第7章、迷子の使い①
あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
前話の「第6章、魔女の墓守③」にて、後書き部分に「魔女のメモ」を追加しました。読まなくても内容を理解するのに問題ないですが、気になる方はどうぞ。
今回は「古の魔法書と白ノ魔女」はお休みです。
ある小雨の日、ギアは一人、森の中を歩いていた。
それは、ある魔法生物の巣を探すためだった。
青色の炎をまとい、時折、青白い炎を吐く。歩けば大地を焦がし、飛べば翼が煌めく。そんな摩訶不思議で美しい鳥型生物〈炎の鳥〉。
製作中の魔法道具にその生物の羽根が必要なのだが、その生物は雨の日以外に接するのは難しい。うかつに近付けば、高温の炎の息を浴びせられるからだ。しかし、僅かでも雨が降っている日は炎を潜めて巣で眠っているため、触れることすら容易だ。
そんなわけで、ギアはレインコートを羽織り、毎年〈炎の鳥〉の巣がある付近を箒で飛んでいた。
ちなみに、アリシアーレンは家でこっそり毒レシピの研究をしている。
(候補1の場所にはいなかったな…。この分だと2にもいないか…?とにかく、まずはここから近い4と7を見に行くか。)
炎の鳥の巣は毎年同じ場所だと決まっているわけではない。候補が十数か所あり、ころころと変わる。しかし、決まって土か石でできた小さな洞窟に住み着くため、それを目印に回る。
大抵、3、4か所回れば見つかるのだが、今年は厄介なことに、全く見つからない。残る候補はあと2か所だが、そこは滅多に使われない。
(今までの候補を棄てて場所を新しくしたか…?これは一から探さないとだめか…。)
しかしそうなると、簡単には見つからない。炎の鳥の羽根を使いたい魔法道具は、実は依頼されて作っているものだ。約束の日に間に合うかどうかが心配になってくる。謝って期日を伸ばしてもらうことも可能だろうが、できればそんなことはしたくない。
真面目なギアは箒を加速させた。
「うわ、ここもだめか…。」
思わず声が出た。そう、最後の一か所もいなかったのだ。
(仕方ない。今日はいったん引き返して後日だ。)
今日は来客があると、家を出る時アリシアーレンに言われた。アリシアーレンの知り合いで、何日か泊まっていくらしい。食事を二人分追加するように頼まれていた。
人に振る舞うのであれば、凝った料理を出したい。そして、そういった料理の仕込みには時間が掛かる。
(帰り道にいないものか…。)
淡い期待を持って箒にまたがった時、子供の声が聞こえてきた。
「「こんにちは。」」
ギアは驚き振り返る。確かに二重で声が聞こえたのに、そこには誰一人いない。
きょろきょろと辺りを見回すと。
「「こんにちは。」」
また聞こえた。すると、すぐ傍で、二人の子供の姿がゆっくりと現れた。どうやら姿を消していつの間にか近付いて来ていたらしい。コートを着ていて顔は分からないが、背丈と服装から見て10歳前後の女の子と男の子のようだ。大きな荷物を背負っている。
そして二人の子供は口を開く。
「この辺に住んでいる、黒髪青目の魔女を探しています。」
「アリシアーレンという名の魔女です。」
「「知っていますか?」」
~魔法使いのメモ~
☆炎の鳥…青や緑の羽根を持つ美しい鳥。全体的に青い炎をまとい、青白い炎を吐くこともある。雨の日以外は熱くて近付けたものではない。伝説の不死鳥とは違い、傷付けられれば命を落とすが、炎の鳥を殺した者は地獄で火あぶりの刑に処されると言われており、事実、この生物を傷付けた者はろくな死に方をした者はいない。
申し訳ありませんが、来週・再来週の更新はありません。
次回は1月22日です。




