混乱する状況
グレンが戦闘をしている少し前。
レイは炎でできた骸骨と対面していた。
さっきまでのよりも性能は間違いなく高いな。
六花を用意して様子を見る。
一歩また一歩骸骨が近づくにつれて熱がレイに伝わってくる。足跡は黒く焦げ、近くにあった椅子は燃え上がっていく。
その瞬間——地面が爆発した。
「なっ!」
骸骨が目の前に迫っていた。
大きく拳振り上げながら攻撃をしてくる。
ドゴォ!
六花と拳が激突し更に大きな爆発が起こる。
熱風が六花の隙間からレイに吹き付けていく。そこで止まらず続けて拳を振り下ろしていく。
火花が飛び散り爆発が止まらずに起こり続ける。
そもそもこいつは生物じゃない。爆発が起ころうが退いたり止まることがない。
このままだといずれ突破されるな。
六花を一つ掴みまわり込む。
思ったよりも厄介な相手だな。多分さっきこっちまで一気に近づいてきたのは足元を爆発させた反動で飛んできた感じ…予備動作がない。怯ませることもできない。そして炎でできた体である以上もう残機がなく回復手段がない俺はできる攻撃は魔法に限られる。
ただ俺が距離を取っても遠距離攻撃等で追撃はしてこなかった。
「考えてあえて使わなかったとかはやめてほしいな」
氷の槍を作る。射程距離内で加速させて撃ち出す。
だが、骸骨にぶつかった瞬間に溶けてしまう。
「マジか」
魔法が通じない。というよりも射程の外に出た魔法が通じない。
あの大きさの氷が一瞬で溶けるほど高温…確かに射程外に出た魔法は特殊な効果をつけていても無くなってしまう。炎に強い効果を持たせた能力を使うなら射程距離内で戦うことをしなければこちらの攻撃は当たらない。
「あの火力だと、今ある攻撃手段じゃ武器作ったところでそれほど持たなそうなんだよな」
考える暇もなく骸骨は爆音を轟かせながら迫ってくる。
再び拳を振り上げながらせまってくる。ギリギリで六花で受け流す。
受け流した拳が地面に当たり熱風と土煙が舞い顔に吹き付ける。
土煙を突き抜けてきた拳を六花で防ぐ。
「ただ、動きは読みやすいな」
六花を二つ目の前に持ってきてゴーグルのようにする。
骸骨の突撃はかなり厄介だ。ノーモーションで発動するからタイミングがわからない。
だが1番重要な攻撃である殴りは一度引いて振りかぶる。それならタイミングを読むことぐらい訳はない。ギリギリで避けるとか危険な手段を取らず防げば当たることはない。
問題は、
「攻撃だな」
また同じことを繰り返すことになるかと覚悟した瞬間に後ろから声が聞こえてきた。
「大丈夫?」
この声はリサか。
気づいた瞬間にすぐにリサが背後に移動してくる。
「グレンはどうした?あっちの敵の方がやばいだろ」
「私とグレンさんは残機が残ってるから大丈夫。それよりまずは確実にこっちを倒す」
「わかった」
「この骸骨は高温の炎の体、だいたい氷の槍が一瞬で溶けるレベル。そしてノーモーションで高速移動してくる。現時点で遠距離攻撃はない」
「オッケー」
リサはすぐに俺の反対側に移動して挟む。
「水槍、水星」
リサが水の槍と水に球を作り骸骨を囲む。
水が弾け周りに飛び散る。だが、弾けた水は骸骨にあたる前に全て蒸発する。
俺の槍も一瞬で溶けたぐらいだしな。リサは属性で言えば相性はいいだろうが通じる攻撃は限られそうだ。
ある程度時間がかかることは前提で攻撃を当てる方法を考える。なるべく範囲が大きい攻撃をした方が当たる可能性あるか?
その瞬間——
リサは水槍を持って骸骨に突っ込む。
それじゃ攻撃は通じないだr
ドゴォォォォン!
水蒸気を吹き出しながらも骸骨の左腕が抉れ中を舞う。
リサの水槍は殆ど元のまま残っている。
なぜ?
水槍…攻撃力は高い…水…さっきの水星は一瞬で蒸発した…違い…。
「水圧の高さによる沸点の上昇か」
水槍は威力を上げるためにかなりの量の水をあの形になるまで圧縮させている。
だから普通の水より沸点が高くあの骸骨にも通じた。
「少し時間を稼いでくれ!」
声を大きくしてリサに伝える。
「わかった」
リサの返事を聞いた瞬間に能力を作る。
新しい能力を1から作るのは無理だが、すでにある能力を改善する程度のことはできる。
氷槍を圧縮して融点を上げる。制約はすでにある射程範囲の分で十分圧縮の効果をつけられるぐらいあるだろう。
そして大きな氷を圧縮してさっきのよりも一回り細い氷の槍を複数作る。
リサの方を見た瞬間に骸骨の足元が爆発して加速しながらリサに近づこうとしていく。それを見る前に加速させていた氷槍を骸骨の右足に撃ちつけるとその瞬間に右足が崩れ落ちリサの目の前に転がっていく。
「怯むことはない痛覚もなく無駄な思考が一切ない」
レイは倒れた骸骨を見下ろす。
「だが考えられないことで自分の状態を自分の判断で改善できないのか」
手強いと思っていた部分も状態が変われば弱点でしかなくなるとはな。
だがもう移動できない。爆発という選択肢が残っている以上これ以上距離を積める必要はない。
残りの氷槍を加速させて全て打ち込んで完全に破壊する。
「直ぐにグレンの元に行くぞ」
リサに話しかけるがリサは別の方向を向いている。
「何…あれ…」
リサの視線の先に目を向ける。そこにはまるで地獄絵図が広がっていた。
そしてその中心にはグレンと敵が戦っている。
おかしい。
肉が焼け焦げるような匂いがしてやっと理解する。
グレンは体が燃えるレベルの火力を自分へのダメージをありにする制約で出している。
「あれは今助けにはいったら邪魔になる」
リサが告げる。
「あぁグレンのリストバンドが消費されて残機がなくなったタイミングで俺たちも参加するぞ」
「いや、レイは先生を呼んできて」
「流石にここを離れるのはダメだろ」
相手はあそこまで制約を課したグレンと笑いながら戦っている。
「グレンも残機を使い切るならもう残っているのは私だけになる。流石に生徒だけで戦うには危険すぎる。それに3人でやっても勝てるかわからない相手、先生を呼んだほうがいい。そしてそれは残機がないレイがするべき」
「…わかった」
直ぐに図書室を出ると怯えている生徒が座り込んでいた。
さっきはここにいなかった。逃げてきたのか?
とりあえず上にある職員室を目指そうと天井を壊して行こうとするがその瞬間に生徒に呼び止められる。
「上に行こうとしているならやめろ!」
「敵がいるのは予想できているが今は教師の手が必要だ」
「その教師が2人がかりで上にいる奴に負けたんだよ!」
2人ならまだ職員室に残っている筈…いやこの事態でここに教師が残っているはずがない。残っているならこの生徒の言っているやつと戦闘をしているはずだが戦闘音が聞こえない。負けたのか?それとも倒した可能性もなくは無い。だがもし負けていたらあの場にいる敵を連れてくることになりかねない。
迷っていると校舎の外で爆発音がなる。
最初に戦った敵はさっきのやつと比べたら弱かった。だから全員が図書紙のやつみたいな強さを持っている訳じゃ無い。となるとあの爆発音は教師の能力の可能性も十分ある。上か爆発の方かどちらに向かうか二択…
上は敵の可能性が明確に残っている。行くなら爆発の音がした方だ。
六花を掴み爆発の方へ行こうと校舎を出た瞬間
空気が裂けた。
あたりの人間全員が逃げたくなるほどの重圧を感じさせながら
落雷が校舎に落ちた。




