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暗黒の信長と帰蝶 ~異次元の信長Take3~  作者: 松岡良佑
第1章 愚者

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8話 myself in Another Dimension(別次元の自分)

【時空神ファルファッラ様のお言葉】


「さっそく会話が混ざるから掲載しておくわね。ネタバレ!? いい度胸じゃない!」


「●●●●●●」通常会話。誰にでも通じる言葉。

≪●●●●●●≫神言語1。信長と帰蝶に聞き取れない言葉。

≪≪●●●●●●≫≫神言語2。信長と帰蝶にも通じる言葉。

《●●●●●●》神言語3。信長と帰蝶と神にしか理解できない神言語含む3次元語。

『●●●●●●』歌術。

【●●●●●●】場所や地名。

(●●●●●●)心の声、またはヒソヒソ声。

【8次元世界下界/尾張国 清須城 儀式の間】


「ところで、我らはそんなにお主らの知るワシ等と違うのか?」


 そこが8次元に生きる信秀達の疑問だった。

 世界の違う人間が来る事も想定外だが、世界が違っても血筋が一緒なら『そこまで違わないのでは?』とも思う。

 だが残念ながら違った。

 違い過ぎた。


「あぁ、その事ですが、声は一緒です。背丈も目方(体重)もほぼ一緒でしょう。ただ、召し物や髪型、髪色、目の色、肌の色、傷跡、見た目の年齢、そう言った大小様々な部分が一致しません。そうそう! 城が知ってる様で知らない形です! 模様も奇天烈ですな。それに月代(さかやき)の者もいない。月代文化すら無いようですな」


「サカヤキ……知らん文化だ」


 月代とは頭を頭頂部まで剃り上げた髪型だが、信長と帰蝶の知る『武士』は居なかった。

 おそらく彼らは信長の知る『武士階級』に相当する人間なのだろうが、3次元と一致するのは肉体の内面的な性格部分と、今持っている刀だけは記憶と完全一致した。


「逆に聞きますが、我ら2人は、その、戦死した信長と帰蝶と、どう違うのですか?」


「まず髪色だな。最初から黒一色なら初めて見る髪色だ」


 信秀は渋い顔をしながら言った。


「え!? そうなのですか? 黒髪が初めて見る……?」


「我らの世界では黒髪ばかりですが……(記憶では南蛮人の金も赤も見たが……。少なくともこんな色とりどりではないな……)」


 そう言われて周囲を見ると、ぱっと見たところ、赤、青、黄、緑、白、紫の髪色が見受けられる。

 そのどれもが、染料にしても鮮やかすぎる。

 真っ赤、真っ青、真っ黄、真っ緑、真っ白、真っ紫だ。

 髪色に関しては『気味が悪いが、興味が勝る』というのが正直な感想で、信長と帰蝶は、カッコいいのでマネしたいと思っていた。

 なお、これは目の色も上記の色だが、髪の毛含め赤だけの者、青と紫の2色の者など様々だ。


「髪色や目の色はもしかして使える歌術の種類ですか?」


「その通り。属性神には色が決まっておって、髪の毛と眼球に使える歌術の色が出る。これは別に優劣は無い。例えば全て赤なら火属性が強力だが、逆に火の一種類しか使えぬし火の戦略しか立てられぬ。だが普通2種類までじゃが全部色違いなら、3種類の術が臨機応変に使える稀人じゃ」


「だから髪色と目の色に驚いたと」


「うむ。そんな世界が存在するとはな。他は知っている年齢と違うが、幼い時の面影は感じる。今はそれぐらいか」


 本当なら服装も違うが、兤陽(こうよう)神パーピリオーの与えた和服っぽい服が、着物の違和感を消している。

 本当なら8次元の彼らから見たら、3次元戦国時代の服など奇人変人の部類だ。


「じゃあ生まれた時、契約前の髪色は何色なので?」


「透けておる」


「透ける!?」


「そんなに驚くとこなのか? 契約に成功すると『属性神のネックレス』が与えられ、目や髪が属性神の色に変化するのだがが……我らとしては、一番気になるのは……今、何歳なのじゃ?」


「13いや、15歳です」


「同じく15歳です」


 ついさっきまで3歳差があったが、今は15歳に強制的に成長させられ、年齢差も無くなった。


「15!? 幼いとは思っておったが、まさか見た目通りか!? こうなると元服は先じゃな」


 元服――

 戦国時代に行われる儀式で、この儀式を経る事で、幼名から仮名と諱を与えられ、大人として扱われる。

 儀式をやるのに決まった年齢はないが、おおよそ10代半ば辺りが平均か。

 あるいは家の都合で10歳に満たぬ内から元服する場合もある。


 元服は男女ともにあったが、信長はその最中で追い出され、帰蝶は寝込んでいる最中で追い出された。

 帰蝶は婚姻を期に元服を執り行う予定であったので、3次元戦国時代の制度上まだただの子供である。


「困ったな。時間が無いと言うのに――」


 信秀の言葉が突然止まった、と同時に周囲の時間も止まった。


《『した』と言っておきなさい》


 ファルが介入したのだ。


《ここの常識とは元服年齢が違い過ぎるわ。次元違いのせいね。神界で元服済みとしておきなさい》


 ファルが面倒な事になる前に事前に釘を刺し、時間を動かし始めた。


「あ、元服はしたばかりじゃが」


「わ、私もです。し、しました」


 信長に限っては本来は『した、と言うかその最中だった』のだが、それはそれで『どういう事!?』となる。

 3次元の元服中に、体を乗っ取られた事は伏せてあるのだ。


 だが8次元では別の意味合いもある。


「何と!! お主らの世界の元服がどう言う物か知らぬが、こちらでは神々との契約の儀式でもある。20歳までに契約できる神と交渉をするのだ。それをもう済ませたと!?」


「20歳!? 遅っ!?」


 信長が思わず驚いた。


 3次元戦国時代の元服は遅くとも15歳程だ。

 早ければ5歳の記録もあるが、大抵は家の事情かピンチで急いで当主を立てなければならない場合だ。

 ちなみにこの家の事情の例は豊臣秀頼である。


 逆に遅いのが、長宗我部元親と毛利元就で、共に21歳で元服した。


「って、ん……契約? 歌術を使う為の?」


「それでしたらもう神界で済ませましたが……」


「神界! そう言えばファルファッラ様が鍛えたとか言っていたが……真か!?」


 別次元からの来訪者というのも驚愕だが、神界からの来訪者も驚愕の事実。

 今更ながら信秀は、とんでもない人間を復活させてしまったと、絶望の未来に光明を見るのであった。


「ではどの属性神と契約したのじゃ!?」


 信秀がもう一つ気になる事を聞いた。

 ここは戦略上でも重要だ。


「ワシは火燎(かりょう)神ケレベック、風飄(ふうひょう)神ペルホネン、暝朧(みょうろう)神バーバチカと契約できました」


 簡単に言えば火、風、闇だ。


「私は水灑(すいさい)神ペタルデス、土壅(どよう)神ボルボレッタ、兤陽(こうよう)神パーピリオーです」


 簡単に言えば水、土、光だ。


「何と!! 3属性神全てとか!」


「え、えぇ」


「そうですが」


「2人揃って被りも無しか! それで黒髪黒目は不思議じゃが、これは希望が見えてきたな――」


 時間が止まった。

 信長が何か言いたそうなのでファルが先んじて止めたのだ。

 さすがは時間を自在に操る時空神か。


《ファル? 散々ワシらの才能をコケにしよったが、この反応は中々良い評価じゃないか?》


 特に信長は歌術については劣等生だった。

 やっと煙草の火種が出るようになったが、それはここでは『凄いことなのでは?』と思い始めた。


《調子に乗るなよ? 3属性と契約できたのは神界に居たからだ。普通は才あるものが出来る契約。お前らは例外で才が無いからこそ3属性契約を無理やりしただけだ!》


 若干魔神モードになりつつ、ファルが威圧する。


《そ、ソウデスカ……》


《動かすわよ》


 信秀がちょっと逆再生して同じことを言いだした。

 当然、本人にはわかっていない。


「2人揃って被りも無しか! それで黒髪黒目は不思議じゃが、これは希望が見えてきたな――」


 信秀が喜ぶが、先のファルの恫喝を帰蝶も聞こえていたので、すぐにフォローに入る。


「あの、えっと!? その代わり基礎術はまだ大した事なく、あー……その、歌術の存在しない次元から来たので慣れてないんです! 端的に言えば未熟です!」


「まぁその年齢では仕方ない。だがそれでも3属性持ちは稀人(まれびと)じゃ――」


《……ワシらの実力を見せたら殺されるか?》


《そうかもね知れませんね》


《馬鹿ね。貴方達は創造神から派遣された神の使途なのよ? 言わば神のお墨付き。殺されるなんて罰当たりは無いわ》


 長くなると思ったファルが、一旦、時間を止めて介入した。


《……失望はされるかも知れないけど》


《ワシはうつけたフリをしておるだけだから、侮蔑の感情には慣れておるが……》


《えっ、うつけは偽装……でしたね。ファル、聞きたいのですけど、この次元の15歳はどの程度の歌術を扱えるのです?》


《そうねぇ。才能があるなら基礎術、神の名を唱えるだけで、もう大人同然の威力を持つ火球や水流を扱う子もいるわ。ただし、その先伸びるかは本人の努力次第。貴方達の基礎術は鼻クソ同然だけど》


《鼻ク……!?》


《そ、そこまで言わんでも良いんじゃないっスか?》


《事実だもの。事実陳列罪で訴える?》


 事実だから仕方ないが、それにしてもコケにしすぎであると信長は思ったが、思っただけに留めた。

 勝負を挑んだって絶対負ける。

 基礎術で何百万回と瀕死の重傷(●●●●●)にさせられたのだから。


《でも他の真実もある。貴方達は本当は6属性(●●●)使える。ただ、この先有利に立ち回りたいなら残りの3属性が使えるのは伏せておきなさい》


《わ、わかりました……》


 と、ここでまた時間が動き出した。


「まぁその年齢では仕方ない。だがそれでも3属性持ちは稀人(まれびと)じゃ! よし! 希望が見えた所で作戦会議に入る。勝家、後は頼む。少々精神力を使いすぎたわ」


「はっ! お任せを! では全員広間へ行きましょう」


 こうして信長達はゾロゾロと広間へ移動した。


(間取りは清州城と同じだな。ただ、作りが日ノ本っぽくないと言うか、絵や飾りも初めて見る……評価の難しい柄じゃな)


 信長が歩く廊下や風景、内装を見ながら言うが、本当に奇妙な飾りや文様ばかりだ。


(確かに……飾るに相応しい柄、なんでしょうね)


(頭が痛くなってきた……)


 神界は神界で驚きっぱなしだったが、下界は下界で疲れそうな場所だと思い知る、信長と帰蝶であった。

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スピンオフ元の漫画版 信長Take3『10話 末森城決戦(3)』が、アプリ『マンガBANG!』で無料公開されたぞ。


【読む方法】

分割連載WEB版:https://x.gd/Euxzi (ファンレター待ってまっておるぞ)

分割連載アプリ『マンガBANG!』

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または、各種電子書籍サイトで買うがよい。


作画担当先生は、八坂たかのり(八坂考訓)大先生だ!(旧Twitter @Takanori_Yasaka)

八坂先生の作品一覧→https://x.gd/Gj9zO

下の素晴らしいい表紙を見るがいい!!

挿絵(By みてみん)

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