52:特別試験
最初の十分ほど、フローレンは一枚も札に触れなかった。
机いっぱいに広げた十二枚の資料を、まず種類ごとに分ける。地図と設備配置、三日間の魔力流量、公共設備の稼働記録、住民から寄せられた報告、気象記録、市内の魔力供給設備について記された補修履歴。
一度読んだ内容は頭の中へ残っているから、何度も紙をめくって探す必要はない。けれど、覚えていることと、その中の何を見るべきかが分かることは別だった。
フローレンは手元の白紙に、資料から確実に言えることだけを書き出していく。
不安定化が確認されたのは三日前から。発生時刻は朝と夕方に偏っている。
市全体の供給が同時に落ちているわけではなく、報告は西側の居住区を中心に点在していた。ただし、一件だけ中央区の診療所付近からも同様の報告がある。
発生した三日間はそれ以前より気温が低く、各地区の暖房用魔法設備は朝夕に稼働量が上がっている。
さらに、不安定化が始まる五日前、市内の第三中継所では設備の補修が行われていた。
そこまで並べたところで、羽根ペンが止まる。
――第三中継所。
あまりにも目立つ。
不安定化に先立って補修され、報告の多い西側区画にも近い。補修後に何らかの不具合が生じたと考えれば、ひとまず筋は通る。
けれど、中央区の診療所だけが残った。
第三中継所からはかなり離れている。たった一件なら別の原因かもしれないし、偶然似た症状が出ただけだと切り捨てることもできる。
羽根ペンの先が、紙の上で止まった。
――本当に?
一つだけ合わないものがあるからといって、それを外へ置いていいのだろうか。
以前の試験でも、先に答えを決め、その答えに合うように考えてしまったことがある。
今回は、同じことをしたくない。
フローレンは地図と住民報告を並べた。
西側に四地点、中央区に一地点。場所だけを見れば離れている。
けれど、この地図に描かれているのは中継所の位置と主要設備だけで、どの中継所からどの区画へ魔力が送られているのか、その経路がない。
「……これだ」
小さく呟き、フローレンは一枚目の札を手に取った。
「質問してもいいですか?」
「どうぞ」
特進担当の教師が答える。フローレンは札を机の中央へ置いた。
「不安定化が報告された五地点について、それぞれどの中継所から魔力が供給されているのか知りたいです。供給経路が分かる資料はありますか?」
教師は何も評価せず、一枚の紙を取り出した。
「ある」
渡されたのは、市内の魔力供給網を示す簡略図だった。
フローレンはすぐに目を走らせる。
市内には四つの中継所があり、地理的に近い区画が必ずしも最寄りの中継所へ繋がっているわけではなかった。負荷の偏りを避けるため、何本かの供給路が市街地を跨いで伸びている。
西側の四地点は、すべて第三中継所。
そして、中央区の診療所も。
「……同じ」
離れて見えた五地点が、一本の供給路の上で繋がった。
胸の奥に小さな高揚が走る。
第三中継所に何かがある可能性は、先ほどよりずっと高くなった。
けれど、まだ原因までは分からない。
補修そのものに失敗があったのか。中継所へ入る魔力が不安定なのか。それとも、その先で何かが起きているのか。
フローレンは、残る四枚の札を見た。
質問できる回数は有限だ。
「第三中継所は故障していますか」と聞けば早いのかもしれない。けれど、それでは答えを尋ねているだけだ。
何を知れば、原因を絞れるのか。
少し考えて、二枚目の札を取った。
「第三中継所について、不安定化が起きた時間帯の、入ってくる魔力量と送り出した魔力量を比較できますか?」
特進担当の教師が一瞬だけこちらを見る。それから、もう一枚の資料が渡された。
「記録がある」
受け取った表には、第三中継所の流入量と流出量が時刻ごとに記されていた。
発生前の記録は正常だった。不安定化が起きた時間帯も流入量はほとんど変わらず、流出量だけが短時間に何度か落ちている。
第三中継所までは、安定して魔力が届いている。何かが起きているとすれば、中継所の内部か、そこから送り出す側だ。
補修された設備。その後に始まった異常。
――補修した箇所に不具合がある。
羽根ペンが紙へ触れかけ、また止まった。
不具合。
それは便利な言葉だった。何が、どう悪いのかを言わなくても原因らしく見える。
もし補修箇所が壊れているなら、交換や再修理を提案すればいい。けれど、なぜ異常はずっと続いていないのだろう。
流出量が落ちるのは、朝と夕方だけだ。第三中継所の単純な故障だけが原因なら、一日を通して不安定でもおかしくない。
フローレンは最初の十二枚へ意識を戻した。
朝と夕方。気温の低下。暖房設備の稼働。そして補修。
それぞれ別々に見えていた条件が、少しずつ同じ場所へ寄り始める。
「……壊れてるんじゃなくて」
何かの条件が重なったときだけ。
そう考える方が、時間の偏りまで説明できる。
フローレンは三枚目の札を取った。
「第三中継所には、流量が一定の値を超えたときに自動で出力を下げたり、供給を制限したりする仕組みがありますか?」
「ある」
今度は資料ではなく、教師が口頭で答えた。
「設備を保護するため、異常な負荷を検知した場合には安全機構が作動する」
「その作動記録は残りますか?」
「それは、もう一回分使うことになるが?」
フローレンの指が止まった。
三枚目の札は、もう使った。ここで続けて尋ねれば、残るのは一枚になる。
知りたい。けれど、その情報に一枚を使う価値があるだろうか。
少し考える。
安全機構が作動していたなら、流出量が短時間だけ下がる説明にはなる。反対に作動していなければ、この仮説は大きく崩れる。
使う価値はある。
「はい。聞きたいです」
四枚目の札を置く。
「不安定化が起きた時間帯に、第三中継所の安全機構が作動した記録はありますか?」
「ある」
短い返事だった。
「三日間で四回。いずれも、住民から報告された時間帯とほぼ一致している」
フローレンの目が、わずかに開く。
繋がった。
流出量が落ちた時間帯には、安全機構も作動している。何らかの異常な負荷を検知し、設備が出力を落としていたのだ。
では、なぜ今になって安全機構が作動したのか。
朝夕には暖房設備の稼働が増え、不安定化が起きた三日間は気温も低かった。需要が増えたことで、第三中継所への負荷が高まった可能性はある。
けれど、それだけでは補修後に問題が始まったことを説明しきれない。
フローレンの意識が、もう一度補修履歴へ戻る。
補修そのものが原因なのか。それとも、補修によって設備が以前とは違う状態になっているのか。
残る札は一枚だった。
フローレンはすぐには手を伸ばさない。
最後の一つで、できるだけ多くの可能性を分けたい。
補修の内容は、手元の履歴にもある。交換されたのは中継所内部の導流材で、経年劣化が見つかり、不安定化が始まる五日前に取り替えられていた。
けれど、それだけでは何も分からない。
劣化したものを新しくしたというだけでは、交換そのものが原因だとはまだ言えない。
そこで、ふと気づいた。
補修履歴に書かれているのは、「何を交換したか」だけだ。
交換したあと、その設備をどう使うべきかは書かれていない。
フローレンは最後の札を取った。
「導流材を交換したあと」
教師を見る。
「通常運転へ戻すまでに、何か制限や注意事項はありますか?」
室内が、ほんのわずかに静かになった気がした。
教師三人の表情は変わらない。特進担当の教師は、机の脇に置かれていた資料束から一枚の薄い紙を取り出した。
「ある」
保守要領。
交換直後の導流材について、簡潔な注意事項が記されていた。
フローレンは目を通す。
取り替え後七日間。
内部の魔力循環が安定するまで、通常時の最大許容量に対し、八割を超える連続負荷を避けること。
「……七日」
不安定化が始まったのは、補修から五日後だった。発生した三日間は、いずれも七日間の制限期間に重なっている。
フローレンは、すぐに元の流量記録へ目を戻した。
けれど、そこには第三中継所へどれほどの割合で負荷が掛かっていたかまでは記されていない。
札はもうない。
知りたい情報が、一つ残った。
朝夕の負荷が、本当に八割を超えていたのか。
それが分かれば、仮説をもっと強く確かめられる。けれど、もう質問することはできない。
五枚すべてを使ってしまった。
フローレンは、一瞬だけ悔しさに似たものを覚えた。
安全機構について、その仕組みの有無と作動記録を一度に尋ねられたのではないか。そうしていれば、最後にもう一つ聞けたかもしれない。
けれど、使った札は戻らない。
今あるところから考えるしかない。
フローレンは改めて、十二枚の資料と追加された紙を見渡した。
負荷率そのものはない。
なら、今ある記録からどこまで近づけるだろう。
公共設備の稼働記録。そこに記された各地区の暖房用魔法設備の稼働状況。気温。そして、第三中継所から供給される区域。
絶対的な負荷率までは分からなくても、通常時より負荷が増えていたことは示せる。さらに、その時間帯には安全機構が四回作動している。
補修後七日間は、八割を超える連続負荷を避けなければならない。
不安定化が始まったのは補修から五日後で、発生した三日間はいずれもその制限期間に重なる。その三日間はそれ以前より気温が低く、暖房設備の稼働も増えていた。
完全な証明ではない。
けれど、最も可能性の高い原因としてなら。
フローレンは羽根ペンを取った。
答案欄の最初へ、はっきりと書く。
『第三中継所そのものの故障ではなく、導流材交換後の制限期間中に、気温低下による朝夕の需要増加で第三中継所への負荷が高まり、安全機構が作動した可能性が最も高い』
その下へ、根拠を順番に置いていく。
不安定化した五地点は、地理的には離れているが同じ第三中継所から供給されている。
発生時も中継所への流入量は安定しており、流出側だけが低下している。
その時間帯と安全機構の作動記録が一致する。
補修後七日間は、八割を超える連続負荷を避ける必要がある。
問題発生はその期間中であり、さらに発生した三日間は気温の低下に伴って暖房設備の稼働が増えている。
そこまで書いたところで、フローレンは少し考えた。
そして、
『ただし、第三中継所の実際の負荷率が資料中にないため、現時点では原因を確定できない』
と付け加える。
答えを弱くしているようにも見える。
けれど、分からないものを分かったことにはしたくなかった。
だから、続ける。
『実際の対応前に、問題発生時の第三中継所の負荷率を確認する必要がある』
次は、対応案。
もし仮説が正しいなら、まず第三中継所へ掛かる負荷を一時的に下げる必要がある。
けれど、「暖房を止める」だけでは市民の生活へ直接影響する。同じ供給路には診療所もある。
優先順位が必要だった。
フローレンは地図と設備記録を見ながら、対応を組み立てていく。
診療所や生活に不可欠な設備への供給は維持する。停止や時間調整が可能な公共設備を一時的に抑え、可能であれば隣接する第二・第四中継所へ一部の負荷を迂回させる。
同時に、第三中継所の実際の負荷率と導流材の状態を確認する。
七日間の制限期間を過ぎた後は、通常運転へ段階的に戻し、同じ現象が再発するかを観察する。
もし問題発生時の負荷が八割を超えていなかった場合は、今回の仮説を見直し、導流材や安全機構そのものの不具合も改めて調べる。
最初から設備を交換するのではない。
まず、被害を広げずに仮説を確かめる。
書き終えたところで、フローレンは時計を見た。
まだ少し時間がある。
答案を上から読み返す。
原因。根拠。不確定なもの。確認すべき情報。対応。そして、対応がうまくいかなかった場合の次の確認先。
大きく直したいところはなかった。
ただ、一つ。
原因の最初に書いた「第三中継所そのものの故障ではなく」という部分へ、視線が止まる。
故障ではないとまでは、まだ言えない。
可能性が低いだけだ。
フローレンはそこを消し、
『単純な設備故障のみが原因とは考えにくく、』
と書き直した。
故障していないと決める必要もない。
今ある情報が示しているのは、一つの故障だけではなく、複数の条件が重なった可能性だった。
そう書き直したところで、教師の声がした。
「時間です」
フローレンは羽根ペンを置いた。
長く息を吐く。
二時間ずっと座っていたせいか、終わった途端、肩や指の疲れを急に意識した。答案と資料が回収され、五枚の札もすべて教師側へ戻されていく。
「お疲れさま」
薬草学の教師が言う。
「ありがとうございます」
これで終わり。
そう思い、少しだけ身体の力を抜いたところで。
「もう少しだけ」
特進担当の教師が口を開いた。
フローレンの背がわずかに伸びる。
「答案について、いくつか確認する」
「……はい」
どうやら、まだ終わってはいなかった。
教師は提出された紙へ目を落とした。
「君は、第三中継所の負荷率が分からないため、原因は確定できないと書いた」
「はい」
「試験問題は『最も可能性の高い原因を特定しなさい』となっている」
「はい」
「それでも、確定できないと書いた理由は?」
フローレンは少し考えた。何か間違えたのだろうか。けれど、ここで言い換える必要はない。
「……分からないからです」
教師の眉が、ごくわずかに動く。
「一番可能性が高いのは、答案に書いたものだと思います。安全機構の作動時間も合っていますし、補修後の制限期間中に気温が下がって、暖房設備の稼働も増えています」
「でも、実際の負荷が八割を超えていたかは分かりません」
資料にはなく、質問も使い切っている。
「だから、これで間違いないとは言えないと思いました」
「不利になるかもしれないとは考えなかった?」
「少しは」
正直に答える。
「でも……分からないものを分かったって書いて、それが正解でも、本当に使うときには困ると思うので」
教師は何も言わず、次の箇所へ指を移した。
「対応案について」
「はい」
「君は、第三中継所を停止して全面点検する案を採らなかった。なぜ?」
「診療所が同じ供給路にあるからです」
それはすぐに答えられた。
「それに、もし設備が壊れているのではなく、負荷が高すぎるだけなら、全部止めなくても負荷を下げれば改善するかもしれないので」
「では、負荷を他の中継所へ移して、今度はそちらで同じ問題が起きたら?」
フローレンは一瞬止まった。
第二・第四中継所が、さらにどれだけの負荷を受けられるのかは分からない。
「……一度に全部は移しません」
考えながら答える。
「先に、移す先に余裕があるか確認します。それが分からないなら、まず止めても影響の少ない公共設備を時間でずらして……第三中継所の負荷が下がるかを見ると思います」
「それでも改善しなければ?」
「そのときは、今回考えた負荷の増加だけでは説明できないことになります」
頭の中で、もう一度資料を辿る。
「だから、導流材や安全機構そのものに不具合がないか調べます。でも……」
「でも?」
「順番を逆にすると、最初から設備を止めたり交換したりすることになるから。まず小さく変えて、それで何が起こるか見た方がいいと思います」
言い終えてから、どこかで聞いた言葉に似ている気がした。
全部は戻らなくていい。
今いる場所から、一番近い次を探す。
あのときは問題用紙の上で教わったことだった。けれど今、自分は同じように、目の前の状況から次に確かめられるものを選んでいる。
「分かりました」
特進担当の教師は、それ以上何も尋ねず、答案を机へ置いた。
「これで試験は終了です」
ようやく、張っていた糸がほどけた。
「結果はいつ……?」
「明日の放課後に伝える」
「明日」
「ああ。通常通り授業を受けて、放課後にここへ来なさい」
「分かりました」
立ち上がると、脚が少し固くなっていた。二時間ずっと考え続けていたからか、頭の中にもまだ第三中継所の地図や数字が浮かんでいる。
けれど、不思議と後悔はなかった。
もっと上手く質問できたかもしれない。最後の負荷率まで聞ければ、もっと強い答えにできただろう。それでも、あの五枚をどう使うかも含めて自分で考えた。
分からないことを見つけ、必要なものを一つずつ取りにいった。最後まで分からなかったものは、分からないまま残した。
今の自分にできるところまでは、やったと思う。
「失礼しました」
頭を下げて扉へ向かうと、外へ出る直前に呼び止められた。
「アストリア」
薬草学の教師に振り返る。
「はい?」
教師はほんの少しだけ目元を和らげた。
「もう今日は、試験のことは考えなくていい」
「……」
「昼休みくらいは、ちゃんと休みなさい」
昼休みに図書室へ寄ろうと考えていたことまで、見透かされた気がした。
「……はい」
今度は素直に頷いた。
廊下へ出ると、閉じた扉の向こうへ人の気配が遠ざかり、急に周囲が静かになった。
窓から差す光は、試験を始めたころより高い位置から廊下を照らしていた。朝には白く残っていた中庭の霜も、もうほとんど見えない。
フローレンはゆっくり歩き出した。
受かっただろうか。あの答えでよかったのか。質問の使い方も、最後に「確定できない」と書いたことも、思い返そうと思えばいくらでも考えられる。
けれど、答案はもう手元にない。この試験について、今日できることは終わった。
それなら、続きは明日だ。
そう思うと、不思議なくらい足取りが軽くなった。
フローレンの足音が廊下の先へ消えても、小演習室では三人の教師がまだ席を立たずにいた。
机の中央には、一枚の答案が置かれている。途中には、何度も考え直した跡が残っていた。
最初に疑った補修設備から供給経路へ。流入と流出、安全機構、補修後の制限へと、一つずつ確かめた跡を辿ることができる。
五枚の札は、すべて使われた。
どれも必要な情報ではあったが、最も効率のいい使い方だったとは言えない。
「三枚目と四枚目は、一つにまとめられたな」
学年主任が言った。
「ええ」
特進担当の教師が頷く。
「そうすれば、実負荷率まで確認できたでしょう」
「それには本人も気づいていたようでしたね」
薬草学の教師が、答案の一部を指した。
『実際の負荷率が不明であるため、現時点では原因を確定できない』
「不足したまま押し切らなかった」
「はい」
特進担当の教師は、椅子の背へわずかに身体を預けた。
「十三位という結果だけなら、一度の試験で条件が噛み合った可能性も残ります」
特進担当の教師は、もう一度答案へ目を落とした。
「ですが、今日の答案を見る限り、その可能性は低いでしょう」
薬草学の教師も静かに紙を見つめた。
「春の試験では、先に出した結論に引っ張られていました」
指先が、最後に書き加えられた一文の近くで止まる。
「今日は、最後まで取れなかった情報を、取れなかったまま残した。それでも最も可能性の高いものは示して、仮説が違った場合の次の確認先まで考えています」
「質問の使い方には、まだ改善の余地がある」
学年主任が言った。
「だが、それに自分で気づいているのも悪くない」
「ええ」
特進担当の教師は、答案の最初から最後までをもう一度ゆっくり見直した。
「どう見ますか」
学年主任に尋ねられ、少しだけ間を置く。
「少なくとも、特進で学ぶ準備はできていると思います」
静かな声だった。その言葉のあと、三人の視線がもう一度答案へ集まる。
学年主任は紙を手元へ引き寄せた。
「では、最終判断に入ろう」
紙が重なる乾いた音が、小さな部屋へ響いた。
合否を告げるのは、明日。
彼女はまだ、その答えを知らない。




