第6章、魔女の墓守③
超お久しぶりです、お待たせしました。今回は「古の魔法書と白ノ魔女」はお休みです。
つい最近、忙しさとストレスで一時的に難聴になりました。三日続くようだったら病院に行こうと考えていましたが、幸いにも一日二日である程度戻りました。以前も起こしたことがあったので様子を見ましたが、本当はすぐに医者に診てもらった方がいいそうですね。
皆さんはくれぐれもストレスで体調を崩さないように・・・。
「ヌヌ!ヌヌ!」
ロッドが光の先へ呼び掛けながら必死に木や石を取り除く。
それを手伝いながらギアは、思い返す。その名前は確か、タヌキの魔獣だったはず。
「ヌヌ~~~!!」
ルージが泣きながら土を掘っている。そして、黙々とそれを手伝う他の魔獣。
「…。」
アリシアーレンは険しい顔をしてツーデルトを抱えている。
やがて。
「ぬ、ヌヌ……!」
ルージがぴたりと動きを止めた。大型魔獣三匹の隙間から、ギアはその姿を見た。ロッドが駆け寄り、その汚れた塊を抱き上げる。
「ヌヌ…!起きなさい…!」
ロッドが泥にまみれたタヌキの背をさする。
皆、ロッドを囲んでその様子を見守る。
「起きなさい!起きるのよ…!!」
「こほっ。」
ヌヌが咳き込み、言葉を発する。
「あ、危なかった~…。」
「ヌヌ!」
「ロッドさまぁ…怖かったよ~!」
ロッドがヌヌを抱きしめた。ヌヌもロッドにしがみつく。
「木が重なってちょうど空洞になっていたところにいたのね。助かって良かったわ。」
アリシアーレンが心底ほっとした顔でそう告げた。
「ぞっとしたよ…。」
ギアはそっと息を吐いた。
「ロッド、魔女の墓が二つやられちまってる。すぐに修復しねぇと。」
ヌヌ救出直後から周囲を確認していた狼魔獣。状況報告をして、ロッドの意識をこちらに向けた。
「…ええ。」
ロッドはヌヌをギアに預けた。
「アンタは家に帰ってなさい。ヌヌを頼んだわ。」
ツーデルトがギアの肩に乗った。ロッドが視線を向けると、鹿もギアの傍へ。
「悪いけど、アンタたちは残って頂戴。ここの確認を手伝って。」
「もちろんよ。」
「はーい。」
アリシアーレンと魔獣三匹が頷く。
「俺も後で戻って―――」
「来なくていいわ。心配しないで、アタシたちは魔女の墓を直したらすぐに戻るから。」
ロッドは、暗に来てはいけないと伝える。
「分かった。」
ギアは素直に従った。人間は魔女の墓を見てはいけないと、昔から二人に言われてきたから。
(別に、仲間外れにされて悔しいとは思わない。)
ギアは振り返り、アリシアーレンを見る。彼女は微笑み手を振った。
(同じ魔法が使える者同士なのに。)
ギアはロッドの家へと足を向ける。
(―――なぜ、魔女と魔法使いにはこんなにも壁があるんだ。)
ギアの姿が見えなくなった頃。
「…始めましょう。」
「ええ、ロッド。」
ロッドとアリシアーレンが空を指差した。空に浮かんだ二重の魔法陣はどんどん広がり、ロッドが管理する墓地全体を覆った。
すると、その範囲だけ雨が当たらなくなった。
「さて、これでこれ以上被害が大きくなることはないわね。」
ロッドは、土を掘り続けている魔獣たちに声を掛ける。
「見つかった?」
「ええ、順調よ。」
黒ヒョウが顔を上げた。
「ただ、砕けてしまったみたいね。欠片しか見当たらないわ。」
「わー!見て、石が真っ二つ!」
ルージが綺麗に二つ割れた墓標を持ち上げて見せた。
「はいはい、それは後日ね。」
「おい、ルージ。今は魔女の“核”だけを探せ。」
作業する手を止めずに狼が言う。
「あ、またあったわ。」
「ちょうだい、私が持っておくわ。」
アリシアーレンが袋を取り出し、魔獣たちが探し集めたものを入れる。
それは、魔女の核―――人間で言う、心臓だ。魔女は死んだ後、青い蝶となって消える。しかし、たった一つ、核だけは残る。人間が死んだ後、火葬すれば骨だけが残るように。
このことは、人間にはあまり知られていない。知られないよう、魔女たちが細心の注意を払っているのだ。特に、魔女の死のレシピが人間の手に渡ってしまってからは。
―――なぜならば。
「仕方ないから、これは全て欠片石の材料にしちゃいましょう。」
―――魔女の核が、人間を魔法使いにする魔法石の材料だからだ。
魔法使いは知らない。自分たちの力が魔女からの恵みそのものであることを。
だから、罪を重ね続け、自らの首を絞めるのだ。
~魔女のメモ~
★欠片石…魔法使いになる素質のある人間が魔法が使えるようになるための儀式で使う人工石。その材料は魔女の核。魔女の力で反応させ、魔法使いとなる人間の身体に吸収させる。人間を毛嫌いしている魔女に遺言があれば、 欠片石の材料にすることを避ける。
★魔女の核…人間で言う心臓みたいなもの。魔法の根源。死ぬとこれだけは必ず残る。人間の手に渡ることだけは絶対にいけない代物。




