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Another World Online(通称:AWO)  作者: バモス
第一章 AWO開始編

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41/131

第41話 鍛冶配信と試作三号

 数日後。


「上塚主任」


「はい」


「ジョウゴの次の配信、鍛冶らしいですよ」


「……そうらしいな」


 俺――上塚賢吾は、手元の書類から顔を上げずに答えた。


 目の前。


 後輩。


 妙に楽しそうだ。


「刀の新型作るらしいです」


「へえ」


「興味ないんですか?」


「あるよ」


「反応薄くないです?」


「仕事中だから」


「あ」


「仕事しようか」


「はい」


 後輩が自席へ戻っていく。


「……危ないな」


 今度の配信。


 その《ジョウゴ》本人が俺だ。


 しかも。


 配信内容。


 刀の試作三号。


 知らないふりをするにも。


 だんだん情報が増えすぎている。


         ◇◇◇


 仕事終了。


 帰宅。


 夕食。


 風呂。


 家事。


 全部。


 終わらせる。


「今日は配信か」


 VR機器。


 装着。


《Another World Onlineを起動します》


「ログイン」


         ◇◇◇


《Welcome Back》


《Another World Online》


 銀麦亭。


 七号室。


《CROSS LIVE》


《配信開始予定まで:32分》


「ちょっと早かったな」


 装備。


《軽革戦闘衣》


《鉄刀・試作二号》


 試作二号。


 これ。


 今日。


 比較にも使う予定だ。


「壊れてない」


《耐久値:207/210》


「バルガに見られたら怒られそう」


 修理。


 してから。


 配信。


 でも。


 その前に。


「ルクから連絡……はないか」


 当然。


 エルナ村とシズナ。


 直接。


 メッセージ。


 飛ばせるわけではない。


 プレイヤー同士なら簡単なのに。


 NPC相手では。


 そうはいかない。


「世界が広いと不便も増えるな」


 でも。


 その不便。


 俺は嫌いじゃない。


         ◇◇◇


 一階。


「ジョウゴさん!」


 ミナ。


 カイト。


 レント。


 すでにいる。


「今日は三人も出る?」


「どうします?」


 ミナ。


「鍛冶見たい?」


「見たいです!」


 即答。


「じゃあ一緒」


「やった!」


 カイト。


「俺も刀の作り方見たい」


「レントは?」


「興味ある」


「決まり」


         ◇◇◇


「ジョウゴ!」


 今度。


 厨房。


 マリアさん。


「配信前だろ!」


「まだ二十五分あります」


「なら飯!」


「今?」


「腹減ってないのかい?」


「現実で食べてきました」


「こっちは?」


「……」


 三人。


 俺を見る。


「何?」


「食べるな」


 カイト。


「絶対食べる顔してる」


「軽く」


「やっぱり!」


         ◇◇◇


《銀麦亭の小さなスープセット》


「小さくした」


「成長した」


 ミナ。


「食べること自体は止めないんですね」


「ゲーム内だから太らない」


「また言ってる」


 そして。


 食事。


 終了。


《配信開始まで:11分》


「そろそろ行くか」


         ◇◇◇


 鍛冶工房。


《鍛冶工房・バルガ》


 カラン。


「来たか!」


 バルガ。


 すでに。


 完全準備。


 炉。


 火。


 作業台。


 鉱石。


《高密度鉄》


《黒鉄》


 並ぶ。


「やる気満々」


「当たり前だ!」


「配信」


「いいんだよな?」


「何度聞く!」


「一応」


「好きに見せろ!」


「ただし!」


「?」


「俺の邪魔はするな!」


「それはしない」


         ◇◇◇


《NPC:バルガ》


《配信出演同意:確認済み》


《工房内配信許可:有効》


《職人技術保護設定:一部有効》


「技術保護?」


 ミナ。


「何それ?」


 説明。


《NPCが秘匿を希望する工程は自動的に映像処理されます》


「なるほど」


 AWO。


 こういうところ。


 ちゃんとしている。


「バルガ」


「何だ?」


「見せたくないところある?」


「ねぇ!」


「全部?」


「ああ!」


「俺の技を見て真似できるなら」


 ニヤッ。


「やってみろ!」


「職人気質」


 カイト。


「かっこいい」


         ◇◇◇


《配信開始まで:00:30》


 設定。


《一人称視点:ON》


《三人称補助カメラ:ON》


《視線トラッキング:ON》


《コメント抽出:ON》


《工房内環境補正:ON》


《00:10》


「今日は」


 俺。


 少し。


 息。


《5》


《4》


《3》


《2》


《1》


《LIVE》


「どうも」


『きたあああ!』


『鍛冶回!』


『バルガいる!』


『刀!』


『試作三号!』


『ジョウゴ今日も最初の挨拶短いw』


「ジョウゴです」


『知ってる』


『恒例』


 バルガ。


「兄ちゃん」


「何?」


「こいつらが見てる連中か?」


「そう」


「何人だ?」


「今は見ない」


『草』


『逃げた』


《現在視聴者数:52,184》


「……」


『見たw』


「表示位置変えたい」


『五万おめ』


         ◇◇◇


「今日は」


 俺。


 作業台。


 見る。


「《鉄刀・試作三号》を作ります」


『待ってた!』


『二号との違いは?』


『黒鉄使うの?』


「そう」


 俺。


 黒鉄。


 持つ。


《黒鉄》


「こっちが」


「エルナ村周辺で見つかった素材」


 詳しい。


 村の。


 場所。


 黒鎖商会。


 そこまでは。


 話さない。


「鉄より粘りが高い」


「ただ」


「単体だと刃には少し柔らかいらしい」


「で」


 高密度鉄。


「こっちは硬い」


「なら」


「性質を組み合わせたらどうか」


 バルガ。


「それを試す!」


『複合材!』


『日本刀っぽい考え方?』


「近い発想はある」


「ただ」


「現実の日本刀の製法を完全再現してるわけじゃないです」


「俺も刀鍛冶ではないので」


『そこ大事』


『剣道家だもんな』


『でも詳しい』


「趣味と知識の範囲」


         ◇◇◇


「兄ちゃん!」


「はい」


「説明終わったなら手伝え!」


「配信者扱いしてくれない」


「職人の前じゃ弟子だ!」


「弟子になった覚えは……」


 バルガ。


 見る。


「……手伝います」


『圧w』


『完全に師匠』


『ジョウゴ弱い相手発見』


「この人には勝てない」


         ◇◇◇


 まず。


 高密度鉄。


 加熱。


 炉。


 赤。


 橙。


 そして。


 白に近い。


「温度」


「色を見る?」


「色と」


 バルガ。


「音」


「音?」


「叩いた時の」


「金属の返し」


 試し。


 槌。


 カン。


「まだ」


 再加熱。


『音で分かるの?』


「俺も分からない」


「バルガは分かるらしい」


『職人すげえ』


         ◇◇◇


 黒鉄。


 別。


 加熱。


「同じ温度?」


「違う!」


「黒鉄は」


「熱が入りやすい」


「上げすぎるな!」


「了解」


 俺。


 火。


 見る。


 ここでも。


《観察Lv.1》


《素材温度:高》


《状態:加工可能》


「表示出る」


「兄ちゃん!」


「何?」


「数字に頼るな!」


「数字じゃないけど!」


「色を見ろ!」


「はい!」


『バルガ厳しいw』


『ゲームUIを否定するNPC職人』


         ◇◇◇


 そして。


 二つ。


 重ねる。


「ここから」


 バルガ。


「接合」


「どうやって?」


「叩く!」


「やっぱり」


「鍛冶だからな!」


 カン!


 カン!


 カン!


 火花。


 飛ぶ。


「兄ちゃん!」


「はい」


「槌!」


 俺。


 受け取る。


「俺も?」


「共同考案だろ!」


「製作も?」


「やれ!」


「分かった!」


         ◇◇◇


 槌。


 重い。


 現実。


 鍛冶。


 少し。


 経験。


 でも。


 専門。


 ではない。


「ここ?」


「中心!」


「力入れすぎるな!」


 カン!


「違う!」


「難しい!」


「当たり前だ!」


『ジョウゴが普通に怒られてるw』


『新鮮』


『戦闘では無双なのに』


「鍛冶は専門外なんで!」


         ◇◇◇


《鍛冶補助技能を確認》


《《槌打ちLv.1》を獲得しました》


「スキル取った」


「おお!」


 ミナ。


「鍛冶師になる?」


「ならない」


『また職業増えるw』


『剣士とは』


「刀を使うために刀作ってるだけ」


『普通の剣士は刀作らない』


「そう?」


『そう』


         ◇◇◇


 金属。


 一つ。


 まとまる。


《複合鉄塊》


「できた?」


「まだ入口だ!」


「長い」


「刀一本作るんだぞ!」


「そうでした」


         ◇◇◇


 伸ばす。


 叩く。


 折り返し。


 また。


 接合。


 バルガ。


 今回は。


 黒鉄。


 芯。


 高密度鉄。


 外側。


 完全。


 現実の日本刀。


 同じではない。


 でも。


 考え方。


 似ている。


「これなら」


 俺。


「中心が粘って」


「外側が硬い?」


「狙いはそうだ」


「ただ」


「実際どうなるかは」


「完成しねぇと分からん」


「実験」


「そうだ!」


         ◇◇◇


 配信。


 二時間。


 経過。


『鍛冶ずっと見てられる』


『火花きれい』


『職人番組になってる』


『ジョウゴ配信またジャンル変わった』


『旅行番組→武術講座→鍛冶番組』


「俺の配信」


「何なんですかね」


 レント。


「AWO生活配信」


「結局そこ」


         ◇◇◇


 刀身。


 形。


 できる。


「試作二号より」


 俺。


 横。


 見る。


「少し細い?」


「ああ」


「重心」


「手元寄りにした」


「俺が言ったやつ」


「前に言ってただろ!」


「覚えてたんだ」


「職人を馬鹿にするな!」


         ◇◇◇


 焼入れ。


 バルガ。


 真剣。


「ここ」


「重要?」


「失敗したら」


「全部終わる」


「喋らない方がいい?」


「黙れ」


「はい」


 コメント。


『緊張』


『静かになった』


『職人の顔だ』


 炉。


 刀身。


 熱。


 色。


 バルガ。


 見る。


 水。


 いや。


「水じゃない?」


「油?」


「特殊焼入れ液」


《焼入れ液》


 詳細。


《職人調合》


「秘匿?」


《映像保護処理:一部適用》


『モザイク入ったw』


『企業秘密』


「バルガ」


「全部見せるんじゃ?」


「これは親父から教わった配合だ!」


「そこは駄目なんだ」


「当たり前だ!」


 世界側。


 ちゃんと。


 秘密。


 ある。


         ◇◇◇


「行くぞ」


 ジュウウウウウウッ!!


 白い。


 蒸気。


 刀身。


 冷える。


 バルガ。


 持ち上げる。


「……」


 見る。


 曲がり。


 刃。


 ヒビ。


「どう?」


「待て」


 コン。


 音。


「……」


 さらに。


 見る。


「成功」


「おお」


『きた!』


『成功!』


「まだ研ぎだ!」


「まだある」


         ◇◇◇


 研ぎ。


 長い。


 俺。


 座る。


「これ」


「配信的に大丈夫?」


『大丈夫』


『むしろ見たい』


『職人ASMR』


「ASMR?」


『気にするな』


 シャッ。


 シャッ。


 砥石。


 刃。


 少しずつ。


 光。


         ◇◇◇


 三時間半。


 そして。


「できた」


 バルガ。


 刀。


 鞘。


 まだ。


 簡素。


 でも。


 試作二号より。


 明らか。


 完成度。


 高い。


「持て」


「はい」


 受け取る。


《鉄刀・試作三号》


《品質:希少》


《製作者:鍛冶師バルガ》


《共同考案:ジョウゴ》


《素材:高密度鉄/黒鉄》


《構造:複合鍛造》


《耐久値:320/320》


《斬撃補正:中》


《受け流し補正:微》


《破損耐性:上昇》


《重量:中》


《重心:手元寄り》


「品質」


「希少?」


 ミナ。


「上質から上がった!」


 バルガ。


 目。


 大きい。


「本当か!?」


「自分で作ったのに知らないの?」


「職人は表示見ねぇ!」


「そこ?」


         ◇◇◇


「抜く」


 鯉口。


 切る。


 スッ――。


 刀身。


 前。


 二号。


 より。


 少し。


 細い。


 でも。


 頼りない。


 感じ。


 ない。


「……いい」


 握る。


 重心。


 手元。


「振っていい?」


「工房壊すなよ!」


「壊さない」


 軽く。


 素振り。


 ヒュッ。


「……」


 もう一度。


 ヒュンッ。


「軽い」


「重量は大きく変えてねぇ」


 バルガ。


「重心」


「ああ」


「手元に戻した」


「だから」


「切り返し」


 早い。


「試作二号より使いやすい」


 バルガ。


 ニヤ。


「だろ?」


         ◇◇◇


 コメント。


『試し斬り!』


『戦闘見たい』


『二号比較!』


「試し斬り」


 俺。


 バルガ。


 見る。


「訓練場」


「行け!」


「いいの?」


「完成品は使ってこそだ!」


「分かった」


         ◇◇◇


《シズナ冒険者ギルド・訓練場》


 配信。


 継続。


 バルガも。


 来た。


「わざわざ?」


「見るに決まってる!」


 試し。


 藁束。


 木柱。


《試し斬り用標的》


「まず二号」


《鉄刀・試作二号》


 構える。


 一閃。


 ザンッ!


《斬撃評価:A》


「次」


 三号。


 抜く。


 違う。


 手。


 馴染む。


「ふっ!」


 ザンッ!


《斬撃評価:S》


「……おお」


『S!』


『一段上がった』


『刀すげえ』


 バルガ。


「どうだ!」


「いい」


「もっと言え!」


「かなりいい」


「よし!」


         ◇◇◇


「次」


 動く標的。


《訓練用木偶》


 木剣。


 持つ。


 攻撃。


「受け流し」


 試作三号。


 刃。


 ではなく。


 側面。


 角度。


 カンッ!


《Parry!》


《受け流し補正発動》


 いつもより。


 抵抗。


 小さい。


「お」


 流れる。


「これ」


「かなり良い」


 次。


 反撃。


 胴。


 止める。


「危ないので斬らない」


『木偶にも優しいw』


         ◇◇◇


「耐久」


《320/320》


「減ってない」


 バルガ。


「当然!」


「これなら」


 俺。


 一瞬。


 防衛戦。


 巨大。


 斧。


 思い出す。


「斧受けても」


「兄ちゃん!」


 怒鳴られた。


『草』


『言うと思った』


『バルガ激怒』


「冗談!」


「絶対やるな!」


「はい!」


         ◇◇◇


 その時。


 ポーン。


《新武器開発実績を確認》


《既存カテゴリ《刀》の発展条件を達成しました》


「何?」


《プレイヤー:ジョウゴ》


《NPC鍛冶師:バルガ》


《共同開発により複合鍛造刀を製作》


《新規製作レシピが地域技術として登録されました》


《複合鍛造刀》


「地域技術?」


 ミナ。


「他の鍛冶師も?」


 説明。


《一定条件を満たした鍛冶師NPC・プレイヤーが研究可能になります》


「広がる」


 レント。


「刀が」


「ああ」


「俺だけの武器じゃなくなる」


 俺。


 少し。


 嬉しい。


「いいな」


『独占しないんだ』


『普通は自分だけの強み残したくない?』


「別に」


「刀が増える方が面白い」


「使う人が増えれば」


「もっと改良されるだろうし」


『職人思考w』


「俺剣士」


         ◇◇◇


 さらに。


《称号条件達成》


《新規称号》


《刀の先駆者》


「また称号」


《効果》


《刀系武器への習熟補正:微》


《刀関連NPCとの会話選択肢増加》


「これは嬉しい」


 カイト。


「指南役より?」


「同じくらい」


「先生と刀マニア」


「言い方」


         ◇◇◇


 配信。


 四時間。


《現在視聴者数:104,283》


「……」


『見た』


『十万突破!』


『初十万!』


「十万?」


 俺。


 固まる。


「なんで鍛冶で?」


『鍛冶だからだよ』


『刀完成の瞬間見たかった』


『バルガ人気』


「俺じゃなくバルガ?」


『両方』


 バルガ。


「十万ってどれくらいだ?」


「シズナに入りきらないくらい」


「前も聞いたな」


「今度はもっと」


「じゃあ」


 バルガ。


 胸。


 張る。


「十万人!」


「俺のカタナ見ろ!」


『wwwww』


『最高』


『バルガ配信者適性ある』


「俺より向いてるかも」


         ◇◇◇


 少し。


 笑う。


 そして。


「今日は」


 俺。


 試作三号。


 納刀。


「ここで終わります」


『お疲れ!』


『神回』


『試作三号完成おめ』


『次は戦闘で見たい』


「次」


「戦闘依頼受ける予定なので」


『お?』


『レベル上げ?』


「現在レベル6」


「次の目的地」


「推奨7以上なので」


「そこまで」


「普通に依頼を受けながら上げます」


『ついに攻略勢っぽいことを』


「攻略じゃなくて準備」


『ジョウゴらしい』


         ◇◇◇


「あと」


 一拍。


「エルナ村」


 話せる。


 範囲。


「ルクは」


「無事」


「故郷へ帰れました」


 コメント。


 一気。


『よかったあああ!』


『おめでとう!』


『ルク帰れた!』


『母親は?』


 フィルター。


 一部。


 消える。


「詳しい話は」


「本人と家族のことなので」


「ここではしません」


「ただ」


「帰る場所は残ってました」


「それだけ」


 コメント。


『それで十分』


『よかった』


『安心した』


「ありがとうございます」


         ◇◇◇


「じゃあ」


「またAWOで会いましょう」


《LIVE END》


         ◇◇◇


 配信。


 終了。


「終わった」


 ミナ。


「十万人ですよ」


「見なかったことに」


「今回はもう無理です」


 カイト。


「バルガが叫んだからな」


「俺のせいか!?」


「半分」


         ◇◇◇


 バルガ。


 試作二号。


 俺。


 渡す。


「これどうする?」


「預かる」


「三号あるし」


「直して」


「資料にする」


「二号」


「残すんだ」


「当然」


 バルガ。


「一号もある」


「試作全部?」


「ああ」


「兄ちゃん」


 一号。


 二号。


 三号。


「この変化」


「全部」


「次につながる」


「……」


 職人。


 だな。


「任せる」


         ◇◇◇


 その夜。


 冒険者ギルド。


「戦闘依頼」


 掲示板。


 見る。


《依頼:街道沿いのオーク討伐》


《推奨Lv:6~》


《討伐数:5》


《報酬:450G》


「これ」


 カイト。


「ちょうどよくない?」


「ああ」


 オーク。


 まだ。


 AWOでは。


 本格的に。


 戦ってない。


「次これ」


 ミナ。


「配信?」


「しない」


「また?」


「今日はしたし」


「次は普通に遊ぶ」


 レント。


「そして配信してない時に何か起きる」


「やめて」


         ◇◇◇


《依頼を受注しました》


《街道沿いのオーク討伐》


「次」


 レベル7。


 目標。


 でも。


 その先。


《灰色谷》


 父。


 アルト。


 黒鎖商会。


 そして。


 俺たちより。


 ずっと。


 危険な敵。


「試作三号」


 腰。


 触る。


「ちょうどいい」


 新しい刀。


 新しい敵。


 新しい地域。


 最初の街。


 シズナで。


 始まった。


 俺のAWO生活。


 少しずつ。


 次へ。


 進んでいる。


         ◇◇◇


 同じ頃。


 CROSS社。


「配信終了」


「最大同接」


「十一万二千六百四十四」


「十万突破」


「アーカイブ予約」


「急増中」


「バルガさん」


「人気ですね」


「職人枠です」


 神崎。


 映像。


 完成した。


《鉄刀・試作三号》


 見る。


「戦闘配信」


「次」


「ありそうですね」


「本人は?」


「通常プレイ予定」


「なら」


「放っておきましょう」


「はい」


「どうせ」


 一拍。


「また何か起きます」


         ◇◇◇


 そして。


 AWO。


 シズナから東へ伸びる街道。


 夜。


 月。


 その下。


 大きな。


 影。


「ブモォ……」


 一。


 二。


 三。


 五。


 いや。


 もっと。


《オーク》


 その奥。


 ひときわ。


 大きな。


 個体。


 肩。


 大斧。


《???》


 通常。


 オーク討伐依頼。


 そのはずだった。


 だが。


 明日。


 俺たちは。


 ただの五体討伐では終わらない。


 《灰色谷》へ向かうための。


 最初の本格的な。


 戦闘試練へ。


 足を踏み入れることになる。

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