罠としての救援信号
■ 罠としての救援信号
「……来る。必ず、来る。あの3人は“情”に厚い。罠だとわかっても、仲間の声を無視するような人間じゃない」
リュシェルはそう呟くと、塔周辺に結界を張り、獣魔と呼ばれる魔神由来の異形たちを潜ませた。
目的は3つ。
1. レオン達3人の力を測ること。
2. 彼らを弱らせ、器と交戦させる“舞台”を整えること。
3. そして、彼らの“選択”を試すこと。
それは「再会」ではなく、「試練」として用意された地獄だった。
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【救援の灯火】揺れる決断
地下迷宮――修行の場に響く、古びた魔導通信の警告音。
「これは……!」
レオンが駆け寄り、水晶端末に手を翳す。光が揺れ、微弱な文字が浮かび上がった。
> “士官学校より離脱。仲間数名と塔に潜伏中。洗脳の兆候あり。救援求ム。──ユリウス”
その名に、レオンが眉を寄せた。「ユリウス……後輩のひとりだ。あいつが無事だったなんて……」
「罠だわ」
冷静な声でそう断言したのは、レイナ団長だった。
彼女は腕を組み、迷わず続ける。「洗脳された人間が仲間に紛れていたら? 救助信号そのものが発信させられたものだとしたら? 検証もせずに向かうのは自殺行為よ」
エリナが唇を噛む。「でも……放っておけないわ。助けを求めてる人がいるのに、動かなかったら、それこそ……!」
レオンが手を握りしめた。「たとえ罠でも、動かなきゃ後悔する。ユリウスは俺たちに助けを求めたんだ。嘘でも本当でも、俺は応えたい」
ジークもゆっくりと頷く。「レイナ団長、俺たちはあなたの言葉を疑ってるんじゃない。ただ……命をかける覚悟は、もうとっくにできてるんだ」
レイナはしばらく無言のまま彼らを見つめ、そして、小さく嘆息した。
「……なら、せめて生きて帰ってきなさい。それが条件よ。いい?」
「……はい、必ず戻ります」レオンが静かに頷いた。
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【幻炎の塔】潜入開始
《静寂の塔》――魔力を吸う霧が常に漂う、王都郊外の古代塔。
塔の最上部には結界が張られ、塔の外見そのものが“視認困難”にされていたが、レオンたちは訓練とレイナ団長の知識を活かして、塔の結界を突破する術を編み出していた。
「感知範囲に注意しろ。ここはもう、戦場だ」ジークが前を行き、エリナが魔法で周囲を索敵する。
塔の中は静寂そのものだった。だがそれは、死の気配を孕んだ“沈黙”だった。
最初に彼らを迎えたのは、士官学校の制服を着た、かつての仲間だった。
「先輩……どうして来たんですか? あなたたちは間違ってる……リュシェル先生は正しい……」
その目は曇り、意思を感じさせない。
「……やはり、洗脳されてる……!」エリナが小さく声を漏らす。
【幻炎の塔】仲間との交錯
「……やめろ……やめてくれよレオン先輩……!」
刃を交える“かつての仲間”たちは、顔こそ懐かしいが、その動きはどこか人形めいていた。感情が希薄で、まるで命令に忠実な“兵器”のよう。
「……すまない!」
ジークは拳の柄で相手の意識を奪い、倒れた仲間を静かに地面へ横たえた。
「殺さずに制圧していくなんて、簡単なことじゃないよ……」レオンが息を切らしながら呟く。
「それでも、私たちは殺し合いをしたいんじゃない……あの人たちは、本当の自分に戻れるはずだもの」エリナの声には、信念が込められていた。
途中、塔の中層にて《幻炎結界》と呼ばれる幻影魔法に包まれる三人。
現れたのは――それぞれの“最も後悔した記憶”。
レオンの前に現れたのは、瀕死の先生・ガラルドが笑いながら倒れる幻影。
「お前が守れなかった」
「選ばなければ救えた命だ」
幻がそう囁く。
「……黙れよ。あんたが何を言おうと……先生は、命を賭けて、俺を守ってくれたんだ!」
レオンの怒りが、封印剣と共鳴する。一閃。幻が砕け、結界が破られる。
ジーク、エリナもまたそれぞれの“恐れ”を振り切り、塔の最上階へとたどり着く。
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