24話 To the battlefield at Okehazama!(出陣桶狭間!)
【作者からの説明】
神々は感染しているので代理で乗せておきます。
「●●●●●●」通常会話。誰にでも通じる言葉。
『●●●●●●』歌術。
【●●●●●●】場所や地名。
【尾張国/清須城 織田家】
「よし! 勝家、頼むぞ!」
「我が城もこれで完全破壊か……絶対に勝つのじゃぞ!」
「はッ! 『火燎神ケレベック!!』」
火燎神ケレベックの、1色持ちである勝家の発動させた基礎術が、大砲となって屋根の『応龍』の像を破壊すると共に、城のシールドが消え去った。
「さて最後に血じゃな」
信秀が手首を軽く切って、信長と勝家の衣服に浴びせた。
他の殺された設定の家臣も、手首を切り降伏役に血を浴びせる。
これが信秀を殺した証拠となる。
他人の血もあるが、ウェアウルフなら100%で嗅ぎ分けるだろう。
「では親父殿ら待機組は、そこら中に血を撒いておいてくれ。清洲方面の血を嗅ぎ分ける可能性がある以上、やり過ぎぐらいで丁度良い加減であろう」
昼間の今川義元に会いに行くので、危険な可能性は減るが、ファルファッラから散々ウェアウルフについて説教を食らったので、人間形態でも絶対に油断はしない。
「触媒の準備はいいな。帰蝶は杖を持ちつつ生贄のフリだ」
「生贄……。戦国時代でさえ否定する人間もいるというのに、8次元では必須だったとは……」
帰蝶が偽装とはいえ、生贄扱いには渋面を作るしかない。
「顔は生糸生地で覆っておる。ワシの復活は察知している可能性が高いが、お主は加護の生糸で匂いを誤魔化している。ウェアウルフにも有効らしい。我慢せい」
宗教が絶対の世界である3次元の戦国時代。
それまでの時代では、大きな建築には生贄が必須であった。
城、橋などが該当する。
生贄になってもらって神仏の加護を授かる為だが、当然勘違いの出鱈目だ。
だが宗教が絶対の世界では正しい建築方法である。
しかし、それを撤廃した記録があるのが毛利元就だ。
人の代わりに『百万一心』と彫った石を埋めて、生贄の代わりにしたという。
なお、生贄の文化は日本以外にも世界中でみられるが、日本の生贄の伝説は数多あれど決定的な証拠は少ない。
「では四聖の巫女は歌術で触媒と帰蝶を浮かしてくれ。あくまで貢物と見せかける。丁寧にな」
「はい。『地に背き 重力反転化! 暝朧神バーバチカ!』」
葵が暝朧神の歌術を唱えると、地面から湧き上がる紫の光線が乱反射して、触媒と帰蝶を浮かせた。
想像しにくいが、紫の光線以外は何も見えない、これがこの次元の神輿である。
「う、浮いた!! 凄い!!」
「おぉ……!」
神界で、ファルファッラにブッ飛ばされる事はあっても、浮いた事はない。
3次元の現代人でも、トランプ1枚浮いただけで驚愕の光景なのだから、戦国時代の人間には気絶寸前の光景だ。
「では直子、頼む」
「はい『吹きすさぶ 追い風纏い 烈風に 烈風縮地脚! 風飄神ペルホネン!!』」
「おぉ! 背中に追い風と足に風が纏わりつく!?」
信長が一歩足を出すと、馬の全速力と同等で一歩が早い。
歩いてコレなのだから、走ったら凄まじい早さだろう。
なお、もし5節完全詠唱なら、落雷に等しい速度になる。
「なるほどな。移動手段が徒歩しかないと聞いて驚いたが、これは馬が要らぬな!」
荷車もなければ、神輿もない。
馬もないが、風呂はある。
ワシャこんな次元……イヤ、便利だろうなぁ。
とにかく、全部歌術で間に合うから不要だし、必要なら楽に設備が保てるのだ。
「では信長よ、頼んだぞ。無事義元を討ち取ってきてくれ」
「はッ。今度こそ倒して見せましょう!」
3種の魔刀と1振の8次元の普通の刀の、柄頭を叩いて信長は気合を入れた。
「ん? 今度こそ?」
失敗した歴史を知らない信秀が当然の反応を見せる。
「あ、間違えました。あーその、頭の中でどう倒すか計算しておりまして、目途がたったので。頭の中では連戦連敗でしたので『今度こそ』と……!」
最初に蘇った時は大惨敗だったが、しかし目途が立った今、つい『今度こそ』と言ってしまった。
「そうか。倅は出たとこ勝負が多かったが、お主は慎重だな」
信長と帰蝶は、強大な歌術を駆使して、相手の戦略や攻撃を真正面から蹴散らしてきた。
次元違いとは言え、同じ信長がこうも正反対で驚くが、3次元の信長は戦いは数だと認識し準備の段階で敵を圧倒するのが常だった
もちろんこの信長は3次元の信長なのだから、慎重にならざるを得ない事を再認識した。
そして、8次元でこの慎重は必ず武器になるだろうと確信する。
「寝る間も惜しんで考えました。何せ、今川義元が相手なのに、どれだけ説明されても想像が難しいウェアウルフが相手ですからな」
「うむ。慎重なのは良い事じゃ。では創造神パルヴァーネ様の加護があらんことを。行ってこい!」
「はッ! 出発じゃ!」
信長の号令の下、一団が桶狭間に向け出発する。
織田信長、斎藤帰蝶、坂茜、瑞林葵、塙直子、生駒吉乃ら大将とサポート班。
柴田勝家、滝川一益、佐久間盛信、森可成、塙直政とウェアウルフに噛まれた者
ついでに軍艦(お目付け役兼サポート役)の平手政秀。
総勢12人の必勝の奇襲降伏部隊が、桶狭間に向け出発した。
【桶狭間山/入口】
ウェアウルフに変身させない様に、朝出発して昼前には山の入り口に到着した一行。
そこに4つの影が上空から降りてきて音もなく着地した。
「止まれ! 織田家の者だな?」
4人の若者が織田軍の行進を止めた。
今川氏真、松平元康(徳川家康)、北条涼春(早川殿)、今川瀬奈だ。
人間形態だが、やはり鼻が利くのだろう。
相当前から察知されていた模様だ。
いきなり攻撃されないのは、白旗を掲げていたからだ。
「(氏真に元康か!? 女2人はわからんが、全員ワシより年上か。やりにくいのう……)はッ! 察しの通り、我ら織田家から参った降伏の使者にございます。どうか義元様にお取次ぎ願いたい」
「ほう? 背後の武将は父上に嚙まれた者だな? 呪詛の匂いを感じるぞ」
今川氏真が義元の嫡子として、殺気をまき散らしながら問う。
3次元では、とても今川家を壊滅に追いやった張本人とは思えない、自信と覇気に満ち溢れている。
今川の次代を担う器として申し分ない。
「はい。ウェアウルフの眷属になる前に自害を命じられた為、止むを得ず反旗を翻しました。我らの忠義に対し、死を命じる武士道を汚す者に仕えるのはウンザリいたしました。ならば、信長と帰蝶を葬った12神将の一人、義元様に仕えとうございます」
柴田勝家が、感染した者を代表して口上を述べた。
「なるほど。そちらの女子衆は?」
今度は元康が尋問する。
油断も隙も無い、完璧な立ち振る舞いだ。
「はッ! 献上品と生贄、あとは某に付いてきた織田家の巫女にございます」
「担がれている者。顔を見せよ」
氏真の妻、涼春が検品する。
生贄だろうと素性が分からぬ者を通すわけにはいかない。
「……どこかで会った事があるか?」
「いえ、初対面でございます」
嘘は言っていない。
この帰蝶は初対面なのだ。
また女は成長に伴い印象がかなり変わる。
8次元の帰蝶を知ってたとしても、15歳の帰蝶が居るとは夢にも思わない。
「この集団を率いる者。率いるにしては幼いな? 何者だ?」
「ッ! (仕方ない)某は……織田信長にございます」
「ッ!?」
その言葉に、氏真、元康、涼春、瀬名が驚愕に固まる。
軽々しく名乗っていい名前ではない。
3次元世界でも『アドルフさん』は限りなく少ないと聞くが、それと同じぐらい禁忌の名だ。
「信長だと!? 信長は討たれたハズ! ウソを……ウソじゃない!?」
瀬名が匂いで判断した。
外見は知っている信長とは違いすぎるが、少なくともこの少年は噓をついていない。
「本人!? まさか死を予見して転生したのか!?」
歌術が常識の次元では、そう考えるのが常識だが、半分正解だろうか。
本当は、ファルファッラが、行き場を失った魂を無理やり引っ張って来たのだから。
「違います! いや、合っている部分もあるのですが、まずは話を!」
人間形態でも犬歯は発達しているのか、凶悪な牙と化して警戒する氏真達だが、信長かも知れない者を前に油断するなと言う方が無茶というモノだ。
「某は信長ですが転生体ではありませぬ。言うなれば異次元体です! 話すと長いのですが――」
信長はここに至る経緯を、事実を隠しつつ説明した。
馬鹿正直に奇襲に来たと言う訳にはいかない。
ただ、それ以外の、8次元に来てしまった経緯は話した。
この8次元世界を救うと言う経緯は隠しつつ。
「復活の儀式に失敗し、違う次元の信長が復活したと? 鵜吞みにはできぬが証明できるのか?」
「できます」
「できる!?」
これには氏真らも驚いた。
何せ、悪魔の証明を要求したつもりが、あっさりと証明可能だと言われ氏真らは驚く。
「皆様はこの次元の信長の歌術をご存じで?」
氏真は尊敬とも恐怖とも取れる表情で、思い出して身震いした。
「匂いで本人と同じであるのは確認しましたな? ならば、この織田信長の歌術ご覧あれ! 『火燎神ケレベック!!』」
「なっ!? 待てッ!! ……え?」
匂いは確かに信長だ。
故に先制攻撃かと思い、急いで退避しようと思ったらクソ激弱歌術を披露した。
指先が赤く燻っている。
「言ったでしょう。別次元からの来訪者だと。苦労して基礎術をここまで育てたのです」
「……そ、そうか。嘘ではないな。間違いないのか。えぇ……本物なのか……」
もし本物の信長が基礎術を唱えたら、ここら一体焼野原だろう。
当然氏真らも生きてはいられない。
そして基礎術は威力のコントロールが出来ない。
成長はするが、常に最大火力で放出される。
つまり嘘が付けないのだ。
指先が燻る程度なら、それが実力なのだ。
「某も困っているのです。無理やりこの次元に呼び出され、義元殿を倒せとこの次元の親父殿に言われましてな。『無茶言うな!!』と大喧嘩しまして、降伏派を率いて交戦派を叩き潰して参りました」
この血を見ろと言わんばかりに、信長は両手を広げた。
氏真らも信秀はじめ、家臣達の匂いを確認し、信長の言い分を認めた。
「あの信長とは思えぬ殊勝な態度! 信じられんが別次元の同一人物なのは間違いない。そういう事情であれば降伏も納得じゃ。哀れにさえ思うぞ。よかろう。父上の元に案内しよう。ついてまいれ」
(よし! 第一段階突破じゃ! ……哀れにさえ思うのか)
信長は頭を下げながら嗤った所で、8次元の信長のやらかしを恨んだ。
【創造神パルヴァーネ様の宣伝】
スピンオフ元の漫画版 信長Take3『10話 末森城決戦(3)』が、アプリ『マンガBANG!』で無料公開されたぞ。
【読む方法】
分割連載WEB版:https://x.gd/Euxzi (ファンレター待ってまっておるぞ)
分割連載アプリ『マンガBANG!』
AppStore→https://x.gd/iHUit
GooglePlayStore→https://x.gd/sL3h8
1巻→https://amzn.asia/d/fgqMk7a
2巻→https://amzn.asia/d/0dAJ7JBX
または、各種電子書籍サイトで買うがよい。
作画担当先生は、八坂たかのり(八坂考訓)大先生だ!(旧Twitter @Takanori_Yasaka)
八坂先生の作品一覧→https://x.gd/Gj9zO
下の素晴らしいい表紙を見るがいい!!




