↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
1/28

第0話 プロローグ:たぶん、宝物はそこにある

プロローグ

雨の日の屋根裏


雨の日は、時間の進み方がおかしくなる。


少なくともこの少女MYU(ミュリエル・グレイ)はそう思いまた感じていた。


窓ガラスをたたく雨粒は、時計より正確に同じことを繰り返す。


ぽつ。


ぽつぽつ。


ぽつぽつぽつ。


それを見ていると、一時間なのか一分なのか分からなくなるのだ。


「退屈だなあ……」


MYUはソファに寝転がった。


赤いベルベットのリストバンドが、手首で少しだけ光ったように見えた。


「退屈じゃないよ!」


すぐ隣で声がした。


MYUが一人部屋を与えられこの時にママからプレゼントされた

お気に入りの小熊のぬいぐるみコットだった。


コットはずっとMYUの話し相手だった、そして心の友達だった。


ふわふわの毛並み。


丸い耳。


大きなボタンの目。


そして、MYUとおそろいの赤いリストバンド。


コットはテーブルの上に立ち上がると、胸を張った。


「こういう日は宝探しをする日なんだ!」


「雨の日なのに?」


「雨の日だから!」


コットは得意げだった。


「宝物は晴れの日には見つからないんだよ。」


「それ、ほんと?」


「たぶん。」


MYUは笑った。


コットの『たぶん』は、だいたい信用できない。


でも、面白いことだけは確かだった。


外では雷が遠くで鳴った。


ごろごろごろ。


するとコットの目がきらりと光った。


「今の聞いた?」


「雷でしょ?」


「違うよ。」


コットは声をひそめた。


「屋根裏が呼んでる。」


MYUは眉をひそめた。


「屋根裏が?」


「うん。」


コットは天井を指差した。


「絶対に何かある。」


「絶対?」


「今度は絶対。」


「前は納屋に何かあるってそう言ってた。」


「うーん、この前は半分絶対だった。」


MYUは立ち上がった。


どうせ何もない。


でも、もし何かあったら。


その『もし』というちょっとの期待があるから、冒険は始まるのだ。


(第0話・終わり)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。