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第48話 準備

ウィルがサーシャを救出した頃、ボルケニア城の大広間で行われていた晩餐会も終盤に差し掛かり玉座に座るオグニイーナが話をしていた。

「先の皇帝派との戦いは本当に有難う。おかげでこうして帝都バーナから皇帝派を追い出す事が出来たわ。だけど、ついさっき皇帝派に潜入していた者から、皇帝派が明朝帝都バーナに進攻を開始するとの情報があったわ。だから、ワタシ達神聖派もこれを迎え撃つ為にグリル平原へと進軍する事にしたわ。

みんな、ヨロシクね。

それで、これからも頑張ってもらう皆の為に今日はとっても面白い余興を用意したの。

詳しい説明はミカエルがするから楽しみにしててね。」

オグニイーナが明るい声でそう伝えるとその場にいる者達から歓声が上がった。

「ウフフっ。ミカエル、それじゃあ説明ヨロシクね。ワタシはテスカポリトカを捕まえに行くから先に行くわ。」

「わかったよ。オグニイーナ。」

オグニイーナは玉座から立ち上がると歓声に応えながらクラスティとジェレミエルを連れて大広間を後にした。

ミカエルはやれやれといった様子で見送ると正面に向き直った。

「余興は今から1時間後、帝都バーナの東門を出た所にある神聖派の駐屯地近くの平野で行うよ。

それとこの余興はオグニイーナの提案で駐屯地にいる一般兵にも見せて士気を上げておきたいという事だから、諸侯の皆は駐屯地にいる自分の兵士達にも声をかけるようにね。それで余興が終わったらそのまま作戦会議だから諸侯の皆は帰らないように。」

てっきり余興はこのまま大広間で行われると思っていた者たちから戸惑いの声が上がる中、カーチスが灰色の長髪をなびかせながらミカエルへと歩み寄った。

「ミカエル様、少し話が突然過ぎるのでは無いでしょうか?オグニイーナ様のお心遣いを否定する訳ではありませんが、その余興とは今から街の外にわざわざ足を運んでまで見る価値のあるものなのでしょうか?」

「うーん、そうだねぇ。カーチスが気に入るかはわからないけどなかなか面白いものだとは思うよ。なにせ神同士の闘いが見れるかもしれないからね。」

予想だにしないミカエルの言葉に大広間が一瞬静まり返るが、次の瞬間、どよめきが起こる。

「か、神同士の闘いですと!?そ、それはオグニイーナ様とどの神なのですか!?」

どの世界でもやはり貴族は闘いを観戦するのが大好きである。そしてそれはカーチスも例外では無かった。

さすがのカーチスも神同士の闘いと聞いて鼻息が荒くなり、ミカエルに詰め寄った。

「カ、カーチス、少し近いんだけど離れてくれるかい?オグニイーナの相手は闇の神テスカポリトカさ。隔離結界は展開する予定だからそれなりには安全に見れるんじゃ無いかな。」

「何ですと!?闇の神テスカポリトカ様ですか!?そうと分かれば急がねば!

ミカエル様、私は失礼させて頂く!」

カーチスが慌てて大広間を後にしようとすると、それを追うように他の諸侯達も滅多に見れない神同士の闘いを良い位置で見ようと大広間から我先に出て行こうとする。

そんな様子を横目で見ながらミカエルは神殿騎士団長のウィリアムと副団長のミレーヌを呼んだ。

「という訳だから、城の警備は君たちにまかせるよ。」

「承知致しました。」

「いいなー。私も見たかったです。」

ウィリアムはすぐに受け入れるがミレーヌが羨ましそうにしていると、ミカエルが白い歯をのぞかせその手を取った。

「あぁ、愛しのミレーヌ、本当にすまない。

だけど、神殿騎士の皆には、万が一に備えて城の警備をお願いしたいんだ。わかってくれるね?」

ミカエルはそう言うとミレーヌの手の甲に唇を近付けるが、ミレーヌは誤魔化すようにその手をふりほどいた。

「あっ、そうだ。晩餐会が終わったなら警備体制も変更しないといけないですね。ねっ?団長?」

「ああ、そうだな。」

露骨なミレーヌの態度にミカエルは振りほどかれた手で頭を掻くとウィリアムを見た。

「フフッ、では私も余興の相手をエスコートしなくちゃならないからこれで失礼するよ。」

そして、ミカエルはウィリアムの肩をポンと叩くと大広間を後にするのだった。

ちなみに大広間からほとんどの諸侯がいなくなる中、パッカードは周りの様子など気にする事なく未だに一心不乱に肉を食べ続けていた…。


ここはボルケニア城の東塔にある神の間。

ウィルと別れ黒曜石の鏡を探していたテスカとアリエルは神殿騎士に成りすまし、ボルケニア城の東塔にある神の間へと来ていた。

神の間では何人かの神殿騎士が警備をしていたが今はテスカの魔法で眠らされていた。

「見つからないねぇ。オグニイーナの奴、どこに隠したのかねぇ。アリエルはどうだい?」

玉座のある広間の中を探していたテスカがとなりの寝室から戻ってきたアリエルに声をかけた。

「うーん、あっちには無かったよ。」

「そうかい。それじゃあ別の部屋を探しにいくかねぇ。」

テスカが諦めて神の間を出ようと扉の方に振り向いたその時、突然扉が開き、オグニイーナ達が入ってきた。

「あら?貴方、他の神殿騎士を眠らせて何をしていたのかしら?ウフフ。」

「いえ、私達が来た時には既にこの様な状態でして、報告に伺おうとしていた所でした。」

テスカは咄嗟に誤魔化そうとするが、オグニイーナはニヤリと笑うと淡い赤色の隔離結界を展開した。

「ウフフ、今のテスカポリトカは演技もできるのね。声まで変えちゃって。でもまだまだね。探していたのは黒曜石の鏡かしら?残念だけどここには無いわ。あははははっ!」

オグニイーナが高笑いと共に手に炎の鞭を出現させると、テスカとアリエルは後ろへ飛んで距離を取ろうとするが、それを読んでいたようにオグニイーナの炎の鞭が2人を捕えた。

そして側にいたクラスティが転移結晶をかざすと神の間は眩い光に包み込まれ、光が収まるとオグニイーナやテスカ達の姿は消えていた。


ブクマ&評価入れて下さった皆様、本当にありがとうございます!

とても嬉しく励みになります!

これからも宜しくお願いします(^-^)

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