↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Another World Online(通称:AWO)  作者: バモス
第二章 CROSS社契約編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
130/134

第77話 旧西方採掘場と封鎖された坑道

西方山地で発見した不安定な魔力反応について、冒険者ギルドによる調査が進められていた。


前回、俺たちは魔力調査員のエレナさんとともに第三調査区間を訪れ、岩壁の亀裂から漏れ出す魔力を測定した。その結果、魔力濃度は通常値の百三十七%、波長安定度は五十四%という異常な数値が確認された。


さらに魔力の流れを追跡したところ、閉鎖された《旧西方採掘場》の方向から流れてきている可能性が浮上した。


ただし、古い採掘場には崩落の危険がある。俺たちは無理に奥へ進まず、調査結果をギルドへ報告して依頼を終えた。


そして翌日、仕事を終えてAWOへログインした俺は、宿泊先の《金麦の宿》で仲間たちと合流した。


「ジョウゴ、おはようございます!」


ミナが笑顔で声をかけてくる。俺も挨拶を返して席に着くと、レントがギルドから届いた通知を見せてきた。


「昨日の調査について、追加の連絡が来ている」


「もう結果が出たのか?」


「いや、旧西方採掘場の入口周辺を調査する許可が下りたらしい」


通知を確認すると、確かにギルドから新しい依頼が届いていた。


今回は採掘場内部への立ち入りではなく、入口周辺の安全確認と魔力測定が目的らしい。


「中には入らないんだな」


俺が確認すると、レントが頷いた。


「崩落の危険があるからな。内部調査は別途、安全確認をしてからになるそうだ」


それなら問題ないだろう。


俺たちは朝食を済ませ、冒険者ギルドへ向かった。


◇◇◇


ギルドの会議室では、調査主任のガルドさんと魔力調査員のエレナさんが待っていた。


「皆さん、おはようございます。昨日はありがとうございました」


エレナさんが丁寧に挨拶する。


ガルドさんは机に地図を広げ、旧西方採掘場の位置を示した。


「今回お願いしたいのは、採掘場入口の状況確認です。坑道内部へ入る必要はありません」


俺たちは依頼内容を確認した。


旧西方採掘場は十数年前まで使用されていた鉱山で、採掘量の減少と坑道の老朽化によって閉鎖されたらしい。


入口は木製の柵と鉄製の扉で封鎖されているが、最近になって周辺で魔物の目撃情報が増えているという。


「魔力異常と関係があるかもしれない、ということですね」


俺が尋ねると、ガルドさんは頷いた。


「その可能性があります。ただし、現時点では断定できません」


エレナさんも続ける。


「今回は私も同行します。魔力測定を行い、異常の発生地点を絞り込みたいと思います」


俺たちは依頼を受注し、準備を整えて西方山地へ出発した。


◇◇◇


旧西方採掘場へ向かう道は、前回調査した採掘道からさらに西へ延びていた。


周囲には大きな岩が増え、地面も次第に険しくなっていく。かつて鉱石を運んでいたらしい荷馬車の轍が残っていたが、長い間使われていないため、所々で草に覆われていた。


俺は先頭を歩きながら《索敵》を使用する。


近くに魔物の反応はない。


ただ、周囲の岩肌から僅かな魔力を感じるようになっていた。


「エレナさん、この辺りも魔力が強いんですか?」


俺が尋ねると、彼女は測定器を確認した。


「通常値の百十八%ですね。採掘場へ近づくにつれて、少しずつ上昇しています」


レントが地図へ数値を記録する。


「昨日の亀裂よりは低いな」


「はい。ただ、魔力の流れは同じ方向から来ています」


俺たちは警戒を続けながら進んだ。


やがて岩山の斜面に、古い木製の建物が見えてきた。


その奥には大きな坑道の入口があり、錆びた鉄扉が取り付けられている。


どうやら旧西方採掘場へ到着したらしい。


◇◇◇


入口周辺には、かつて使用されていた採掘道具や壊れた荷車が残されていた。


木製の支柱は風雨にさらされて黒ずみ、鉄製の設備にも錆が浮いている。


俺たちはまず周囲の安全を確認した。


「レント、魔物の反応は?」


「今のところなし。ただし、岩陰が多いから注意した方がいい」


カイトが盾を構え、ミナはエレナさんの近くで待機する。


俺は坑道の入口へ近づいた。


鉄扉には古い鎖が巻かれており、中央には《立入禁止》と書かれた木製の札が掛けられている。


無理に開けるつもりはない。


しかし、扉の隙間から微弱な魔力が漏れ出していることに気づいた。


「……ここだな」


俺が呟くと、エレナさんが測定器を向けた。


《魔力濃度:通常値の162%》


《波長安定度:47%》


《属性:複合》


昨日よりも強い反応だった。


エレナさんは真剣な表情で数値を確認する。


「やはり、採掘場の内部に原因がある可能性が高そうです」


俺は周囲の岩壁にも目を向けた。


すると、坑道入口の右側に細い亀裂が走っているのが見えた。


そこからも魔力が漏れ出している。


「エレナさん、こちらも測定できますか?」


「はい」


測定器を向けると、さらに高い数値が表示された。


《魔力濃度:通常値の174%》


《波長安定度:42%》


どうやら、扉の隙間よりも岩壁の亀裂の方が魔力反応が強いらしい。


俺は《洞察》を使用して岩壁の状態を確認した。


《岩壁内部に微弱な空洞反応》


《魔力流入方向:坑道深部》


《構造安定性:不明》


空洞反応か。


岩壁の奥に、別の坑道か空間が存在するのかもしれない。


ただし、構造安定性が不明と表示されている以上、触らない方がいいだろう。


◇◇◇


測定を続けていると、突然レントが声を上げた。


「ジョウゴ、右側の岩場に反応!」


俺もすぐに《索敵》を使用する。


《ストーンウルフ Lv15》


《ストーンウルフ Lv16》


《ストーンウルフ Lv15》


三体のストーンウルフが岩陰から姿を現した。


以前戦った個体よりもレベルが高い。


「カイト、エレナさんを守ってくれ!」


「任せろ!」


カイトが盾を構え、エレナさんの前へ立つ。


俺は星月を抜き、先頭のストーンウルフへ向き直った。


魔物は低く唸りながら距離を詰めてくる。


次の瞬間、一体が地面を蹴って飛びかかってきた。


俺は半歩だけ身体をずらし、攻撃を受け流す。


そのまま星月を振るい、前脚の関節を狙った。


刃が命中し、魔物が体勢を崩す。


そこへレントの矢が飛び、弱点を正確に射抜いた。


一方、カイトは残る二体を盾で牽制していた。


「こっちは任せろ!」


カイトが盾を突き出し、一体を押し返す。


ミナが支援魔法を発動した。


「《プロテクション》!」


淡い光がカイトを包み、防御力が上昇する。


俺は残る魔物の動きを見極め、側面へ回り込んだ。


ストーンウルフの硬い皮膚を避け、関節部分へ斬撃を放つ。


数度の攻防の末、三体を討伐することができた。


《ストーンウルフ三体を討伐しました》


《経験値を獲得しました》


俺たちは周囲を確認し、追加の魔物がいないことを確かめた。


「全員、大丈夫か?」


ミナが頷く。


「はい。エレナさんも無事です!」


エレナさんも安心した様子で頭を下げた。


「ありがとうございます。助かりました」


俺は星月を鞘へ納め、再び坑道の入口へ目を向けた。


魔物がこの周辺へ集まっているのは、やはり魔力異常と関係しているのだろうか。


◇◇◇


その後、俺たちは追加の測定を行い、採掘場入口の状況を記録した。


エレナさんによれば、坑道内部から外へ向かって不安定な魔力が流れ出していることは、ほぼ間違いないらしい。


ただし、その原因までは分からなかった。


「内部を調べる必要がありますね」


エレナさんがそう言うと、俺は頷いた。


「でも、今すぐ入るのは危険です」


「はい。まずはギルドへ報告しましょう」


俺たちは採掘場を後にし、リーヴェルへ戻ることにした。


帰り道では魔物との遭遇もなく、夕方には冒険者ギルドへ到着した。


ガルドさんへ調査結果を報告すると、彼は真剣な表情で資料を確認した。


「魔力濃度が百七十四%……しかも岩壁内部に空洞反応ですか」


「はい。構造安定性も確認できませんでした」


俺が答えると、ガルドさんは頷いた。


「分かりました。坑道内部の調査については、専門の技術者と相談してから判断します」


その言葉を聞き、俺たちは安心した。


無理に調査を進めるより、安全確認を優先する方がいい。


今回の依頼も無事に達成となり、報酬が支払われた。


《旧西方採掘場入口調査》


《依頼達成》


《基本報酬:20,000G》


《危険区域調査追加報酬:5,000G》


《合計報酬:25,000G》


《冒険者ギルド評価が上昇しました》


俺たちは報酬を受け取り、ギルドを後にした。


金麦の宿へ戻る途中、レントが口を開いた。


「旧西方採掘場の内部か。何があるんだろうな」


「まだ分からない。ただ、普通の魔力反応じゃないのは確かだ」


俺が答えると、カイトが笑った。


「次は坑道の中を調べることになるのか?」


「安全確認が終われば、そうなるかもしれないな」


ミナも頷いた。


「でも、無理はしないようにしましょうね」


「ああ。もちろんだ」


俺たちは宿屋へ戻り、夕食を取りながら今日の出来事を振り返った。


旧西方採掘場の奥から漏れ出す不安定な魔力。


周辺へ集まる魔物たち。


そして、岩壁内部で確認された空洞反応。


まだ原因は分からないが、何かが起きていることだけは確かだった。


俺は明日の仕事に備えて早めにログアウトすることにした。


西方山地の調査は、まだ始まったばかりだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。