ウサギ、ごめん
門へと向かい街の外へと歩きだす。天気は晴れだし気候もちょうどいい。今日は絶好の狩り日和だ!
「よお!気をつけていってこいよ〜!」
門番のおじちゃんがそう声をかけてくれた。
「ああ、行ってきます。」
そうシアが答えたので私も
「はい!行ってきます!」
と、答える。挨拶って大事よね。一応防犯もかねているらしい。門を出て歩いているとシアがふと口を開いた。
「さてと、今日はいつもの狩場からもう少し奥に行こうか。」
「なんで?全開私がいたところあたりのいつものところじゃだめなの?」
「ああ、誰かがあのあたりを焼け野原にしちゃったからその周りからもツノラビットが逃げちゃったんだよ。」
「へ〜〜そんなこともあるんだね。誰だろうね。おそろしいね。」
とてもおそろしい。そんなことをする人がいるんだ…いるんです…ここに…。でもそれで獲物が逃げてしまっては日に日に効率が下がってしまうのでもう少しやり方を考える必要があるかもしれない。
シアにとってのいつもの狩場、私が焼け野原にした辺りを通り過ぎて、だいぶ森の側の草原についた。
「このあたりの、うん、あのへんの草むらなんかいいんじゃないかな。」
シアが指差した先には背の高い、私が焼け野原にしたところと似たような草むらがあった。
しかしまた焼き尽くす訳には行かない。こういうときの定石はやっぱり探知の魔法じゃないだろうか?
そう思い電子書籍を起動。書籍検索から異世界書籍をタッチ。探知と入力したら。検索結果が数十件。そこから絞り込みで魔導書に絞り込む。そうすると6件のそれらしい魔導書が残った。
その中でも一番オーソドックスそうな探知の魔法を選択。一応ブクマしておく。
そして本をタッチして開いて魔力を流す。この、体から力とも違う何かが抜ける感覚はやっぱり少し気持ち悪い。
魔力を流しきると頭の中になんとなくどこに何があるのかの情報が入ってきた。なんというか直接、頭に情報が入ってくるのでこれは慣れるまでは使いづらそう。こう、強く意識していないと情報が抜け落ちていきそうというかなんというか。
「シア、草むらの中、すぐ手前のあそこらへんに1匹、それからて近くだとあそことあそこ、このあたりだと28匹いるよ。」
私は次々に指をさしてシアにツノラビットの居場所を教える。
「へえ!珍しいね!アヤは探知の魔法も使えるんだ!存在自体があまり有名じゃない魔法なのに、お祖父さんに教えてもらったのかい?」
「うん、まあそんなとこ。」
そんなとこであります。魔法使いのお祖父さんが便利すぎる。だいたい秘伝とかなんとか言っておけばなんとななりそう。
「じゃあ、まず手前のから狩りますか!」
シアがそう言って草むらに近づく。私ももう一度詳細な位置を教える。そうするとシアはそこへ向かって思い切り飛びかかり素早く距離を詰め剣を一閃。血飛沫が少しあがりツノラビットから力が抜けポサッと倒れる。
「これは…すごく便利だな…。」
そうシアが剣についた血を振り払いながら呟いた。
「そんなに便利?場所がわかっただけじゃない。」
「いや、ツノラビットは見つけるまでが大変なんだよ。それにツノラビットは狙いを澄ませてツノで頭突きをするから、こちらから不意打ちができれば刺される危険性も格段に低くなるんだよ。」
たしかに草むらに忍んでいるウサギを見つけるのは骨が折れるかもしれない。それに先手をとってこちらが見つけ不意打ちをすれば、一方的に狩り続けることができる。
「ふふふふ、楽しい、楽しいなあ…」
4匹目を狩り終えたところでシアのテンションがすごいことになってきた。普段はなかなか見つけられずイライラすることも多いらしい。そのぶん今鬱憤を晴らしているみたい。
「アヤ…もっとだ…もっと…次を…次を教えてくれ…」
「うっ、うん。次はね、えっとあそこに2匹隠れてるよ。」
「ふふ…待ってなウサギちゃ〜ん…」
文字通りウサギちゃんをシアが狩りまくっている。私が位置を教える。シアが狩る。また教える。それを繰り返している。シアもウサギがポンポン狩れることが相当楽しいらしく、どんどんペースをあげていく。
結果、昼前には数えきれないほどの、持つこと大変になるほどの魔石と角を狩ってしまった。もはやこれは乱獲だと思う。2人して持つのが億劫になってきてようやく我に帰った。
「あは、あははははは、すごい数。狩りすぎちゃったね。」
シアが心底嬉しそうに笑う。
「うん、うふ、うふふふふふ、どうしようこんなに、シア、がんばりすぎだよ。」
「あはははは、ごめんごめん、でも楽しくってさ。アヤのおかげだよ、ありがとう。でも流石に邪魔になってきたし、ギルドに戻ろうか。」
荷物が邪魔なのでギルドに…?
ムムム?もしや…魔導書にはあるのでは…?古今東西の異世界モノで必ずと言っていいほど貰える力。アイテムボックス、異次元収納、ストレージ。言い方はたくさんあれど、物を謎空間にしまうアレが!!
「待ってシア、もしかたら邪魔な荷物を解決できるかも!」
私は検索バーを急いで開いた。




