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Another World Online(通称:AWO)  作者: バモス
第一章 AWO開始編

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33/133

第33話 ルクへ届ける帰還報告

《Welcome Back》


《Another World Online》


 目を開ける。


 天井は布。


 街の宿ではない。


 俺――ジョウゴは、《双子岩野営地点》に張った簡易テントの中で目を覚ました。


「今日から帰り道か」


 昨日。


 俺たちはついに、エルナ村の生存者――エルフの狩人《エディル》と接触した。


 分かったことは大きい。


《エルナ村:現存》


《生存者:約27名》


《村への入村条件:ルク本人の帰郷意思確認》


 そして。


 アイテム欄。


《エディルの木札》


《森蜜》


 ルクを知る者が今も生きている証。


「早く持って帰ってやりたいな」


 もっとも。


 ここからシズナまでは、まだ遠い。


 現実では今日も仕事がある。


 だから。


「焦って事故る方が駄目だ」


 一つずつ。


 帰ろう。


         ◇◇◇


 テントの外。


「おはようございます」


「おはよう」


 ミナ。


 続いて。


「うー……」


 カイト。


「今日も寝起き悪いな」


「ゲームなのに何で眠い感覚あるんだよ」


「没入感?」


「余計なところまでリアル!」


 レントもテントから出てくる。


「今日は古石橋まで?」


「ああ」


 ガレスの地図。


 双子岩。


 精霊迷い。


 古石橋。


「行きよりは楽だろ」


「森精霊の祝福も残ってますしね」


《森精霊の祝福》


《残り:14時間23分》


 方向感覚補正。


 微。


 でも。


 精霊迷いではかなり助かった。


「問題は熊」


 カイト。


 真顔。


「まだ言うか」


「言う!」


 レベル12の熊。


 相当怖かったらしい。


「枝踏むなよ」


「もう踏まない!」


         ◇◇◇


 朝食。


 片づけ。


 出発。


《旧西街道》


「行きと景色同じなのに」


 ミナ。


「帰りってちょっと安心しますね」


「分かる」


 目的地。


 知っている。


 道も。


 一度通っている。


「でも油断はしない」


「もちろん」


         ◇◇◇


 精霊迷い。


 入口付近。


「ここだよな」


 レント。


 前回。


 同じ場所を何度も歩いた。


 でも。


 今日は。


《森精霊の祝福が反応しています》


 淡い。


 緑。


 視界の端。


「こっち」


 俺。


 自然に。


 方向。


 分かる。


「便利!」


 ミナ。


「精霊さんありがたい」


 カイト。


「もう迷いたくない」


 森。


 進む。


 そして。


 前回ほど時間を掛けず。


《特殊エリア》


《精霊迷い》


《通過》


「抜けた」


「早い」


 レント。


「祝福強いな」


 その時。


 チリン。


「ん?」


 鈴。


 小さな。


 音。


「また?」


 ミナ。


 周囲。


 見る。


 でも。


 小さな光。


 姿。


 見えない。


 チリン。


 チリン。


 そして。


 俺の刀。


《鉄刀・試作二号》


 鞘。


 淡く。


 緑。


 光る。


《森精霊の祝福の熟練反応を確認》


「熟練?」


 カイト。


「祝福に熟練あるの?」


「知らない」


 次。


《森林環境への適応行動を確認》


《特殊技能候補》


《森歩き》


「また技能」


「探索職みたいになってきましたね」


 ミナ。


「剣士なんだけど」


「指南役で採掘して野営して追跡してますから」


「言われると否定しづらい」


         ◇◇◇


 昼前。


「ここ」


 支流。


 前回。


 倒木。


 渡した。


「まだある」


《簡易渡河路》


《作成者:ジョウゴ一行》


「残ってる!」


 カイト。


「こういうの嬉しいな」


「プレイヤーが作ったもの」


「世界に残るんですね」


 ミナ。


「いつまでかは分からないけど」


 渡る。


 今回は。


 問題なし。


         ◇◇◇


 その後。


「止まって」


 三人。


 止まる。


 前。


 足跡。


「熊?」


 カイト。


 もう熊しか頭にない。


「違う」


 小さい。


 蹄。


《森鹿の足跡》


「鹿」


「食材?」


 ミナ。


「最近食べ物基準になってない?」


「違います!」


 その時。


 茂み。


「キュゥ」


 鹿。


 小型。


《フォレストディア Lv.4》


 こちら。


 見る。


「非敵対?」


 レント。


「多分」


 鹿。


 少し。


 こちらを見て。


 森へ。


 消える。


「追わない?」


 カイト。


「食料ある」


「だよな」


 ミナ。


「鹿肉……」


「ミナ?」


「何でもありません」


         ◇◇◇


 午後。


 古石橋。


「見えた!」


 カイト。


 石。


 橋。


 崩れ。


《旧西街道・古石橋》


「今日の目標」


「到着」


 その向こう。


 前回。


 野営した。


《旧街道休憩所》


 まだ。


 ある。


「テント張ろう」


         ◇◇◇


 設営。


 焚き火。


 そして。


「今日は配信してないんですよね」


 ミナ。


「ああ」


「もったいない?」


 カイト。


「帰路だし」


「俺たちには大事でも」


「視聴者からすると同じ道だろ」


 レント。


「でも精霊迷いの祝福ルートは見たかった人いそう」


「次回話せばいい」


 俺。


 別に。


 全部を。


 見せる必要はない。


「配信してない時も」


「AWOは続いてる」


 それでいい。


         ◇◇◇


 焚き火。


 夕食。


「明日」


 レント。


「西門まで?」


「多分行ける」


「シズナ」


 ミナ。


「ルク君待ってますね」


「ああ」


 アイテム欄。


《エディルの木札》


「これ」


 カイト。


「見せたらすぐ帰りたがるかな」


「可能性高い」


「連れてく?」


 ミナ。


「まず本人に聞く」


「それから」


「体調」


「装備」


「ルート」


 今まで。


 安全確認。


 した。


 でも。


《安全度:低~中》


 熊。


 精霊迷い。


 支流。


「十二歳連れて行くには」


 まだ。


 心配。


「エディルが途中まで迎えに来てくれれば」


 レント。


「かなり楽」


「そうだな」


「相談できる?」


「次回」


 また。


 双子岩より奥。


「それだと往復長い」


「伝言手段ないかな」


 ミナ。


「ギルド経由?」


「エルナ村とシズナ」


「連絡途絶えてるから無理」


「森精霊?」


 三人。


 俺を見る。


「なんで俺?」


「刀に祝福付いてるから」


「精霊と話せるわけじゃないぞ」


 でも。


 可能性。


 ゼロではない。


         ◇◇◇


 夜。


 ログアウト。


《セーフログアウト》


《旧街道休憩所》


「明日」


「シズナ」


「了解」


         ◇◇◇


 翌日。


 現実。


 仕事。


「上塚主任」


「はい」


「この前のジョウゴ配信の続きまだですかね?」


「知らない」


「旧街道遠征、気になるんですよ」


「そのうちやるんじゃない?」


「主任も見てます?」


「まあ」


「ルクの村見つかるかな」


「……あるといいな」


「ですよね」


 俺は。


 書類を見る。


 もう。


 見つけた。


 でも。


 本人に伝える前に。


 職場の後輩へ言うわけにはいかない。


「主任?」


「何?」


「なんか知ってる顔」


「仕事しろ」


「またそれ!」


         ◇◇◇


 夜。


 ログイン。


《旧街道休憩所》


「今日は帰るぞ」


 全員。


 集合。


 テント。


 撤収。


 古石橋。


 渡る。


 森。


 前回。


 熊。


 遭遇地点。


「カイト」


「分かってる」


 足元。


 凝視。


「そこまで下見ると前見えないぞ」


「どっちだよ!」


         ◇◇◇


 数時間。


 歩く。


 危険。


 少ない。


 フォレストウルフ。


 二体。


 遭遇。


「来る!」


 カイト。


 盾。


 今回は。


 問題なし。


「《シールドバッシュ》!」


 ドンッ!


「ミナ!」


「《ファイアアロー》!」


 炎。


「レント!」


「《パワーショット》!」


 矢。


 俺。


 刀。


「ふっ!」


 一閃。


《Critical Hit!》


《フォレストウルフを討伐しました》


 もう一体。


 同じ。


 撃破。


「もう慣れたな」


 カイト。


「最初五体で大騒ぎだったのに」


「装備もレベルも上がった」


 俺。


 現在。


《ジョウゴ Lv.5》


 少しずつ。


 上がっている。


 攻略。


 急いでない。


 でも。


 生活。


 していれば。


 自然と。


         ◇◇◇


 夕方。


 森。


 薄く。


 明るくなる。


「西門!」


 ミナ。


「帰ってきた!」


《旧西街道跡》


《シズナ西門》


「久しぶりに感じる」


 実際。


 何日か。


 ゲーム内で。


 旅していた。


 門。


 衛兵。


「おお!」


《西門衛兵 ローディ》


「無事だったか!」


「はい」


「どこまで?」


「双子岩より先」


「そんなところまで!?」


「それと」


「エルナ村」


 ローディ。


 止まる。


「見つけたのか?」


「生存者と会いました」


「……そうか」


 少し。


 目。


 細める。


「よかったな」


         ◇◇◇


《旧西街道安全確認》


《シズナまで帰還しました》


《長期クエストが更新されました》


《ルクの故郷》


《旧街道の一次調査:完了》


《エルナ村生存者との接触:完了》


《次の目的:ルクへ報告》


「ようやく」


 ミナ。


「あとは」


 俺。


「本人」


         ◇◇◇


 シズナ。


 街。


「帰ってきた感じする」


 カイト。


「銀麦亭行きたい」


「先にルク」


 俺。


 即答。


「やっぱり」


 レント。


「そっちですよね」


「待たせてるから」


         ◇◇◇


 診療所。


 扉。


「失礼します」


 セレナ。


「……!」


 俺たち。


 見る。


「お帰りなさい」


「ルクは?」


「奥です」


「ずっと待っていましたよ」


「……そっか」


         ◇◇◇


 扉。


 ノック。


「ルク」


 中。


 物音。


 ガタン!


「ジョウゴ!?」


「入るぞ」


「待って!」


「何?」


「ちょっと!」


 数秒。


「いい!」


 扉。


 開く。


 ルク。


 立ってる。


 机。


 上。


 木屑。


 木の刀。


 慌てて。


 布。


 被せている。


「何隠した?」


「何も!」


「そう」


 無理に。


 見ない。


「ただいま」


「……」


 ルク。


 俺。


 見る。


「ほんとに帰ってきた」


「ああ」


「約束したから」


「……うん」


 少し。


 目。


 赤い?


「泣いた?」


「泣いてない!」


「分かった」


「笑うな!」


「笑ってない」


         ◇◇◇


「ジョウゴ」


「ん?」


「エルナ」


 一番。


 聞きたいこと。


 当然。


「見つかった?」


 俺。


 一拍。


 置く。


「村は」


 ルク。


 息。


 止める。


「残ってた」


「…………」


「本当?」


「ああ」


「今も?」


「今も」


 ルク。


 目。


 大きく。


「人は?」


「いる」


「何人?」


「二十七人」


 嬉しさ。


 でも。


 同時。


 その数字。


「……少ない」


「ああ」


「いっぱい」


「死んだ?」


「エディルさんは」


「そう言ってた」


「エディル?」


 俺。


 アイテム欄。


 取り出す。


《エディルの木札》


「知ってる?」


 ルク。


「……!」


 取る。


 両手。


「エディルおじさん」


「知ってるんだ」


「村の狩人」


「俺に弓教えてくれた」


「じゃあ」


「本人だ」


 ルク。


 木札。


 握る。


「生きてる?」


「ああ」


「元気?」


「俺たちに弓向けるくらいには」


「え?」


「最初敵だと思われた」


 ルク。


 一瞬。


 そして。


「……エディルおじさんらしい」


 小さく。


 笑う。


         ◇◇◇


「それから」


 俺。


 袋。


 出す。


《森蜜》


「これ」


 ルク。


 見る。


「森蜜……」


「エディルさんから」


「ルクが好きだったって」


 ルク。


 両手。


 震える。


「覚えてた……」


「みたいだな」


「俺」


「ずっと」


「森蜜好きって」


「…………」


 声。


 小さい。


「忘れられてない」


 その言葉。


 胸。


 少し。


 重い。


「忘れてなかったよ」


 ルク。


 下。


 向く。


 ポタ。


「……」


 床。


 涙。


「ルク」


「泣いてない」


「今度は無理ある」


「泣いてない!」


「はいはい」


「はいは一回!」


「はい」


 ミナ。


 顔。


 背けている。


 多分。


 泣きそう。


 カイト。


 黙る。


 レントも。


         ◇◇◇


 少し。


 落ち着いて。


「ジョウゴ」


「ん?」


「お父さん」


 来た。


「お母さん」


「……」


「いた?」


 俺。


 嘘。


 つけない。


「分からない」


「……」


「エディルさんには聞いた」


「でも」


「俺が二人の名前を知らなかった」


「だから確認できなかった」


「名前」


 ルク。


「お父さんは」


 一拍。


「アルト」


「人間」


「お母さんは」


「セリエ」


「エルフ」


《重要情報を取得しました》


《ルクの父:アルト》


《ルクの母:セリエ》


「分かった」


「次」


「確認する」


「……うん」


「まだ」


「生きてないって決まったわけじゃない」


「うん」


「でも」


 俺。


「生きてるとも言えない」


 ルク。


 黙る。


「それでも」


「調べる?」


 ルク。


 顔。


 上げる。


「調べる」


「分かった」


         ◇◇◇


《クエスト更新》


《ルクの故郷》


《新規情報》


《父:アルト》


《母:セリエ》


《二名の安否を確認してください》


 そして。


《ルクへエルナ村の現状を報告しました》


《信頼度が大幅に上昇しました》


         ◇◇◇


「それと」


 俺。


「村へ行くか」


「?」


「エディルさんが」


「ルク本人が帰りたいなら」


「村へ入れるって」


「…………」


 ルク。


 固まる。


「帰れる?」


「ああ」


「ただ」


「道は危ない」


「大きな熊」


「迷う森」


「川」


「だから」


「準備してから」


「一緒に行く?」


 ルク。


 返事。


 すぐではない。


「……怖い」


「うん」


「村」


「なくなってない」


「でも」


「いっぱい死んだ」


「うん」


「お父さんとお母さん」


「いないかもしれない」


「うん」


「それでも」


 小さい。


 拳。


 握る。


「帰りたい」


「分かった」


「じゃあ」


「帰ろう」


 ルク。


 俺を見る。


「一緒に?」


「ああ」


「四人で?」


「もちろん」


 ミナ。


「私も行きます」


 カイト。


「ここまで来たら最後までだ」


 レント。


「同意」


 ルク。


「……ありがとう」


         ◇◇◇


《長期クエスト》


《ルクの帰郷》


《ルクをエルナ村まで護衛してください》


《推奨Lv:5~》


《重要NPC同行クエスト》


《失敗条件:ルクの戦闘不能》


《事前準備を推奨します》


「戦闘不能」


 俺。


 表情。


 変わる。


「これは」


「慎重に」


 ミナ。


「絶対ですね」


「ああ」


 今まで。


 俺たちだけなら。


 無理なら逃げればいい。


 でも。


 今度は。


 ルク。


 いる。


「装備」


「整える」


「ルクの分も」


         ◇◇◇


 セレナ。


 診察。


「長旅?」


「はい」


「今のルク君なら」


「歩行自体は問題ありません」


「ただし」


「無理は禁物」


「分かりました」


「休憩を多めに」


「食事」


「水分」


「睡眠」


「はい」


 ルク。


「子供扱い」


「十二歳です」


「セレナまで!」


         ◇◇◇


 診療所。


 出る。


「どこ行く?」


 ルク。


「銀麦亭」


「!」


「森蜜」


「マリアさんに頼んで」


「何か作ってもらう?」


「行く!」


「走るな!」


「走ってない!」


 早歩き。


「それ走る一歩手前!」


         ◇◇◇


 銀麦亭。


「お帰り!」


 マリアさん。


「本当に長かったねぇ!」


「ただいま」


「ルク!」


「マリア!」


「元気そうじゃないか!」


「うん!」


 ルク。


 森蜜。


 見せる。


「これ」


「ほう」


「エルナの?」


「エディルおじさん」


「生きてた」


「そりゃよかった!」


「マリア」


「これで何か作れる?」


「もちろん!」


「何がいい?」


「パン!」


「やっぱり!」


         ◇◇◇


 しばらく。


 甘い。


 匂い。


《森蜜パン》


 焼き上がる。


「ほら!」


 ルク。


 一口。


「……!」


「どう?」


「おいしい!」


「よかったねぇ!」


 俺。


 見てる。


 すると。


「ジョウゴも」


 ルク。


 半分。


 差し出す。


「いいの?」


「エディルおじさんの」


「一緒に食べて」


「じゃあ」


 一口。


「うん」


「どう?」


「美味い」


「それだけ?」


 ミナ。


「食レポじゃないから!」


         ◇◇◇


 ポーン。


《特殊交流を確認》


《森蜜パンのレシピが銀麦亭に登録されました》


「……え?」


 マリアさん。


「気に入ったよ!」


「今度から作る!」


「メニュー増えた」


 ルク。


 嬉しそう。


「エルナの味」


「シズナにもできた」


「……そうだな」


 世界。


 また。


 少し。


 変わった。


         ◇◇◇


 その時。


《CROSS社からメッセージが届きました》


「ん?」


《旧街道探索からの帰還を確認しました》


《次回配信に関する希望が多数寄せられています》


《ただし、NPCルクに関する内容の配信は本人の意思とプライバシーを最優先してください》


「ちゃんとしてる」


 ミナ。


「配信します?」


 俺。


 ルク。


 見る。


「ルク」


「何?」


「次の旅」


「向こうの人たちにも見てもらっていい?」


「前のいっぱいの人?」


「ああ」


「嫌ならしない」


 ルク。


 少し。


 考える。


「ジョウゴと一緒?」


「もちろん」


「じゃあいい」


「本当に?」


「うん」


「でも」


「?」


「俺」


「変なこと言ったら」


「映さないで」


「分かった」


「あと」


「泣いたの」


「言うな」


「……分かった」


 後ろ。


 ミナたち。


 何も。


 言わない。


 賢い。


         ◇◇◇


《配信許可設定》


《NPC:ルク》


《同行配信:同意》


《センシティブ情報保護:最大》


「設定完了」


 次。


 エルナ村。


 ルク。


 帰郷。


 それは。


 多分。


 今までで。


 一番。


 大事な旅になる。


         ◇◇◇


 そして。


 現実世界。


 CROSS社。


「ルク君本人の同行配信同意を確認」


「保護レベルは?」


「最大」


「家族関連」


「自動コメントフィルター強化」


「過度な詮索」


「即時非表示」


「了解」


 神崎。


 画面。


 見る。


《次回候補:ルク帰郷》


「数字より」


「安全と物語優先で」


「はい」


         ◇◇◇


 AWO公式掲示板。



---


【速報】ジョウゴ旧街道遠征帰還


441:名無しの冒険者

帰ってきたらしい。


442:名無しの冒険者

エルナ村どうだった?


443:名無しの冒険者

詳細まだ。


444:名無しの冒険者

配信してなかったからな。


445:名無しの冒険者

重要回なのに配信しない自由人。


446:名無しの冒険者

それでいい。


447:名無しの冒険者

ルクに先に話すって言ってたらしい。


448:名無しの冒険者

あー。


449:名無しの冒険者

ジョウゴらしい。


450:名無しの冒険者

次回帰郷クエスト?


451:名無しの冒険者

配信あるかも。


452:名無しの冒険者

絶対見る。


453:名無しの冒険者

護衛だから戦闘厨は暴れるなよ。


454:名無しの冒険者

ルク優先。


455:名無しの冒険者

了解。


456:名無しの冒険者

ところで銀麦亭に新しいパン増えたぞ。


457:名無しの冒険者

何?


458:名無しの冒険者

森蜜パン。


459:名無しの冒険者

またジョウゴか?


460:名無しの冒険者

またジョウゴだ。


461:名無しの冒険者

何で旅から帰ってパン増やしてんだよw



---


 俺としては。


 何も。


 増やしたつもりはない。


 ただ。


 ルクが持って帰ってきた故郷の味を。


 マリアさんがパンにした。


 それだけ。


 でも。


 AWOでは。


 そんな小さな出来事も。


 街に残る。


 次の旅。


 今度は。


 俺たち四人だけではない。


 ルクを連れて。


 旧街道を西へ。


 エルナ村へ。


 そして。


 そこで。


 ルクの両親。


 アルトとセリエ。


 二人の安否を。


 確かめる。


「ちゃんと帰そう」


 俺は。


 刀の柄へ手を置く。


 今度こそ。


 ただの探索ではない。


 守るべき相手がいる。


 だから。


 これまで以上に。


 慎重に。


 準備する。


 剣士ジョウゴの。


 初めての本格的な。


 NPC護衛遠征が。


 始まろうとしていた。

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