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魔女の敵  作者: 紀ノ貴 ユウア
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第13章、魔女の忠告②

 かなり寒くなってきましたね。お風邪などひかれませんよう、皆さま体調にお気を付けてください。

 エデリオンが帰ってから数日後のこと。


「ギア、あなたにプレゼントが届いているわよ。」

 庭に出ていたアリシアーレンが、家の中にいるギアを呼んだ。

「誰からです?…って多いですね?!」

 どうやって届いたのか、大きな木箱がそこにあった。

 アリシアーレンがその箱の(かぎ)(かい)(じょう)し、開きながら答える。

「エデリオンよ。」

「えっ、エデリオンさんですか?」

「引っ越し祝いみたいなものね。一人暮らしをしていると伝えたら何か(おく)りたいと言うから、あの子が住んでいる地方の珍しい魔法道具を頼んでおいたの。」

「ひ、一人暮らしでこんなにもらうのは申し訳ないです。」

「手紙と、あなたが作ったお菓子でも返すといいわ。あの子は甘い物が好きなの。それに、あなたの作ったお菓子が気に入っていたようだし。」

「確かに。エデリオン様、次から次へと口に入れていたわね。」

(イーラも言うなら、お菓子を送るか…。)

「何が特に好きとか、嫌いとか、分かりますか?」

「嫌いなものはないはずよ。クッキーとかパウンドケーキとかの焼き菓子が特に好きみたい。」

「分かりました。…そうだ、エデリオンさんはどこに住んでいるか教えてもらえますか?日持ちするように工夫しないと…。」

「かなり遠いわよ。あなたが生まれた村とよりもさらに遠くの山に住んでいるの。(ほうき)で飛んで二・三日ってところね。でも大丈夫よ、私が魔法陣転移で送ってあげるから。これも、そうやって届いたの。」

「ありがとうございます。助かります。」


 魔法陣転移は、かなり魔力を消耗(しょうもう)するため、基本的に魔法使いは使えない。その上、転移させる距離が遠ければ遠いほど、転移させるものの重さが重ければ重いほど、魔力の消費は多くなる。ゆえに、魔女によっては、魔法陣転移が苦手らしいが、アリシアーレンとエデリオンは違うらしい。


(これだけのプレゼントをくれたのだし、お返しも豪華(ごうか)にしないと…。送る日数は気にしなくてもよくなったけど、食べきる日数を考えたら、そんなに作れない…。やっぱり、お菓子だけじゃなく他のも送るべきだな…。食べることが好きなら、パンやおかずもいいけど、甘い物が好きってなると…ジュースや果実酒か?いや、食べ物ばかりっていうのも…。)

 ギアが頭を悩ませていると、アリシアーレンが荷物を指差し、声をかけた。

「お返しを考えるものいいけど、それより、早く中を見てみたら?」

 ギアは、はっと現実に戻った。

「そうですね、今すぐ確認します。」

 箱を開け、中に入っていた手紙を開ける。中身の紹介が書かれている紙に目を通す。

「ええと、…火の中に入っても火傷(やけど)しない防火服、極寒にも耐えられる防寒服、簡単に展開や解体ができる簡易住居、記憶を保管できる箱、部屋を任意の天気や環境に変えて疑似空間を作り出す(かがみ)(だま)、魔法がかかった本…ですね。」

「ギア、こっちは?」

 イーラが箱の中を(のぞ)いて問う。

「そっちは、色んな魔法薬。あ、その(つつ)みはイーラにだってさ。」

「えっ!あたしに?!」

 イーラは、(はず)んだ声で飛び跳ねる。

「なになに?!」

「えーと…それは、着替えコンパクトだってさ。」

「それら色の付いた石を押すと、服を収納したり、収納していたものに着替えたりすることができるのよ。」

 アリシアーレンが使い(かた)を説明すると、イーラはさっそくコンパクトを手に取る。

「こんなに小さいのに、すごいものなのね!」

「本来は人の(てのひら)にギリギリ収まるくらいのものよ。きっと、エデリオンがあなた用に小さくしてくれたのね。」

「えー!すっごく(うれ)しい!!」

 コンパクトを抱きしめ、喜びを(あら)わにするイーラに、ギアは呼びかける。

「イーラ、これもだ。」

 ギアが(つま)み上げたのは、小さな巾着(きんちゃく)だった。

「見た目よりもたくさん物を入れることができる収納(しゅうのう)(ぶくろ)…。お、この中に食べ物を入れると(くさ)らないらしい。」

「わーい!絶対に持ち歩かなくっちゃ!」

 イーラはギアから巾着(きんちゃく)を受け取ると、抱きしめた。

「俺だけじゃなくて、イーラにまで…。」

「ありがたく受け取っておきなさい。」

「はい…。」

「今日は、これらを使う授業にしましょう。」

「はい。…あ、取りあえず本は仕舞(しま)ってきますね。」

 箱に入っていた数冊の本の(たば)を手に取り、本を(くく)っていたベルトを外してその表紙を眺めるギア。

「…あれ、何だこれ…。」

 二冊だけ、本が簡単に開かないよう紙が張り付けてあることに気付いたギアは、その紙に触れた。

「ギア、待って。」

 アリシアーレンが急にギアの(うで)(つか)んだ。

「その本は一度、ルウシャに見てもらった(ほう)がいいわ。」

「…危険ですか?」

「危険ってほどじゃないけど…一度 見てもらった(ほう)が安心って感じね。ほら、この紙は封印(ふういん)(あかし)よ。見たところ、あまり強力な封印(ふういん)ってわけじゃないし、あの子が(おく)ってきたものだから……たぶん、取り扱いには気を付けなさいって程度ね。タイトルは…ああ、どっちも魔女の歌が閉じ込められているのね。やっぱりルウシャが適任(てきにん)だわ。」

「分かりました。明日、神殿に行こうと思います。」

 ギアは、封印がしてある二冊の本を布に包み、それをベルトで(しば)った。

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