Part2 温度差
Part2 温度差
誕生日計画は、波乱の幕開け。前途多難?い、いや大丈夫だ。今のはちょっと油断していただけで。
知った顔がいないのを確かめてから再び美紅の手を取る。
「恥ずかしかったね・・・」
「ごめん、うかつだった。ちょっと浮かれていたかな」
「明日、アヤカちゃんたちに会うの、もっと恥ずかしいな」
うん、それは確かに。
何か弱みを握られた感じがしないでもない。
「それにしても、蒼くん、モテるね、小学生にまで」
「え?」
「アヤカちゃんって可愛いし、将来すごく美人になりそうじゃない。今から予約入れとく?」
「な、何言ってるの?!俺そんな趣味ないし、それに結婚は・・・」
言いかけて、言葉に詰まる。
ここで「結婚は美紅としたい」なんて言ってしまうのはあんまりだ。
本音だけど、確実に本気にしてもらえなさそうだし、かえって印象下げそうな気もするし。
「やだ、冗談だってば。それに確かに結婚を考えるのは早すぎるよね。蒼くん、まだはたちだし、ゆっくり考えないとね」
結婚はまだ早い、か。
卒業までまだ2年以上あるし、卒業しても結婚するためにはある程度の蓄えがないと駄目だろうし。
でも
正直、美紅にそう言われてしまうとショックだったりして。
俺は美紅以外の女の子を好きになるなんて考えられないし、美紅にもそうあってほしい。
美紅を他の男に取られるなんて絶対いやだ。ずっと俺だけを見ていてほしい、一生一緒にいたい。
だから・・・。
出来れば今から予約入れておきたい。アヤカちゃんじゃなくて美紅に。
でも、
こういうこと言うってことは、美紅のほうはまだ結婚なんてまったく考えてないってことなんだろうな。
やりたいことがたくさんあって、結婚を考えるどころじゃないってことなのかな。
なんというか、美紅の気持ちと俺の気持ち、そこにずいぶんと温度差を感じてしまう。
「行こうか」
美紅を促して歩き出す。
繋いだ手に力を込めて。
この思いが美紅に伝わるように。
温度差が少しでも縮まるように。
祈りを込めて。
ちょっとせつない展開。
蒼くんの切なる願いは美紅ちゃんに通じるのでしょうか。以下次回(^^)




