最凶
「あー資料作り疲れた〜!」
ノアは少しだらしない声を出しながら自分の調べた魔物の情報をまとめてる。
気分転換に少し歩くと何やら電話が鳴っている。
「はーい、どなたですか?」
『学園が襲撃された』
「直ぐに向かいます」
学園が襲撃された?他国に比べてもこの国の学園はレベル高いし襲ってもデメリットの方が大きそうだけど何が目的?…デメリットが多い。無駄が好き…もしかしてシェリーの仕業?
わからないけどもしそうなら絶対に私が確実に…
「キッツいな」
レイは少し口を言いながら歩いている。
「こればっかりはしょうがないわね。敵に見つかるわけにはいかないし森の中を気絶した大人2人を連れていくわけだしっ!」
起きて騒がれてもいけない。大きな音を出してもいけない。
進行方向に敵はいるか、自分たちはちゃんと隠れているかを確認しながら進まなければならない。
ガサガサと音を立てながらもゆっくりと確実に本校へ進んでいく。
レイとリサが急いでいる間他では…
「この音…襲撃者か」
セトは特に隠れることなく歩いていた。
襲撃者が来るとしたら目的は?ここに手を出すのはかなり悪手だと思うが…もし生徒が目的ならば2年生は遠征中の今を狙う意味がわからない。
「おい、そこのガキ!」
視線を上げると学園の人間ではなさそうな輩がいる。教員でもなさそうだ。
まぁどうでもいいか。
「生徒ならあんな話しかけ方をする奴は居ないだろうし教師なら死にはしないだろ」
敵意をバンバン向けてきているし敵で間違いない。
なら今回はトーナメントの時のような品定めは必要ない、確実に排除する。
「お前!投降するなら悪いようには…」
襲撃者の腕が飛ぶ。
それを自覚した直後目の前いっぱいに映った生徒の影だけが意識を失った男の視界にこびりついたのだった。
「弱すぎ」
やっぱ教師じゃないな。この学園は生徒同士のいざこざは戦闘学科以外の教師でも止める程度の力はある。流石にここまで一方的に負ける事はない。
どうするべきか。何を狙っているかわからないがこの程度ならば少なくともトーナメントの参加者は倒せるれ出るだろうし…もう少し強いやついるか確認したいし一旦中央の本校によるか。
足を踏み出した瞬間に黒いマントをつけた男が話しかけてくる。
「そこの男を倒したのはあなt」
即座に移動して顔面を掴む。
「話しかける意味ないだろ」
「離れろ!」
「わかった」
言われた通りに離れる。その直後にセトは指を相手に向ける。
「雷撃」
指先から飛び出した電気が敵を貫く。
「こいつもこんな感じか」
というかなんの属性だったんだ?実戦なのに声をかける必要性を感じなかったから普通に倒したが…一応威力の低い雷撃にしておいたから死ぬ事はない。
「襲撃者の服はバラバラ」
どこかの犯罪グループではないように見える。特にこの学園は戦力だけで見れば国内でもかなり高い方なのに敵が少なすぎる。
少数精鋭?いや、それにしては弱すぎる。そこらの犯罪者と変わらないレベル。
何も考えていないゴロつきか?
「いや、」
まずおかしいのはここまできている事自体だ。この程度の実力ならば警備員等に停められるはずなのに完全に侵入されてからおそらく警報はなっている。
つまり入口等にいる警備員を連絡するまもなく派手な攻撃も使わずに制圧した。もしくは、この学園に誰にもバレずに一定の人数を侵入させた奴がいる。
「少し急ぐべきだな」
「そういえばレイのって3組であってる?」
「あぁ、だが急にどうした?」
今はいかにバレずに本校に行くかが重要だ。こんなところで長話している場合でもないはずだが…
「じゃあ君の担任はジーク先生ね」
初日途中で抜けてるから先生の名前知らなかったな。学校行き始めてからもみんな先生って呼んでたし聞くタイミング逃したからな。
「参考までにどんな人か知ってる情報だけでも教えてくれるか?」
少し考えてからリサは話し始める。
「私は実際に話した事はないし性格とかはよく知らない。ただ、昔有名で聞いたことがあるだけ」
「ジーク先生のよく使う武器は異国で作られた拳銃というものを両手に持って戦う形。もちろん拳銃なしでも戦うことができて冒険者時代のランクはAランクでギルドでも実力は上位だったそうよ」
Aランク…もし俺たちみたいにトーナメントに参加した生徒が冒険者ギルドにとうろくしたとしてもせいぜいDからCランク、セトでもBランクが限界だろう。それだけに、
ジーク先生は格が違う。
教室が壊れている。多数の銃痕に焼けた跡がその戦闘の激しさを表していた。避難してきた生徒は震え教師が2人倒れている中、たった1人男が立っている。
「こんなに教室壊してたらどっちが襲撃者かわからないな」
男は教師の首を掴み持ち上げながら続ける。
「生徒に銃口を向けないように立ち回った事には敬意を払うよジーク」
火傷をした状態でジークは男に話しかける。
「相手の能力を…模倣、複数の属性…お前は…」
相手は興味深そうにジークを自分の目線まで下す。
「七つの大罪の暴食…ロキだな」
その瞬間に手が離れてジークは床に落とされる。
「お前らが勝手に言っているだけだがな。だが、重要なのはそこじゃない」
ドンッ
ロキはジークの頭を踏みつける。
「お前がここで俺の正体を暴けば殺される可能性は上がる。俺は正体を途中まで完全に隠していたのをお前レベルの奴が見逃すはずがない」
「何故ここで言った?わかったところで気絶したふりをするのが正解だった。生徒にも恐怖が行かない」
なのにわざわざ声に出して掠れながらも大きな声で…大きな声…聞かせる?
誰に?増援…俺に対抗できるレベルの奴…
「少し予定が狂った。今回はそれほど時間が残っていないようだし急いで目的のものを取りに行かせてもらう」
急いで学園に急行しながらノアは魔道具の通話を聞いていた。
『七つの大罪の…ロキだな』
「ロキ…」
七つの大罪。全ての国から指名手配されている史上最悪の犯罪者達。
今回の敵はロキ、ロキは暴食の罪を持つ男。
「シェリーではなかったけれど…結構やばいね」
ロキは七つの大罪の中で一番頭が回ると聞いている。
だが、予定が狂ったという言動的に完全に相手のペースに乗っているわけではないみたいだし生徒達もある程度の雑兵は倒せる実力がある。
「なら私はすぐにロキの相手をしに行かないとね」
この国に今いる最上位魔導士は誰だ?風や土は他国に出かけている情報がある。炎は移動が速いわけじゃない。そこまで気にしなくて大丈夫。一番きそうなのと言ったら…
「電気属性のノアとかいう奴だな」
「相性不利の相手…来る前に目的が完了すれば問題ないが」
最悪を想定する必要があるな。
もしここにノアが来てしまったらしょうがない。
その時は…




