第52話 父と息子の帰る場所
灰色谷での救出作戦から、半日。
俺――ジョウゴたちは、交易都市へ戻っていた。
街の北門には。
救出された人たちを乗せた馬車。
黒鎖商会の捕虜を護送する衛兵。
冒険者ギルドの職員。
そして。
事態を聞きつけた人々が集まっている。
《緊急合同依頼》
《灰色谷・黒鎖商会拠点調査》
《救出人数:45》
《死亡者:0》
《黒鎖商会幹部拘束:5》
《重要証拠確保:成功》
《評価:SS》
「改めて見ると」
カイト。
「すごい数字だな」
「四十五人」
ミナ。
「全員助かって、本当によかったです」
「ああ」
俺も。
それが一番だと思う。
SS評価。
報酬。
経験値。
そういうものより。
「ゼロ」
死者。
ゼロ。
それでいい。
◇◇◇
「ジョウゴ!」
レイゼン冒険者ギルド。
到着。
リオス副支部長が、すぐこちらへ来た。
「報告は後でまとめる」
「はい」
「まず」
視線。
俺。
ではなく。
隣。
アルト。
「帰るんだろ?」
「ああ」
アルト。
「エルナへ」
「止めない」
「黒鎖商会の追跡班」
「今回の摘発で」
「ほぼ動けなくなった」
「完全ではない?」
「本部は残ってる」
でも。
「レイゼン周辺」
「灰色谷」
「東街道」
そこ。
黒鎖。
大きく。
削れた。
「少なくとも」
リオス。
「今すぐアルトを追える連中はいない」
「じゃあ」
俺。
メニュー。
《長期クエスト:父を追って》
《アルト帰郷条件:達成》
「帰れる」
◇◇◇
アルト。
「ジョウゴ」
「何?」
「お前も来るのか」
「エルナ村?」
「ああ」
「もちろん」
「俺たちも」
ミナ。
「行きます」
カイト。
「ここまで付き合ったしな」
レント。
「最後まで」
アルト。
少し。
黙る。
「悪いな」
「今さら」
俺。
「そこは」
「ありがとうございます」
「って」
アルト。
頭。
下げる。
「それはもう何回も聞いた」
◇◇◇
「ただし」
リオス。
「今日出るな」
「なぜ?」
「お前ら」
「灰色谷から戻ったばかりだぞ」
「……」
「休め」
グラン。
後ろ。
腕。
組む。
「俺も同意」
「グランさんまで」
「疲れてる時」
「事故る」
「ジョウゴ」
「お前」
「そういうの」
「一番嫌うだろ?」
「……そうですね」
正論。
痛い。
「一晩」
「レイゼンで休む」
「明朝」
「エルナ村」
「分かった」
◇◇◇
その日の午後。
ギルド。
正式報告。
灰色谷。
東牢。
地下牢。
中央倉庫。
ザイル。
ローデン。
爆破術式。
カイル。
「カイルについては」
リオス。
「報告書に」
「どう書くんです?」
「元Sランク冒険者が突然現れ、爆破阻止に協力」
「そのまま」
「信じてもらえる?」
「俺が署名する」
それなら。
◇◇◇
「それと」
ナディア。
正式。
証言。
終了。
内部帳簿。
照合。
進む。
《黒鎖商会不正証拠》
《人身売買》
《密輸》
《違法武器輸送》
《黒鉄資源の不正取得》
《魔物誘導》
《公職者への賄賂》
「これ」
カイト。
「本当に商会?」
「犯罪組織」
レント。
「表に商会被ってただけ」
そして。
十四年前。
《エルナ村襲撃への関与を示す複数記録》
決定的。
証拠。
揃い始めている。
◇◇◇
「じゃあ」
俺。
「エルナ村への脅威は?」
「大幅に低下」
リオス。
「レイゼン側から」
「警備隊」
「派遣」
「できる」
「シズナ側も」
グラン。
「旧西街道」
「巡回」
「増やす」
「それなら」
ルク。
セリエ。
少し。
安心。
できる。
◇◇◇
そして。
報酬。
《灰色谷合同依頼報酬》
《基本報酬:2500G》
《SS評価追加報酬:1500G》
《救出功績:1000G》
《証拠確保功績:500G》
「多い」
ミナ。
「合計5500G」
カイト。
「ジョウゴだけ?」
「四人それぞれ」
「え?」
「大金!」
「アルトさんは?」
「NPCだから」
「依頼報酬」
別。
「俺は」
アルト。
「金より」
「帰る方が先」
「そうですね」
◇◇◇
《ジョウゴのLvが9になりました》
「……」
「9!」
ミナ。
「一気に上がった」
カイト。
「灰色谷で経験値かなり入ったんだろ」
「ああ」
《ジョウゴ Lv.9》
開始。
Lv1。
だった。
「まだ」
そんな。
高くない。
でも。
最初。
比べれば。
随分。
遠くまで来た。
◇◇◇
そして。
夜。
白鷺亭。
「今日は」
宴会?
ではない。
でも。
女将フェリア。
「生還祝いだよ」
《灰色谷帰還祝い料理》
肉。
魚。
パン。
野菜。
スープ。
「豪華」
ミナ。
目。
輝く。
「食べ物だと元気」
「今日はいいでしょう!」
「いつも元気」
◇◇◇
席。
俺。
ミナ。
カイト。
レント。
アルト。
ナディア。
オルド。
途中。
リオス。
顔。
出す。
「カイルは?」
俺。
「あいつなら消えた」
「早」
「元Sランクは」
「そういう奴」
「連絡先?」
「ない」
「自由すぎ」
◇◇◇
アルト。
料理。
食べながら。
「ジョウゴ」
「ん?」
「ルク」
「今どれくらい背伸びた?」
「俺が会った時から?」
「いや」
「最後に」
「俺が見た時」
「……」
十四年前。
いや。
ルク。
当時。
まだ。
幼い。
「今」
俺。
手。
自分。
胸。
少し下。
「これくらい」
「大きいな」
「十二歳」
「知ってる」
「短弓」
「背負ってる」
「そうだったな」
「俺が買った」
「お前が?」
「ああ」
「金」
「返すって」
「言ってた」
「息子らしい」
「そう?」
「借りたまま」
「嫌う」
「……」
父。
ちゃんと。
知ってる。
◇◇◇
「性格」
アルト。
「変わった?」
「最初」
「かなり警戒」
「強かった」
「仕方ない」
「でも」
「今」
「よく喋る」
「それも元から」
「パン好き」
「元から」
「走るなって言うと走る」
「元から」
「……」
俺。
「本当に父親」
「当たり前だ!」
◇◇◇
ミナ。
少し。
笑う。
「ルク君」
「アルトさん見たら」
「泣きそう」
アルト。
一瞬。
固まる。
「俺も」
「多分」
「泣く」
「……」
カイト。
「素直」
「息子に会うんだぞ」
「泣くだろ普通」
「ですよね」
◇◇◇
翌朝。
《交易都市レイゼン》
北ではなく。
西。
シズナ方面。
定期馬車。
乗る。
「エルナ村」
直接。
道。
ない。
まず。
シズナ。
そこから。
旧西街道。
「また三日馬車?」
カイト。
「そう」
「長い」
「今回は」
アルト。
「途中で走れば早いぞ」
「走らない」
「なぜ?」
「休む」
「合理的だな」
「父子で違うな」
◇◇◇
レイゼン。
西門。
出る前。
オルド。
見送り。
「また来い!」
「はい」
「今度は」
「事件なしで!」
「俺もそうしたい」
リオス。
「ジョウゴ」
「何?」
「黒鎖商会」
「本部」
「残ってる」
「分かってる」
「また」
「関わる可能性」
「高い」
「できれば」
「遠慮したい」
全員。
微妙。
顔。
「何?」
「絶対関わる」
カイト。
「そんな気がする」
「やめろ」
◇◇◇
そして。
馬車。
出発。
《交易都市レイゼン》
城壁。
遠ざかる。
「次来る時」
ミナ。
「配信できますね」
「多分」
「レイゼン観光」
カイト。
「結局できなかった」
「次は市場」
「食べ歩き」
ミナ。
「それ!」
「目的変わってる」
◇◇◇
三日。
長い。
でも。
帰り道。
今回は。
平和。
一日目。
何も。
起きない。
二日目。
何も。
起きない。
三日目。
「……」
カイト。
「本当に?」
「何が?」
「何も起きない?」
「いいことだろ」
「逆に不安」
「毒されてる」
◇◇◇
午後。
「シズナ!」
遠く。
城壁。
見える。
「戻ってきた」
俺。
なんだろう。
この。
安心感。
《始まりの街シズナ》
「やっぱり」
「ここ」
帰ってきた。
感じ。
する。
◇◇◇
西門。
「ジョウゴ!」
「ガレスさん」
「帰ったか!」
「ああ」
そして。
アルト。
ガレス。
見る。
「……」
「……」
数秒。
「アルト?」
「ガレス」
「生きてたか!」
「そっちこそ!」
二人。
握手。
じゃなく。
肩。
叩く。
「痛ぇ!」
「お前昔と変わらんな!」
「お前も!」
「知り合い」
かなり。
深い。
◇◇◇
「ルク」
ガレス。
「待ってるぞ」
アルト。
表情。
変わる。
「エルナ?」
「ああ」
「母親」
「セリエ」
「いる」
「……」
「行け」
ガレス。
「今すぐ?」
「今日はシズナ泊まる」
俺。
「なぜだ!」
アルト。
「長旅」
「疲れてる」
「俺は大丈夫!」
「ルクが」
「夕方以降」
「村外の警戒」
「強くなる」
「明朝」
「入った方がいい」
ガレス。
頷く。
「その通り」
「……」
アルト。
悔しそう。
「一晩」
「我慢」
「一年待った」
「一晩くらい」
「……長い」
「子供みたい」
◇◇◇
銀麦亭。
「お帰り!」
マリアさん。
「ただいま」
「そっちの大男は?」
「ルクのお父さん」
「何!?」
厨房。
皿。
落としそう。
「アルト!?」
「知ってる?」
「昔」
「シズナ」
「よく来てたよ!」
「マリア?」
「覚えてる?」
「料理」
「食べすぎる男!」
「そこ!?」
◇◇◇
「座りな!」
「飯!」
「いや」
「俺」
「エルナ――」
「明日!」
マリア。
「今日は食う!」
「……」
アルト。
俺。
見る。
「この人」
「強い?」
「勝てない」
「お前でも?」
「別の意味で」
◇◇◇
夜。
銀麦亭。
久しぶり。
いつもの。
テーブル。
アルト。
食う。
「うまい!」
「だろ!」
マリア。
「昔と味」
「変わらん!」
「褒めてる?」
「褒めてる!」
◇◇◇
その時。
CROSS社。
メッセージ。
《灰色谷合同依頼LIVEアーカイブ処理が完了しました》
《個人情報・NPC保護処理:完了》
《最大同時視聴者数:347,912》
「……」
「ジョウゴさん」
ミナ。
「見ました?」
「見てない」
「今見ました」
「忘れる」
◇◇◇
さらに。
《次回配信について》
《アルトのエルナ村帰郷については本人および関係NPCの意思を優先してください》
「当然」
アルト。
「配信?」
「三十万人以上」
「見てたやつ?」
「ああ」
「明日」
「エルナまで?」
「しない」
「なぜ?」
「家族の再会」
「見世物じゃない」
アルト。
俺。
じっと。
見る。
「……そうか」
「嫌?」
「いや」
「ありがたい」
◇◇◇
翌朝。
《シズナ西門》
俺。
ミナ。
カイト。
レント。
アルト。
五人。
「また五人」
ミナ。
「前」
「ルク君いた」
「ああ」
「今度」
「父親」
「戻しに行く」
◇◇◇
旧西街道。
もう。
何度目。
だろう。
草。
道。
古石橋。
精霊迷い。
双子岩。
でも。
今度は。
道を。
かなり。
覚えてる。
アルト。
「こっち」
「分かる?」
「昔」
「何度も歩いた」
「じゃあ案内」
「任せろ」
頼もしい。
◇◇◇
二日。
かけ。
進む。
今回は。
人攫い。
出ない。
熊。
出ない。
「平和」
カイト。
「ようやく」
「言った」
「もういいだろ!」
◇◇◇
そして。
三日目。
朝。
森。
木々。
間。
《エルナ村》
見える。
アルト。
足。
止まる。
「……」
「行かない?」
俺。
「行く」
声。
少し。
震える。
「怖い?」
「……ああ」
「強いのに?」
ルク。
前。
言った。
言葉。
返す。
「強いのと」
「怖くないのは」
「別なんだろ」
「覚えてる?」
「お前が話した」
「ああ」
アルト。
深く。
息。
吸う。
「行く」
◇◇◇
村。
入口。
見張り。
「誰だ!」
エルフ。
弓。
構える。
「ジョウゴ?」
「ああ」
「戻った!」
「ルク呼べ!」
そして。
隣。
アルト。
見る。
「……」
見張り。
顔。
固まる。
「アル……ト?」
「久しぶり」
「嘘だろ……」
「アルト!」
声。
村。
中。
広がる。
「アルトが帰ってきた!」
◇◇◇
「何!?」
「本当か!」
「セリエ!」
「ルク!」
人。
集まる。
アルト。
動けない。
そして。
「ジョウゴ!」
遠く。
小さい。
声。
聞こえる。
「ルク」
走る。
村。
中央。
から。
「ジョウゴ!」
「走るな!」
「今日はいいだろ!」
いつもの。
台詞。
でも。
ルク。
途中。
止まる。
俺。
じゃない。
隣。
見る。
「……」
アルト。
も。
止まる。
「ルク」
小さな。
声。
ルク。
目。
見開く。
「……お父さん?」
アルト。
口。
開く。
でも。
声。
出ない。
そして。
「お父さん!」
ルク。
走る。
「ルク!」
アルト。
膝。
つく。
抱き締める。
◇◇◇
「お父さん!」
「ああ!」
「本当に!?」
「ああ!」
「生きてた!」
「お前も!」
「俺」
「ずっと!」
「探した!」
「ごめん!」
「何で謝る!」
「だって!」
「もういい!」
声。
二人。
ぐちゃぐちゃ。
泣いてる。
笑ってる。
「……」
ミナ。
横。
泣く。
「また?」
「これは無理です」
カイト。
目。
逸らす。
「砂」
「森で?」
「うるさい」
レント。
静か。
笑う。
◇◇◇
「アルト!」
次。
セリエ。
家。
出る。
止まる。
「……」
アルト。
ルク。
抱き締めたまま。
顔。
上げる。
「セリエ」
「……馬鹿」
「ごめん」
「一人で!」
「一年も!」
「ごめん」
「帰ってこないで!」
「ごめん」
「でも!」
セリエ。
走る。
二人。
まとめて。
抱き締める。
「帰ってきて」
「よかった……」
アルト。
目。
閉じる。
「ああ」
「ただいま」
ルク。
その。
真ん中。
「お父さん」
「お母さん」
三人。
一つ。
◇◇◇
《長期クエスト》
《父を追って》
《ルクの父アルトをエルナ村へ帰還させました》
《クエスト達成》
《評価:SS》
《ルク一家再会》
《特殊報酬条件達成》
でも。
俺。
報酬。
表示。
すぐ。
閉じる。
「今」
いい。
◇◇◇
村人。
次々。
アルト。
囲む。
「この馬鹿!」
「一人で行きやがって!」
「生きてた!」
「遅い!」
「すまん!」
「謝って済むか!」
「酒出せ!」
「朝です!」
賑やか。
やっと。
村。
本当に。
一つ。
欠けていた。
もの。
戻った。
◇◇◇
少し。
離れ。
俺たち。
見る。
ルク。
父。
母。
「これで」
ミナ。
「終わりましたね」
「ああ」
カイト。
「ルクのクエスト」
「最初」
「ゴブリンから助けただけだったのにな」
レント。
「随分遠くまで来た」
本当。
そう。
◇◇◇
しばらく。
して。
ルク。
こっち。
走ってくる。
「ジョウゴ!」
「だから走るな」
「今日はいい!」
「二回目」
俺。
笑う。
「どうした?」
「ありがとう!」
「お父さん」
「帰ってきた!」
「ああ」
「ジョウゴが」
「連れてきてくれた!」
「俺たちが」
「四人」
「それと」
「アルトさん本人」
「でも!」
ルク。
拳。
握る。
「ありがとう!」
「……どういたしまして」
◇◇◇
そして。
「これ」
ルク。
小袋。
渡す。
「何?」
「お金」
「え?」
《280G》
「……」
あ。
「弓」
「返すって」
「言った!」
「覚えてた?」
「当たり前!」
「利息は?」
全員。
見る。
「冗談です」
アルト。
「利息?」
「父親まで反応しないで」
◇◇◇
《280Gを受け取りました》
《ルクとの貸借関係が解消されました》
「本当に返した」
「当然!」
「偉い」
「子供扱い!」
いつもの。
ルク。
「よかった」
俺。
それだけ。
◇◇◇
そして。
その日の夜。
エルナ村。
大きな。
宴。
ではない。
でも。
今まで。
一番。
賑やか。
森蜜。
肉。
パン。
スープ。
村人。
笑う。
アルト。
飲む。
セリエ。
怒る。
ルク。
父。
横。
離れない。
「お父さん」
「何だ」
「弓」
「見て」
「後で」
「今!」
「分かった!」
「完全に」
父。
弱い。
ルク。
相手。
「親って」
「そんなもの?」
カイト。
「知らん」
◇◇◇
俺。
少し。
村。
外。
出る。
夜。
森。
静か。
《第一章主要条件》
《AWO導入》
《シズナ到達》
《刀開発》
《CROSS LIVE開始》
《ルク救出》
《エルナ村帰郷》
《アルト救出》
《黒鎖商会レイゼン支部壊滅》
《達成》
表示。
「第一章」
本当に。
終わり。
近い。
次。
CROSS社。
契約。
配信。
本格化。
そして。
黒鎖商会。
まだ。
本部。
残る。
でも。
「今日は」
考えない。
◇◇◇
「ジョウゴ」
「ん?」
後ろ。
アルト。
「宴」
「抜けていいの?」
「少し風」
「当たりに」
「そうか」
横。
並ぶ。
「本当に」
「ありがとう」
「また?」
「何回でも言う」
「セリエさんと同じこと言う」
「夫婦だからな」
「なるほど」
◇◇◇
「これから」
アルト。
「どうする?」
「俺?」
「ああ」
「シズナ戻る」
「仕事」
「現実?」
「ああ」
「それから」
「普通に」
「AWO」
「遊ぶ」
アルト。
笑う。
「普通?」
「普通」
「お前の普通」
「信用できんな」
「みんな言う」
◇◇◇
「でも」
俺。
村。
見る。
「また来る」
「ルク」
「いるし」
「俺もいる」
「セリエも」
「ああ」
「じゃあ」
「今度」
「剣」
「やろう」
「俺と?」
「ルクを助けた剣」
「見たい」
「アルトさんの豪剣も」
「興味ある」
「決まり」
◇◇◇
その時。
ポーン。
《NPCアルトとの友好度が上昇しました》
《模擬戦イベントが解放されました》
「本当に出た」
「何が?」
「今度」
「戦える」
「いいな!」
アルト。
嬉しそう。
「父親」
帰ってきた。
初日。
から。
これ。
「ルク」
似る。
ところ。
ある。
◇◇◇
村。
戻る。
ルク。
「ジョウゴ!」
「何?」
「どこ行ってた!」
「外」
「勝手にいなくなるな!」
「……」
以前。
俺。
ルク。
言った。
「それ」
「俺が言ってたやつ」
「今は俺が言う!」
「はい」
「返事一回!」
「はい」
◇◇◇
笑い。
起きる。
こういう。
終わり方。
悪くない。
◇◇◇
そして。
ログアウト前。
俺。
エルナ村。
借りた。
部屋。
メニュー。
確認。
《第一章 AWO開始編》
《章終幕条件達成》
《次章導入イベント》
《CROSS社からの正式契約提案》
《シズナ帰還後に発生予定》
「来た」
第二章。
CROSS社。
本格契約。
LIVE。
そして。
黒鎖商会。
ルク。
その先。
「まず」
帰ろう。
シズナへ。
俺にとって。
最初。
帰る場所になった。
街。
◇◇◇
《Another World Online》。
もう一つの世界で。
もう一人の自分として。
生きる。
最初は。
ただ。
そんな。
新しいゲーム。
だった。
でも。
今。
この世界には。
会いたい。
人。
いる。
守りたい。
場所。
ある。
帰りたい。
街。
ある。
そして。
現実へ戻れば。
仕事。
日常。
ある。
「両方」
俺。
生活。
なんだ。
第一章。
AWO開始編。
その物語は。
ようやく。
本当の意味での始まりを終えようとしていた。




