襲撃
トーナメントが終わった次の日ただゆっくりと歩きながら登校していると後ろから話しかけられる。
「お疲れ様」
声の主はリサだった。
「負けたけどな」
「そう」
あまり反応はない。
試合の内容は学校に行けば確認できるらしいが、
「聞かないんだな」
「聞かれたくないでしょ」
「確かにその通りだ」
それから一言も話さずにゆっくりと歩いていると急に大きな音が鳴る。
あたりを見て見ると、警報が鳴り響いている。
「これは緊急事態の警報だよな多分」
「えぇ、でもどんな事態かは分からない」
リサの言う通り何が起こっているのか確認することはできない。
だが、この学園で安全な場所といえば先生がいる校舎だろう。最悪魔物が出たぐらいであればある程度強くてもリサと二人なら逃げることぐらいはできるはずだ。
自惚れるわけではないが俺たちは戦闘能力は高い方だと思うしな。
「とりあえず学校へ向かおうと思うんだが」
「それでいいと思う。でも、何か危険なものにあった時にどうするかある程度決めるべきよ」
「あぁ。わかっt」
ザッ
突然の足音に、俺は言葉を止めた。
「ガキが二人かよ」
声の主の方向へ視線を向けると如何にもな格好をした男が二人立っている。
こちらを馬鹿にしたような視線を向ける右の男とは対照的にもう一人の男はこっちを観察するようにみている。
「あまり相手を侮るな。俺たちは自分のやるべきことをするだけだ」
会話ばかりしてこちらに攻撃してくる気配がない。
「これって訓練とかだったりは」
先程まで観察していた男が手を挙げる。
その瞬間男の背後に石礫が浮かび上がる。
回転し速度が上がり続けている。
「対象を捕捉」
そう言った後に手を振り下ろすと一斉に石礫がこちらへ飛んでくる。
「雪室」
リサと俺を覆うように作り石礫を防ぐ。
「危なかった…」
「どう対処するか…私が攻撃するから後ろで攻撃を防ぐことは出来る?」
「よく冷静でいられたな。
俺の能力は射程範囲が短い。
敵に突っ込むお前に向かう攻撃からお前を守るなら俺も同時に攻める必要がある」
話している間も石礫が地面に撃ち込まれていく。
「私の真後ろを走ってちょうだい」
「もう少し安全な策を取らないか?」
「この雪室って技…発動したまま動くことは出来るの?」
「無理だ」
「なら今急ぐべきよ。相手は何か目的を持ってここにきている。つまり、時間がかかりそうだと判断したら二人がかりで攻撃してくるはず。それに動けないことがバレたら他の方法で対処してくるだろうし」
確かにその通りだ。トーナメントでは勝つよりも負けないように動いて相手よりもリードする形だった。だが、今回はこちらは逃げるかこの敵を倒すか…どちらにせよスピード勝負に違いはない。
「すまん。だが、戦ってみて正面からきついとか勝てそうにないと思ったら一度逃げるようにしたい。いいか?」
「問題ないわ。じゃあさっさとやるわよ」
「あぁ」
雪室を解く、
「六花」
俺の魔法発動を合図に走り出す。その瞬間に俺の体が真後ろに飛ばされる。
「は?」
急に暴風が襲ってきた…あの男、属性二つ持ちだったのか?
さっきまでこちらを侮っていた奴が笑いながらこちらに話しかけてくる。
「じゃあな」
大したダメージになりはしないがかなり遠くまで飛ばされている。
ズドン!
背後の木にぶつかり痛みで逆に思考がまとまる。
「あいつが危ない!」
レイが飛ばされていった。
でも、それよりもこの状況を切り抜けることが先決。
まず勝つよりも逃げるべき。どこへ?校舎へはまだ距離がある。なら向かうべきは確実に人がいるレイのほうね。
水槍を作り出して構える。
そんな私を見ながら敵は話している。
「お前がサボらずに動くとはな」
「思ったより判断早い感じだったからな。一人ずつ殺した方が時間掛からなそうだ」
すぐに急ぐべきか?だが今俺があそこに戻ったとしてまた吹き飛ばされるだけだろう。
なら、
「罠を作ってこっちにくるのを待つか」
あいつならおそらくこっちに向かってきているはずだ。
「氷鎖槍」
木々に鎖を付けたり槍を付ける。
まずこのまま戦ったところで勝てる気はしない。
「水星」
ただ、逃げたところで相手の移動速度が分からない。だから、少しでも遅くしてから逃げる。
横に回るように石礫を避けながら水槍の射程距離へ入れるため近づいていく。
近づくほどに早く絶え間なく攻撃がこちらを襲ってくる…
道にある装飾に水槍を引っ掛けて空中へ飛び更にもう一度引っ掛けて落下中に加速する。
そのまま距離を詰める。
「入った」
射程距離内!こいつはまだ魔法を解除出来ていない。
反撃はない。
「空掌」
右の男が攻撃を繰り出してくる。
それを水槍で受ける。
だが、その攻撃は水槍を霧散させながら私に攻撃を当ててきた。
「クッ」
痛…くはない。でも変な感じ…攻撃のように見えるのに喰らった感じがないのが気持ち悪い。
私の水星みたいに直接攻撃の技ではいのかもしれない。
これ以上当たるのは危険。
パァン
直後水星が発動する。
水がちゃんと服に染み込んでいる。これを魔法で重くして
私は…逃げる!
背後の木に水槍を引っ掛けて後ろへ向かう。
「めんどくせぇな。もうあいつら無視してさっさと目的のもの探しに行こうぜ」
「いや、あの機動力でいろんなところへ情報を伝えられたら面倒だ。ここで殺すべきだな」
「わーったよ」
「俺が足場を作る」
「俺はそれを風で運べばいいんだろ?」
男達は空中からリサを追っていく。
「対象を捕捉」
「ここからは的当てゲームだな」
ドスッすぐ近くで何かがすごい速度で落ちてきた。
「何?」
真上を見るとさっきの石礫が今度は雨のように降ってきている。
「やばすぎ…」
木の枝を切り落とし目隠しにしてみるが…
すぐに見破られる。
「隠れることは無理ね。なら、」
木々に水槍を引っ掛けて不規則な動きをして避けていく。
途中にあった橋を潜るように下へ行く。
水槍を解除して橋の下を流れていた川の水を操って勢いよく破裂させる。
「これで見失ったはず…」
「みっけ〜」
横に奴らの姿が見えた。
「君みたいに頭の回転が速い子ってさ無駄なことしない傾向があるんだよね〜。だから簡単にわかっちゃった」
言い終わると同時に横の男が石礫を飛ばしてくる。
水槍を作り出して壁に刺して足場にする。
更に解除してもう一度発動させる。
そうして壁を走りながら橋の先にある森へ入り先程と同様に逃げる。
ついにレイの姿が見える。
まず言うべきは、
「上に敵がいる!」
「六花」
レイは上に防御魔法を展開して私に近づいてくる。
「作戦がある。聞いてくれ」
その瞬間にレイは氷で相手の視界から自分たちを隠した。




