第51話 残された七人
《灰色谷中央倉庫》
《大規模爆破術式》
《起爆まで:09:38》
「急げ!」
俺――ジョウゴたちは、炎と黒煙の中を中央倉庫へ向かって走っていた。
すでに三十八人の捕虜は救出済み。
だが。
《未確認生命反応:7》
まだ七人。
残っている。
「入口!」
アルトが前方を指す。
巨大な石造りの倉庫。
扉。
半分。
崩れている。
その奥。
赤い。
炎。
「正面から入れる?」
カイト。
「入れる」
俺。
でも。
「煙がひどい」
「これ使って!」
ミナ。
《煙避け布》
口元。
覆う。
「リゼさん!」
「救出済みの人たちをお願いします!」
「任せてください!」
救出班の一部。
後方。
残る。
今回。
突入。
俺。
ミナ。
カイト。
レント。
アルト。
ユノ。
ダン。
「七人で七人救出」
カイト。
「数は合ってるな」
「そういう問題じゃない」
◇◇◇
《08:57》
倉庫。
入る。
「熱っ!」
ミナ。
顔。
庇う。
木箱。
燃える。
天井。
煙。
床。
魔法陣。
複数。
「起爆術式」
レント。
「前より多い」
「中央制御」
「探す!」
でも。
まず。
生命反応。
「どこ?」
《観察Lv.1》
視界。
煙。
遮られる。
ほとんど。
見えない。
「ユノ!」
「任せて」
斥候。
耳。
澄ます。
「右奥」
「声」
◇◇◇
「助け……」
「誰か……!」
「いる!」
走る。
瓦礫。
奥。
鉄扉。
《保管区画》
鍵。
閉じている。
「中!」
レント。
「四人!」
「残り三人は?」
「別!」
「まず四人!」
◇◇◇
「鍵!」
ない。
アルト。
大剣。
構える。
「壊す!」
「待って!」
俺。
扉。
周囲。
見る。
「術式」
赤い。
文字。
「罠?」
ミナ。
「扉を壊したら?」
《洞察》
《魔力反応:扉周辺に集中》
「爆発する可能性」
アルト。
大剣。
止める。
「危な」
「力で全部解決しないで」
「便利なんだぞ!」
「知ってる」
◇◇◇
ユノ。
しゃがむ。
「解除できる」
「どれくらい?」
「一分」
《07:52》
「長い」
「でもやる」
「敵」
「来るぞ!」
ダン。
後ろ。
《黒鎖商会・処分兵 Lv.9》
《黒鎖商会・処分兵 Lv.10》
三。
四。
「時間稼ぎ!」
「カイト!」
「任せろ!」
◇◇◇
先頭。
剣。
「死ね!」
カイト。
盾。
斜め。
受ける。
ガンッ!
「重いけどオーガよりマシ!」
「比較が完全に大型魔物!」
俺。
二人目。
刀。
抜く。
カン!
《Parry!》
剣。
流す。
相手。
手首。
返す。
「連撃」
早い。
でも。
読める。
《見切り》
二撃目。
外。
三撃目。
突き。
「そこ」
刀。
側面。
《受け流し》
そのまま。
柄頭。
胸。
ゴッ!
《Stun!》
「一人」
◇◇◇
アルト。
「どけ!」
ブォン!
「ぐあっ!」
処分兵。
二人。
まとめて。
吹き飛ぶ。
「やっぱり」
ダン。
「元Bランクっておかしい」
「普通だ!」
「アルトさん」
「普通じゃない」
◇◇◇
「開いた!」
ユノ。
鉄扉。
ガチャ!
「救出!」
中。
四人。
人間。
二。
エルフ。
一。
ドワーフ。
一。
《救出対象:4》
「歩けます?」
「一人」
「無理……」
カイト。
「俺が背負う!」
「頼む!」
ダン。
二人。
支える。
「ミナ!」
「《ヒール》!」
淡い。
光。
怪我。
少し。
回復。
◇◇◇
《残り生命反応:3》
《起爆まで:06:41》
「三人」
「どこ?」
ユノ。
耳。
「下」
「下?」
床。
「地下?」
アルト。
「中央倉庫」
「地下保管庫がある」
「入口?」
「奥」
炎。
向こう。
「最悪」
◇◇◇
「ダン!」
俺。
「四人を外へ!」
「分かった!」
「ユノ」
「一緒に?」
「私は残る」
「道探す」
「カイト」
「背負ってるから」
「一回外」
「え?」
「戻る!」
「分かった!」
カイト。
四人。
救出。
組。
離脱。
残る。
俺。
ミナ。
レント。
アルト。
ユノ。
「五人」
「行く」
◇◇◇
炎。
通路。
「ミナ」
「水」
「《ウォーターボール》!」
ジュウウッ!
道。
作る。
「MP」
《ミナMP:51%》
「大丈夫?」
「まだ!」
奥。
階段。
《地下保管庫》
「ここ!」
◇◇◇
階段。
下。
煙。
少ない。
でも。
魔力。
濃い。
「爆発」
中心。
近い。
《05:44》
地下。
広い。
中央。
巨大。
魔石。
赤。
脈打つ。
《大規模起爆核》
「これ止めれば?」
レント。
「全部止まる?」
ユノ。
「多分」
「でも」
「先」
奥。
鉄格子。
三人。
「いた!」
◇◇◇
《救出対象:3》
一人。
老人。
一人。
若い獣人女性。
一人。
小さな。
少年。
「子供」
ミナ。
走る。
「鍵!」
檻。
錠。
「またない!」
アルト。
「壊す!」
「今度は術式?」
《観察》
《罠反応:なし》
「壊して!」
「任せろ!」
大剣。
ゴォン!
錠。
砕ける。
「アルトさん便利」
「だから言っただろ!」
◇◇◇
「歩けますか!」
老人。
「わしは……」
「無理」
アルト。
「背負う」
獣人女性。
「少年」
「私が」
ミナ。
「待って」
少年。
意識。
薄い。
《状態:重度衰弱》
「ヒール」
効く?
「回復魔法だけじゃ」
「体力」
「戻りきらない」
ミナ。
抱える。
「私が運びます」
「任せる」
◇◇◇
《救出対象:45/45》
《未救出生命反応:0》
「全員」
レント。
「見つけた!」
「でも」
俺。
起爆核。
見る。
《04:48》
「爆発」
「止めないと」
「逃げても」
「間に合わない可能性」
「解除」
ユノ。
核。
見る。
「前の術式より」
「複雑」
「できる?」
「……」
数秒。
「無理」
「専門の術師が必要」
「いない」
◇◇◇
「じゃあ」
アルト。
「壊す」
「待って」
「また?」
「核」
壊したら。
「爆発」
「するかも」
《洞察Lv.1》
《大規模起爆核》
《不安定な魔力を内包》
《物理破壊:危険》
「駄目」
「じゃあどうする!」
時間。
《04:17》
「術師」
さっき。
地下倉庫。
捕まえた。
「黒鎖の術師!」
俺。
「まだ拘束してる?」
パーティーチャット。
《ジョウゴ:地下倉庫で捕縛した術師は!?》
数秒。
《リオス:確保済み。何だ》
《ジョウゴ:中央倉庫の起爆術式を解除させたい》
《リオス:連れていく!》
「距離!」
《リオス:三分》
表示。
《03:54》
「ギリギリ!」
◇◇◇
「俺」
俺。
「ここ残る」
「ジョウゴさん?」
「みんな」
「救出対象」
「先に外」
「駄目」
ミナ。
即。
「でも」
「三人運ぶ」
「必要」
「私」
「少年」
「アルトさん」
「老人」
「ユノさん」
「女性」
レント。
「俺は?」
「ジョウゴと残る」
「レント」
「いいの?」
「遠距離」
「敵来た時」
「必要」
「……分かった」
◇◇◇
「アルトさん」
「先」
「行って」
「お前」
「残る?」
「ああ」
「死ぬな」
「ゲーム」
「またそれ」
「約束」
「分かった」
アルト。
老人。
背負う。
「絶対」
「戻れよ」
「ルクに」
「怒られる」
「それは困る」
◇◇◇
三人。
救出。
離脱。
残る。
俺。
レント。
《起爆まで:03:15》
「敵」
来ない。
今。
静か。
「逆に怖い」
レント。
「ああ」
核。
赤。
光。
強く。
「ジョウゴ」
「何?」
「もし」
「解除間に合わなかったら」
「逃げる」
「何秒?」
「一分切ったら」
「術師来なくても」
「逃げる」
「人質は?」
「全員外」
「なら」
「証拠」
「倉庫」
「諦める」
「了解」
命。
最優先。
◇◇◇
《CROSS LIVE》
配信。
映像。
核。
映る。
《現在視聴者数:241,802》
『これまずくない?』
『残り3分』
『逃げていいぞ』
『人質全員救出したんだろ?』
「はい」
俺。
「四十五人」
「全員」
「救出できました」
コメント。
一気。
『よかった!』
『じゃあ無理すんな!』
『ジョウゴ逃げろ』
「一分切ったら」
「逃げます」
◇◇◇
《02:31》
足音。
「来た?」
レント。
弓。
構える。
「ジョウゴ!」
リオス。
術師。
引きずる。
「間に合った!」
《黒鎖商会・術師 Lv.12》
前。
同じ。
男。
「解除!」
リオス。
「やれ!」
「無理だ!」
「何?」
「これは」
「俺の術式じゃない!」
最悪。
◇◇◇
《洞察》
《術師の発言:真実の可能性が高い》
「本当」
俺。
「誰の?」
術師。
核。
見る。
顔。
青い。
「本部」
「専属魔術師」
「俺より」
「上位」
「解除方法」
「知らない?」
「核」
「止める方法」
「一つ」
「何!」
「制御鍵」
「制御鍵?」
「黒い魔石」
「どこ?」
「幹部」
「持ってる」
「誰?」
「ザイルじゃない」
「もっと上」
◇◇◇
《01:56》
「上?」
リオス。
「この拠点」
「まだ幹部いる?」
術師。
「責任者」
「ザイル」
「その上」
「監査役」
「今夜」
「来てた」
「名前!」
「ローデン」
《新規NPC情報》
《黒鎖商会監査役 ローデン》
「どこ!」
「中央倉庫」
「上階」
俺たち。
今。
地下。
「逃げた?」
「分からない!」
◇◇◇
《01:32》
「一分半」
レント。
「ジョウゴ」
「逃げる基準」
「一分」
「あと三十二秒だけ」
「探す?」
「黒魔石」
周囲。
ない。
でも。
「上」
「ローデン」
「まだいるなら」
「取る」
リオス。
「無茶だ!」
「一分」
「そこで戻る」
「俺も行く」
レント。
「いや」
「リオスさん」
「ここ」
「術師」
「見張って」
「ジョウゴ!」
「時間」
「ない!」
階段。
上。
走る。
◇◇◇
《01:11》
一階。
炎。
煙。
「ローデン!」
当然。
返事。
ない。
《観察》
床。
足跡。
新しい。
二階。
「上!」
◇◇◇
《00:58》
一分。
切った。
「戻る」
約束。
した。
でも。
二階。
階段。
すぐ。
そして。
上から。
声。
「遅いな」
「!」
男。
降りる。
黒い。
上質な。
服。
片手。
杖。
もう片方。
黒い。
魔石。
《黒鎖商会監査役 ローデン Lv.18》
「それ」
制御鍵。
「欲しいか?」
《00:47》
「欲しい」
「なら」
ローデン。
笑う。
「取ってみろ」
「時間稼ぎ」
《洞察》
《対象は起爆まで留める意図があります》
「戦わない」
「何?」
俺。
階段。
戻る。
「逃げる」
「待て!」
ローデン。
初めて。
顔。
変わる。
◇◇◇
《00:35》
「リオスさん!」
「撤退!」
「制御鍵!」
「監査役持ってる!」
「取れなかった?」
「時間ない!」
「全員!」
「走れ!」
◇◇◇
地下。
階段。
駆け上がる。
外。
まで。
遠い。
「間に合う?」
レント。
「走る!」
《00:24》
炎。
倉庫。
出口。
《00:18》
「外!」
見えた。
「ジョウゴ!」
カイト。
遠く。
「早く!」
《00:12》
俺。
レント。
リオス。
術師。
走る。
《00:08》
出口。
《00:05》
「伏せろ!」
外。
飛び出す。
《00:02》
地面。
伏せる。
《00:01》
◇◇◇
――何も。
起きない。
「……?」
《00:00》
表示。
ゼロ。
でも。
爆発。
なし。
「なんで?」
その瞬間。
《起爆術式:強制停止》
「誰が?」
俺。
振り向く。
中央倉庫。
二階。
窓。
人影。
ローデン。
そして。
その横。
別。
影。
「……?」
刀?
細い。
剣。
ローデン。
首元。
突き付けられている。
《???》
「誰?」
◇◇◇
次の瞬間。
黒い魔石。
窓。
投げられる。
「受けろ!」
男。
声。
俺。
手。
伸ばす。
黒い魔石。
受け取る。
《大規模起爆術式制御鍵》
「これ」
誰?
◇◇◇
人影。
窓。
飛び降りる。
「うおっ!」
着地。
静か。
長い。
黒髪。
軽装。
片手。
細身。
刀。
いや。
「剣?」
東方系。
そして。
《??? Lv.?》
情報。
見えない。
「ジョウゴ」
俺。
名前。
知ってる?
「誰です?」
男。
少し。
笑う。
「俺か?」
一拍。
「ただの」
「旅人だ」
《洞察Lv.1》
《虚偽》
「嘘」
「……」
男。
笑み。
深くなる。
「便利な技能だな」
◇◇◇
リオス。
「お前」
「まさか」
知ってる?
「リオスさん」
「誰?」
「……」
副支部長。
信じられない。
顔。
「《白銀の旅人》」
「え?」
「元Sランク冒険者」
「十五年前」
「引退した」
「名前」
「カイル」
《NPC情報更新》
《カイル》
《元Sランク冒険者》
《異名:白銀の旅人》
《Lv:??》
「Sランク」
カイト。
「また強い人増えた」
アルト。
遠く。
戻ってくる。
「……カイル?」
「久しぶりだな」
「なんでお前が!」
「旅」
「してた」
「絶対嘘だろ!」
◇◇◇
そして。
中央倉庫。
ローデン。
拘束。
衛兵。
突入。
《黒鎖商会監査役ローデンを拘束しました》
《大規模爆破術式停止》
《重要証拠:保全成功》
《未確認生命反応:0》
◇◇◇
《緊急合同依頼》
《灰色谷・黒鎖商会拠点調査》
《救出人数:45》
《死亡者:0》
《黒鎖商会幹部拘束:5》
《重要証拠確保:成功》
《拠点爆破阻止:成功》
《評価:SS》
「SS?」
ミナ。
「Sより上!?」
「初めて見た」
◇◇◇
《CROSS LIVE》
《現在視聴者数:318,421》
「……」
数字。
今。
ようやく。
気づく。
「三十万?」
『見るなw』
『今さら!?』
『全員救出おめでとう!』
『45人ゼロ死亡』
『すげえ』
『最後の人誰!?』
「俺も知りたい」
カイル。
手。
振る。
「配信?」
「そう」
「へえ」
「三十万人?」
「多分」
「面白い時代だ」
何。
この人。
◇◇◇
「今日は」
俺。
一度。
呼吸。
整える。
「ここまでにします」
周囲。
救出された人。
治療。
始まってる。
顔。
自動。
隠れる。
「救出対象」
「45人」
「全員」
「生きて出られました」
『よかった』
『本当によかった』
『お疲れ』
「これは」
「俺一人じゃなく」
「合同依頼参加者」
「全員の結果です」
「だから」
「ありがとうは」
「みんなへ」
コメント。
『全員お疲れ!』
『救出班最高』
『衛兵もギルドもありがとう』
「じゃあ」
俺。
少し。
笑う。
「またAWOで会いましょう」
《LIVE END》
◇◇◇
配信。
消える。
「終わった」
膝。
力。
抜ける。
「疲れた」
ミナ。
「ジョウゴさんが言うの珍しい」
「今日は」
「本当に」
疲れた。
◇◇◇
アルト。
救出者。
見る。
そして。
俺。
見る。
「これで」
「帰れる?」
「黒鎖」
レイゼン。
主要拠点。
灰色谷。
壊滅。
証拠。
確保。
「多分」
メニュー。
《父を追って》
《黒鎖商会による追跡状態:大幅低下》
《アルト帰郷条件:達成》
「達成」
「帰れます」
アルト。
目。
閉じる。
「……そうか」
「ルク」
「待ってる」
「ああ」
「帰る」
一年。
探した。
父。
ようやく。
息子。
会える。
◇◇◇
その時。
リオス。
俺たち。
呼ぶ。
「まだ」
「一つ」
「終わってない」
「何?」
「黒鎖商会」
捕虜。
証拠。
「レイゼン支部」
「かなり」
「潰せる」
「でも」
「本部」
「場所」
「分かった?」
リオス。
首。
横。
「こいつら」
「支部」
「だ」
「……」
やっぱり。
《黒鎖商会》
もっと。
大きい。
「でも」
第一章。
全部。
潰す。
必要。
ない。
今。
ルク。
アルト。
エルナ村。
「まず」
「帰る」
それで。
いい。
◇◇◇
そして。
カイル。
俺。
見る。
「ジョウゴ」
「何です?」
「そのカタナ」
「見せろ」
「また?」
「誰と勘違いしてる」
「色んな人に言われる」
鞘。
ごと。
渡す。
カイル。
自然。
持つ。
「やっぱり」
「刀」
「知ってる?」
「ああ」
「どこで?」
「東の国」
「この世界に」
「ある?」
「ある」
新しい。
地名。
導線。
「ただ」
「今のお前には」
「遠い」
「そうですか」
「いつか行け」
「面白いぞ」
◇◇◇
《新規地域情報を獲得しました》
《東方諸国》
《現在地から非常に遠方》
「世界」
まだ。
広い。
◇◇◇
カイル。
試作三号。
返す。
「悪くない」
「でも」
「刃」
「まだ伸びる」
「バルガに言ったら」
「喜ぶ」
「鍛冶師か」
「ああ」
「シズナ」
「そのうち」
「会いに行く」
「勝手に行ってください」
「冷たい」
「初対面」
◇◇◇
灰色谷。
夜明け。
近い。
炎。
消火。
終わり。
救出者。
馬車。
乗る。
黒鎖商会。
捕虜。
別。
護送。
証拠。
箱。
封印。
「帰るぞ!」
リオス。
声。
全員。
少し。
安心。
◇◇◇
俺。
馬車。
横。
歩く。
アルト。
隣。
「ジョウゴ」
「何?」
「ルク」
「俺見たら」
「何て言うかな」
「多分」
「お父さん!」
「って」
「普通だな」
「それでいいだろ」
「……」
アルト。
笑う。
「そうだな」
◇◇◇
ルク。
父。
再会。
もう。
近い。
そして。
俺にとっても。
シズナ。
戻る時。
近づいている。
発売日。
ただ。
新作VRMMORPG。
遊び。
始めた。
それだけ。
だった。
なのに。
いつの間にか。
刀。
作り。
仲間。
でき。
配信。
始め。
ハーフエルフの少年。
助け。
故郷。
探し。
父親。
見つけ。
犯罪商会。
拠点。
突入。
「……濃い」
カイト。
「何が?」
「AWO始めてから」
「それは」
「同意」
◇◇◇
《第一章 AWO開始編》
《主要進行条件を達成しました》
《章終幕イベントが解放されました》
「終幕?」
ミナ。
「そろそろ」
「シズナへ」
「戻るってこと?」
「多分」
でも。
その前。
「エルナ村」
アルト。
帰す。
「そこまで」
「やろう」
◇◇◇
灰色谷での救出作戦。
四十五名。
全員生存。
黒鎖商会レイゼン支部。
壊滅へ。
そして。
ルクの父。
アルト。
帰郷条件。
達成。
俺――ジョウゴの。
最初の長い旅。
その終わりは。
ようやく。
見え始めていた。
次に待つのは。
戦いではない。
ずっと離れていた。
父と息子。
そして。
一つの家族が。
ようやく。
同じ場所へ帰る。
その瞬間だった。




