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第1話 はしごの先のガラクタ山(1.失われた午後の鐘篇)

屋根裏への階段


屋根裏へ続く階段は、廊下の突き当たりにあった。


普段は誰も使わない。


だから少しだけ秘密の匂いがする。


MYUが木のはしごを引っぱると、


ぎぎぎ……


と音がした。


上から埃が落ちてくる。


「うわっ!」


コットが頭を抱えた。


「屋根裏の攻撃だ!」


「ただの埃でしょ。」


「油断してはいけない。」


コットは真剣な顔で言った。


「冒険家の九十七パーセントは埃で負けるんだ。」


「絶対うそ。」


「たぶん。」


「やっぱり。」


二人は屋根裏へ上がった。


そこは薄暗かった。


丸い小窓から入る光が、埃を金色に浮かび上がらせている。


古い椅子。


壊れたランプ。


旅行鞄。


誰かが忘れていった時間の山。


MYUは少しわくわくした。


こういう場所には何かある。


理由はないけれど、ある。


「宝物だ!」


コットが叫んだ。


走った先にあったのは、


ただの長靴だった。


「長靴だよ。」


「いや、宝物かもしれない。」


「片方しかないよ?」


「片方だから宝物なんだ。」


「意味が分からない。」


コットは長靴を頭からかぶった。


「見よ!」


「何を?」


「長靴王だ!」


「弱そう。」


「失礼な。」


MYUは笑った。


コットは時々、本当にくだらない。


でもそのくだらなさが好きだった。


そのときだった。


コットが突然止まった。


「……あれ?」


声が小さい。


MYUも気づいた。


屋根裏の奥。


他のガラクタの影に隠れるようにして、


大きな額縁が立てかけてあった。


妙に大きい。


大人が一人、そのまま入れそうなくらい。


「こんなのあった?」


MYUが言う。


コットは首を振った。


「知らない。」


今度は本当に。


「知らない。」


額縁には絵がなかった。


中は空っぽだった。


なのに。


なぜだろう。


MYUは近づきたくなった。


額縁の向こうから、


誰かがこちらを見ている気がしたのだ。


コットもゆっくり近づく。


「ねえ。」


「なに?」


「空っぽってさ。」


「うん。」


「たぶん一番怪しいよね。」


MYUは頷いた。


その瞬間。


額縁の足元に積もった埃が、


ぱらりと崩れた。


何かが隠れていた。


丸いもの。


金色に光るもの。


コットの目が輝く。


「宝物だ!!」


MYUはまだ知らなかった。


それが


ウィローウッドへの最初の扉になることを。


(第1話・終わり)

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