「はい」


「銀行名は出さない」


「はい」


「顧客情報」


「当然扱わない」


「はい」


「金融商品」


「配信内で話さない」


「その予定です」


「投資助言的な話も?」


「しません」


「良い」


 そこ。


 むしろ。


 俺も。


 絶対。


 避けたい。


         ◇◇◇


「問題は」


 支店長。


「収益だね」


「ですよね」


「想定額」


「結構ある」


「俺も驚いてます」


「本当にこれ?」


「CROSS社の提示です」


「……」


 支店長。


 俺。


 見る。


「そんな人気配信者なの?」


「まだ」


「正式契約前です」


「そうじゃなくて」


「実績」


「……」


 言いにくい。


「最大同時視聴」


「どのくらい?」


「……三十万人ちょっと」


 沈黙。


「上塚君」


「はい」


「それ」


「ちょっとじゃない」


「俺もそう思います」


         ◇◇◇


 支店長。


 資料。


 もう一度。


 見る。


「配信者名は?」


「……」


 ここ。


 答え。


 必要?


「申請上」


「必要ですね?」


「まあ」


「確認のためには」


「ジョウゴです」


「……」


 止まる。


「ジョウゴ?」


「はい」


「刀の?」


「……はい」


「灰色谷の?」


「はい」


「四十五人救出した?」


「ゲーム内です」


「ルク君の?」


「……」


 何で知ってる。


「支店長」


「AWOやってないんですよね?」


「息子が見てる」


「そうでしたね」


「昨日」


「晩飯中に」


『ジョウゴすげえ!』


「って」


「ずっと話してた」


「……」


 終わった。


         ◇◇◇


「上塚君」


「はい」


「君だったの?」


「公には」


「内緒でお願いします」


「もちろん」


 支店長。


 一瞬。


 笑い。


 堪える。


「いや」


「まさか」


「うちの主任が」


「ゲームで刀振り回してるとは」


「振り回してはないです」


「細かいね」


「大事です」


         ◇◇◇


「でも」


 支店長。


 表情。


 戻る。


「副業としては」


「社内審査に回す」


「俺だけで許可は出せない」


「分かってます」


「いくつか条件」


「付くと思う」


「はい」


「本業優先」


「勤務先非公開」


「金融関係の発言制限」


「勤務中の配信禁止」


「当然」


「あと」


 一拍。


「睡眠削ってまでやらない」


「……」


「そこ」


「会社が言うんですか?」


「勤務に響くから」


「正論」


         ◇◇◇


「上塚君」


「はい」


「個人的には」


「応援するよ」


「ありがとうございます」


「息子に」


「サイン――」


「支店長」


「冗談」


「ですよね?」


「半分」


「……」


 上司。


 怖い。


         ◇◇◇


 夕方。


 勤務終了。


「お疲れ様でした」


「お疲れ、上塚君」


 支店長。


 小声。


「ジョウゴ君」


「やめてください」


 笑う。


「内緒にするよ」


「お願いします」


         ◇◇◇


 帰宅。


 スマートフォン。


 見る。


《副業・兼業申請》


《審査中》


「まだ」


 当然。


 即日。


 ではない。


 CROSS社へ。


《現在、勤務先へ副業申請中です。承認後に正式契約可否をご連絡します》


 送信。


 すぐ。


《神崎:承知しました。勤務先の承認を優先してください》


「助かる」


         ◇◇◇


 夕食。


 風呂。


 家事。


 そして。


「AWO」


 ログイン。


         ◇◇◇


《Welcome Back》


《Another World Online》


 銀麦亭。


 七号室。


「さて」


 現実。


 副業。


 面倒。


 こっち。


「今日は」


 少し。


 気楽に。


 下。


 降りる。


         ◇◇◇


「兄ちゃん!」


「気楽に無理だった」


 バルガ。


 待ってた。


「何?」


「試作四号!」


「昨日」


「設計したばっかり」


「素材!」


「揃えた!」


「早い!」


         ◇◇◇


 テーブル。


 上。


 三種類。


《高密度鉄》


《黒鉄》


《蒼鉄》


 そして。


 もう一つ。


「これ何?」


 薄い。


 白銀。


 金属。


《銀星砂》


「砂?」


「ああ!」


「レイゼンの商人が」


「持ってきた!」


「金属に混ぜると」


「魔力」


「通りやすくなるらしい!」


「魔力?」


 俺。


 刀。


「魔法剣?」


「違う!」


「でも」


「魔力の流れ」


「良くなる!」


 つまり。


 AWO。


 独自。


 進化。


 始めてる。


         ◇◇◇


《鍛冶師バルガと刀》


《第七段階:三素材複合》


《追加研究素材:銀星砂》


《特殊派生の可能性》


「また増えた」


「兄ちゃん!」


「楽しいな!」


「バルガが一番楽しんでる」


「当たり前だ!」


         ◇◇◇


「ジョウゴさん!」


 ミナ。


「来てます!」


 カイト。


 レント。


 入る。


「今日」


「何する?」


「鍛冶」


 カイト。


「知ってた」


「バルガが店の外で待ってたから」


「そんなに?」


「三十分」


「怖い」


         ◇◇◇


「配信」


 ミナ。


「しないですよね」


「ああ」


「契約前だし」


「それに」


「今日は研究」


「地味」


 バルガ。


「地味だと!?」


「鍛冶師基準じゃなく」


「視聴者基準」


「鍛冶回」


「十万人超えた」


 レント。


「地味ではない」


「そうだった」


         ◇◇◇


 工房。


 移動。


 炉。


 火。


「今日は」


 完成。


 まで。


 やらない。


「まず」


「素材」


 性質。


 調べる。


 高密度鉄。


 硬い。


 黒鉄。


 粘る。


 蒼鉄。


 軽い。


 銀星砂。


 魔力伝導。


「全部」


「入れたら?」


 カイト。


「最強?」


「そんな簡単じゃない」


 俺。


「性質」


「喧嘩する可能性」


「ある」


 バルガ。


「その通り!」


「だから」


「小片」


「作る!」


         ◇◇◇


 小さい。


 試験片。


 一つ。


 高密度鉄+黒鉄。


 二つ目。


 黒鉄+蒼鉄。


 三つ目。


 三素材。


 さらに。


 銀星砂。


「実験」


 ミナ。


「本当に研究室みたい」


「鍛冶工房だけど」


         ◇◇◇


 カン!


 カン!


 カン!


 火花。


 散る。


《槌打ちLv.1》


 俺も。


 補助。


「兄ちゃん!」


「そこ!」


「分かってる!」


「温度下がった!」


「戻す!」


 バルガ。


 厳しい。


 でも。


 楽しい。


         ◇◇◇


 一時間後。


《試験片A》


《硬度:高》


《粘性:高》


《重量:中》


《魔力伝導:低》


「普通」


「試作三号系」


 次。


《試験片B》


《硬度:中》


《粘性:高》


《重量:低》


《魔力伝導:中》


「軽い」


 俺。


 振る。


「短刀」


「向き?」


 バルガ。


「ありだ」


 次。


《試験片C》


《硬度:高》


《粘性:高》


《重量:低》


《魔力伝導:高》


「……」


 全員。


 止まる。


「全部」


 高い。


 でも。


《加工難度:非常に高》


《安定性:低》


「これか」


 レント。


「欠点」


「ああ」


 不安定。


「武器にしたら」


「壊れる?」


 ミナ。


「可能性」


 ある。


 バルガ。


 目。


 輝く。


「面白ぇ!」


「そこ?」


「難しいほど」


「燃える!」


         ◇◇◇


《特殊レシピ候補を発見》


《星蒼複合鋼》


《未完成》


《必要条件》


《高温域での安定接合》


《銀星砂の均一分散》


《魔力経路制御》


「最後」


「魔力経路?」


 俺。


「鍛冶だけじゃ」


「無理?」


 バルガ。


「魔術師」


「必要かも」


 三人。


 ミナ。


 見る。


「え?」


「私?」


「魔法使える」


「でも鍛冶」


「分かりません!」


「魔力」


「流すだけなら?」


「できるかも」


         ◇◇◇


《共同生産の可能性を確認》


《鍛冶師》


《補助鍛冶》


《魔術師》


「複数人」


「製作」


 これ。


 刀。


 バルガと俺。


 だけ。


 じゃない。


「面白い」


 俺。


 口。


 出る。


 バルガ。


 ニヤ。


「だろ!」


         ◇◇◇


 その時。


 工房。


 外。


「ジョウゴ」


「誰?」


 聞き覚え。


 ない。


 でも。


 声。


 落ち着いてる。


 バルガ。


「客?」


 扉。


 開く。


 男。


 長い。


 白銀。


 髪。


「……」


 俺。


 見覚え。


 ある。


「カイル?」


《白銀の旅人 カイル》


《元Sランク冒険者》


「久しぶり」


「数日しか経ってない」


「そうか?」


「何しに」


「来た?」


「言っただろ」


 カイル。


 バルガ。


 見る。


「鍛冶師に」


「会いに来るって」


「本当に来た」


         ◇◇◇


 バルガ。


「誰だ」


「元Sランク」


「何!?」


 食いつく。


「武器!」


「見せろ!」


「そこ!?」


 カイル。


 笑う。


「いいぞ」


 腰。


 剣。


 外す。


「これ」


 鞘。


 細い。


 曲線。


 抜く。


 スッ――。


「……」


 俺。


 止まる。


「刀」


 バルガ。


「兄ちゃん」


「これ」


「カタナだよな?」


「ああ」


 でも。


 俺たち。


 作った。


 刀。


 違う。


 もっと。


 完成。


 されてる。


《東方刀》


《名称:月白》


《品質:英雄》


《詳細:鑑定不能》


「英雄品質」


 ミナ。


「試作三号」


「希少」


「かなり上」


         ◇◇◇


 カイル。


「東方諸国」


「そこで」


「手に入れた」


「鍛冶師」


「誰?」


 バルガ。


「教えろ!」


「遠いぞ」


「関係ねぇ!」


「バルガ」


「今」


「行けない」


「兄ちゃん!」


「シズナの工房」


「どうする」


「……」


 黙る。


「いつか行く!」


「それで」


 いい。


         ◇◇◇


 俺。


《月白》


 見る。


「構造」


「分かる?」


 カイル。


「振ってみるか?」


「いいの?」


「ああ」


「壊すなよ」


「バルガじゃないんだから」


「兄ちゃん!」


         ◇◇◇


 受け取る。


 軽い。


「……」


 試作三号。


 より。


 軽い。


 でも。


 頼りない。


 感じ。


 ゼロ。


 抜く。


 重心。


「かなり手元」


「そう」


 軽く。


 振る。


 ヒュッ――。


「!」


 止まる。


 速い。


「これ」


「切り返し」


「凄い」


「だろ?」


 さらに。


 違和感。


「魔力?」


 刀身。


 薄く。


 流れてる。


 銀星砂。


 今。


 試験。


 してた。


《魔力伝導》


「似てる?」


 俺。


 試験片。


 見る。


 カイル。


 目。


 少し。


 細く。


「ほう」


「気づいたか」


「この刀」


「魔力」


「通す?」


「ああ」


「東方刀の」


「一部はな」


         ◇◇◇


 バルガ。


「詳しく!」


「教えない」


「何でだ!」


「俺」


「鍛冶師じゃない」


「知らない」


「使い手」


「だけ」


「……」


 正論。


「でも」


 カイル。


 俺たち。


 試験片。


 見る。


「方向」


「間違ってない」


「本当?」


「ああ」


「ただ」


「魔力を」


「ただ通せばいい」


「わけじゃない」


「どういう?」


「刀身の中に」


「道を作る」


「道」


         ◇◇◇


《特殊生産ヒントを取得しました》


《魔力経路》


《素材内へ均一に魔力を流すのではなく、意図的な魔力流路を形成する》


「これ」


 ミナ。


「私」


「できるかも」


「魔力操作?」


「はい」


「線」


「作るイメージ」


「なら」


 バルガ。


「試すぞ!」


「今から?」


「当然!」


         ◇◇◇


「ジョウゴ」


 カイル。


「お前」


「面白いこと」


「してるな」


「俺じゃなく」


「バルガ」


「中心」


「でも」


「カタナ」


「持ち込んだの」


「お前だろ」


「そうだけど」


「世界」


「変えるの」


「大抵」


「こういう」


「余計なことする奴」


「余計」


「言わないで」


         ◇◇◇


 そして。


 三人。


 いや。


 四人。


 バルガ。


 俺。


 ミナ。


 カイル。


 工房。


「俺は見るだけ」


 カイル。


「手伝わない?」


「鍛冶」


「できない」


「元Sランクなのに?」


「関係ない」


         ◇◇◇


 小さな。


 試験片。


 再加熱。


「ミナ!」


「今!」


「はい!」


 ミナ。


 手。


 かざす。


 魔力。


 細く。


 流す。


「線」


「一本」


 青白い。


 光。


 素材。


 中。


 通る。


「もっと」


 中央!」


「はい!」


 バルガ。


 叩く。


 カン!


 カン!


「ジョウゴ!」


「保持!」


「了解!」


 工具。


 固定。


         ◇◇◇


《共同鍛造》


《魔力経路形成》


《成功率上昇》


「来た!」


 バルガ。


「そのまま!」


 ミナ。


「難しい!」


「あと少し!」


 カン!


 最後。


 槌。


         ◇◇◇


《試験片Dが完成しました》


《星蒼複合鋼・試験片》


《硬度:高》


《粘性:高》


《重量:低》


《魔力伝導:高》


《安定性:中》


「上がった」


「低から中」


 バルガ。


「できる!」


「まだ」


「試験片」


「でも」


「進んだ」


         ◇◇◇


《特殊レシピ進行》


《星蒼複合鋼》


《完成度:42%》


「四号」


 まだ。


 遠い。


 でも。


 道。


 見えた。


「これ」


 配信したら」


 ミナ。


「またすごいことになりそう」


「正式契約」


 まだ。


「そうでした」


         ◇◇◇


 その時。


 ポーン。


 現実側。


 重要通知。


 AWO。


 ゲーム。


 内。


 表示。


《現実連携通知》


《勤務先よりメッセージがあります》


「何?」


 まさか。


 副業申請。


「ログアウト?」


 ミナ。


「確認した方が」


「ああ」


「今日は」


「ここまで」


 バルガ。


「明日!」


「分からない!」


「兄ちゃん!」


         ◇◇◇


《Logout》


         ◇◇◇


 現実。


 VR機器。


 外す。


 スマートフォン。


 見る。


《副業・兼業申請》


《審査結果が届きました》


「早い」


 開く。


         ◇◇◇


《審査結果:条件付き承認》


「……」


 通った。


《条件》


《本業の勤務時間および職務遂行に影響を与えないこと》


《勤務先名・店舗名・顧客情報・内部情報を公開しないこと》


《金融商品・投資判断等に関する専門的助言を配信内で行わないこと》


《勤務先の信用・名称を広告宣伝に使用しないこと》


《収益額が一定基準を超えた場合、所定の再申告を行うこと》


《活動内容に重大な変更が生じた場合は再申請》


「妥当」


 全部。


 想定。


 範囲。


         ◇◇◇


 さらに。


《上長コメント》


『本業優先。睡眠不足で遅刻しないこと。頑張ってください。』


「支店長……」


 最後。


 余計。


 でも。


 ありがたい。


         ◇◇◇


 俺。


 CROSS社。


 メッセージ。


《勤務先より副業活動の承認を得ました》


《正式契約へ進みたいと思います》


 送信。


 一分。


 経たない。


《神崎:承知しました》


《電子契約手続きを開始します》


 そして。


 届く。


《CROSS LIVE 正式配信者契約》


《最終確認》


「いよいよ」


 俺。


 もう一度。


 読む。


 契約内容。


 変わってない。


 確認。


 一つずつ。


 最後。


《契約に同意しますか?》


「……」


 第一章。


 ただ。


 ゲーム。


 始めただけ。


 だった。


 でも。


 配信。


 始まり。


 視聴者。


 増え。


 CROSS社。


 正式契約。


「まあ」


 やってみるか。


《同意》


         ◇◇◇


《電子署名を完了しました》


《契約成立》


《上塚賢吾/配信名:ジョウゴ》


《CROSS LIVE 正式配信者》


「……なった」


 銀行員。


 主任。


 そして。


 正式配信者。


「本当に」


「肩書き増えたな」


         ◇◇◇


 直後。


 スマートフォン。


 通知。


《CROSS株式会社》


《正式契約成立を確認しました》


《おめでとうございます》


《初回公式LIVE企画についてご案内します》


「もう?」


 開く。


         ◇◇◇


《CROSS LIVE公式配信者・ジョウゴ》


《初回公式LIVE企画》


《内容:普段通りのAWO生活》


《特別な台本なし》


《攻略指定なし》


《イベント指定なし》


《配信時間:任意》


「……」


 俺。


 止まる。


「特別企画?」


 どこが?


 続き。


《CROSS社スタッフによる裏方サポートを正式導入》


《リアルタイム切り抜き》


《コメント管理》


《字幕》


《視聴者向け用語解説》


《安全管理》


《広告管理》


「なるほど」


 俺。


 すること。


 変わらない。


 裏。


 変わる。


「これ」


 いいな。


         ◇◇◇


 さらに。


《正式配信者特典》


《CROSS LIVE公式認証マーク》


《専用配信管理画面》


《配信アーカイブ保護》


《荒らし対策強化》


《現実身元保護レベル:最高》


「最後」


 大事。


         ◇◇◇


 そして。


 もう一つ。


《初回公式LIVE》


《推奨内容》


《シズナでの通常生活》


《候補:刀研究/冒険者依頼/街歩き/NPC交流》


「普通」


 それ。


 一番。


 助かる。


 でも。


 ふと。


 思い出す。


 今日。


 AWO。


 バルガ。


 試作四号。


 カイル。


 英雄品質。


 東方刀。


 星蒼複合鋼。


「……」


 普通。


 なんだよな?


 俺。


 少し。


 不安。


 なる。


         ◇◇◇


 同じ頃。


 CROSS株式会社。


 配信事業部。


「契約成立しました」


「正式に?」


「はい」


 神崎。


 モニター。


《ジョウゴ》


《正式配信者》


 表示。


「初回」


「何をしてもらいます?」


 スタッフ。


 聞く。


 神崎。


 即答。


「何も指定しません」


「本当に?」


「ジョウゴさんへ」


「企画を押し付けるより」


 一拍。


「普通にAWOへログインしてもらう方が」


「面白いものが起きます」


「……」


 スタッフ。


「それ」


「社内共通認識になってません?」


「なりつつあります」


         ◇◇◇


 さらに。


 別モニター。


 AWO。


 内部公開情報。


《シズナ》


《鍛冶師バルガ》


《星蒼複合鋼・研究開始》


《元Sランク冒険者カイル滞在中》


「……」


 スタッフ。


 見る。


「すでに」


「普通じゃない」


 神崎。


 小さく。


 ため息。


「やっぱり」


         ◇◇◇


 そして。


 翌夜。


 俺。


 VR機器。


 前。


 座る。


 正式契約。


 後。


 初。


 ログイン。


《CROSS LIVE公式認証》


《配信者:ジョウゴ》


「増えてる」


 小さな。


 公式マーク。


「目立ちそう」


 でも。


 契約。


 した。


 なら。


 仕方ない。


《Another World Onlineを起動します》


「ログイン」


         ◇◇◇


《Welcome Back》


《Another World Online》


 同時。


 新しい。


 システムメッセージ。


《CROSS LIVE正式配信者契約を確認しました》


《公式配信機能が解放されました》


《新機能》


《ワンタッチLIVE》


《視聴者コメント要約》


《NPCプライバシー自動保護》


《位置情報遅延》


《専用アーカイブ》


《緊急配信停止》


「便利」


 そして。


《初回公式LIVEを開始しますか?》


「……」


 階下。


「兄ちゃん!」


 バルガ。


 聞こえる。


「ジョウゴ!」


 カイル。


 まで。


 いる。


 ミナ。


 カイト。


 レント。


 多分。


 そのうち。


 来る。


「普通の生活」


 CROSS社。


 言った。


 なら。


 それで。


 いい。


「配信するか」


《YES》


         ◇◇◇


《CROSS LIVE》


《公式配信者ジョウゴ》


《初回公式LIVE》


《開始まで:10》


《9》


《8》


 俺。


 銀麦亭。


 七号室。


 扉。


 開ける。


《7》


《6》


《5》


 階段。


 降りる。


《4》


 バルガ。


「兄ちゃん!」


《3》


 カイル。


「遅い」


《2》


 マリア。


「飯食うかい!」


《1》


《LIVE》


「どうも」


 コメント。


 爆発。


『正式契約きたああああ!』


『公式マーク!』


『おめでとう!』


『初回公式LIVE!』


『バルガもういるw』


『カイル!?』


『マリアさんまで!』


『普通の生活とは』


 俺。


 数秒。


 画面。


 見る。


「……」


 CROSS社。


 言った。


 普段通り。


 その結果。


 ログイン。


 一分。


 しない。


 うち。


 鍛冶師。


 元Sランク。


 宿屋の女将。


 三方向。


「正式契約したジョウゴです」


『知ってる!』


「今日は」


 一拍。


「普通にAWOで遊びます」


『信用できない』


『絶対何か起きる』


『CROSSもそう思ってそう』


「失礼だな」


 でも。


 俺も。


 少し。


 思っていた。


 第二章。


 CROSS社契約編。


 正式契約。


 成立。


 そして。


 ジョウゴの。


 本当の意味での公式LIVE活動が。


 ここから。


 始まった。

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