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気配消して近づくのはやめてほしい

 解体も終わり、狩った数分のツノウサギの肉の報酬と、それよりちょっとすくない数の皮の報酬の査定も終わった。シアが気張り過ぎちゃったみたいで楽しくなっちゃってるときに狩ったツノウサギの皮は何匹分か引き取れなかったらしい、おそろしい。


 「はい、これが今回の分です。すごくがんばりましたね。また頑張ってください。」


 ツノウサギの魔石と肉と皮を合わせた分のお金が入った革袋を受付のお姉さんから受け取る。


 「うわっ重い!」

 「どれどれ、うわっすごい…いつもとは比べ物にならないくらいの重さだね…」


 革袋には金貨が数十枚と銀貨と銅貨か何枚かずつ入っていた。しばらくなにもしなくても暮らせそうな額だ。


 「今日は…たくさん狩れましたお祝いパーティでもしようよ!」

 「そうだね、そうしよう。こんなに狩れたのはアヤのおかげだよ。アヤの食べたいものにしよう。」

 

 シアちゃん…なんて優しい子…!!でも私にはこの世界の食べ物もお店も知らない!ごめんね!


 「ごめん…私なにがあるのかとかよくわかんなくて…美味しいものならなんでもいいよ!」

 「そうか…いや、ごめん、私も実はよくわからないんだ。今までは屋台と宿以外では基本的に食べなかったからさ。」


 たしかにシアは割と質素倹約を地で行くような人だし。駆け出しの冒険者の稼ぎでは贅沢せずに暮らすので精一杯だ。


 「ふっふっふ…話は聞かせてもらいましたよ!そういうことならベテラン美人冒険者のこの私に任せなさい!」


 シアと私が話してるところに首を突っ込んで突然女の人が割り込んできた。整った顔立ちにショートカットの真っ赤な髪、それに爛々と輝く目が私達を見つめていた。後ろに立たれたのに気配とかはまったく感じなかった、コワ…。


 「あっチェルヴォニさん!戻ったんですか!無事で良かったです!おかえりなさい!」


 受付のお姉さんが、私とシアの間にぬっと顔を突き出している女性に向けてそう言った。ギルドの中の人達もチェルヴォニと呼ばれる人の帰還に気づいたらしく口々におかえりだのお疲れさんだのと声をかけている。


 「はい!戻りました!依頼の報告は後でいいですか?まずこの子達をナンパしたいので!」

 「ナン…パ…?私達に…?」

 「ええ!こんなにカワイイ子達がいるんですよ!どうです?今夜お食事ご一緒しませんか?良いお店があるんですよ。」

 「ええ…その…あの…」

 「是非よろしくお願いします。」


 私が言い淀んでいるとシアが二つ返事で承諾してしまった。まあギルドの反応を見るにやばい人ではなさそうだけど…。

 

 「この人、かなり有名な冒険者だよ。あの若さでもうCランクになってる。話を聞くチャンスだと思わない?」


 シアが小さな声で私にそう伝えた。たしかに大先輩の話を聞く大チャンスだ。ご飯くらいなら行ってもいいだろう。


 「ふふふ!行きましょう行きましょう!決定ですね!申し遅れましたが私はかなり有名な冒険者のチェルヴォニです!どうぞよろしく!私は依頼の報告をしてくるので少し待っててくださいね!」


 丸聞こえだったらしい。近くにいたしね。それはともかくチェルヴォニさんは私達にそういうとスタスタ受付に向かって少し話すとそのままギルドの裏に向かった。大物でも狩ってきたのだろうか?


 「あの人、チェルヴォニさんはCランク到達の速さもそうだけど基本的に1人で冒険してるんだ。そこもあいまって有名になってるね。」

 「へえ…1人で…すごいんだね…。ところであの人…チェルヴォあさんは何で戦うの?みたところ武器もなにも持ってなかったけど。」

 「チェルヴォニさんの武器は…見てみたほうが早いと思うよ。ギルドの入り口に立てかけてあると思う。」


 シアがそう言うので入り口の方に来るとそこに立てかけてあるのは私の、いやシアの身長をさえゆうに超える長さの槍に斧とトゲトゲをくっつけたヤツ。いわゆるハルバードだった。


 「でか…こわ…。チェルヴォニさんってこんなの振り回してるの?」

 「流石に戦うときは身体強化の魔法をかけてるらしいよ。でもその魔法の強力さもあってチェルヴォニさんの強さがあるんだ。」

 「そうなんですよ!普段持ち歩くのがちょーーーーっと大変なのが玉に瑕ですね!」


 いきなりニュっとチェルヴォニさんが会話に入ってきた。気配はなかった、コワ…。


 「うわっ!びっくりした。もう査定はいいんですか?」

 

 シアが尋ねる。


 「うん!すぐに解体が終わるようなヤツじゃないからね!また来るよ!」

 「そんな大きな魔物を狩って来たんですか…?」

 「今回は魔法の収納袋ギリギリのサイズだったよ!ツメガメのでっかいやつ!」

 「ツメガメを1人で?!それはまた…すごいですね!」


 シアが目をキラキラ輝かせながら話している。私にはよくすごさがわからないけどきっとすごいのだろう。


 「ふっふっふー!続きは歩きながら話そうか、オススメのお店があるんだよ。行こうか。」

 「はい!」

 「あっ、はい。」


 チェルヴォニさんがそう言って歩き出したので私とシアも歩き出した。テンションの高いチェルヴォニさんに、少々押され気味です。  

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