23話 Demon Sword(魔刀)
【時空神ファルファッラ様のお言葉】
「今回は説明無しでも行けると思うけど、どうかしら?、地名場所、普通の会話、私との会話、ヒソヒソ話。それとなく通じると思うけど、やっぱり念の為つけておきましょうか」
「●●●●●●」通常会話。誰にでも通じる言葉。
《●●●●●●》神言語3。信長と帰蝶と神にしか理解できない神言語含む3次元語。
『●●●●●●』歌術。
(●●●●●●)心の声、またはヒソヒソ声。
【●●●●●●】場所や地名。
【尾張国/清須城 男風呂】
「お前は……アッチじゃないのか? コッチに来たからには見るぞ? ……お願いだから殴るなよ?」
神界でブン殴られて以来、帰蝶の暴力にはPTSDまで発症している信長であった。
「今更ですわ……。アッチに行ったら、それこそ何されるかわかったモノじゃないですわ……..それとも見て何かなさいます? 何か反応します?」
「そうだな……それもそうか……」
信長と帰蝶は湯舟と言う信じられない施設に仰天し、先ほどの穢れを祓うかの様に入浴を楽しんで……いや茫然自失、青天霹靂、驚天動地の先の乱痴気騒ぎに魂を抜かれていた。
もうお互いの裸を見る事に、見られる事に何の抵抗もなくなってしまったのだ。
その証拠(?)に、お互い湯船で体育座りで呆然自失となっていた。
一方、女湯ではキャッキャウフフと嬌声が聞こえていた。
なお、またバーバチカの基礎術でブラックアウトさせられる恐れがあるので、両湯殿の詳細状況の表現は控える。
ここで豆知識。
戦国時代、信長少年時代に、湯船を常時稼働できる財力のある家はほぼ無い。
この時代の風呂とはいわゆるサウナ的蒸し風呂が一般的で『湯に浸かる』のは、武田信玄の様に山岳地帯で温泉を見つけた時ぐらいだ。
最初に風呂を作った大名はわからないが、豊臣秀吉ほどの天下人が豪華絢爛な風呂を作ったぐらいか。
では、諸大名には不可能なのは何故か?
燃料代が洒落にならないからだ。
大量の水をお湯にする薪。
源泉から湯を引っ張ってこれる場所に拠点を構えるならいいが、3次元の清須城は濃尾平野という平地で湯など簡単に手に入る代物ではない。
井戸水を毎日薪で温め使ってたら簡単に破産するし、燃料は鉄を溶かす武器製造の為に、調理の為の熱源に回したいのが戦国時代の実情だ。
要するに超贅沢品で特別な接待や、記念日に入るのが風呂なのだ。
だが8次元では違う!(ギュッ!)
湯も熱加減も歌術でどうとでもできる。
水灑神の使い手が無から水や湯を出し、熱の調整も火燎神の使い手がいれば問題ない。
これが歌術の有り無し、3次元と8次元の差なのだ。
「アレはアレだったが……この風呂は実に良いな……」
「それは同意です……」
「……3次元に帰れたら、風呂無し生活か?」
「……そうなりますね」
「……」
「……」
信長と帰蝶は考えるのを止めた。
【清須城/広間】
「只今もどりました……」
「ました……」
「戻ったか。の効果は抜群の様じゃな。今なら指輪の力で1節なら出血無く歌術詠唱も出来るのではないか?」
信秀が、戻った信長と帰蝶、そして(艶々の)四聖の巫女を見て言った。
帰蝶が水灑神の歌術1節で、3節を押し返した話は大事件として広まっているが、それには肉体の損傷を伴う代償がある、という報告は既に受けていた。(ついでに信長の毛髪チリチリ事件も)
「あんな目にあってやっと1節ですか……されど1節か……」
「石窟ってすごいんですね……」
信長と帰蝶の頬は痩せこけていたが、確かに体内に駆け巡るエネルギーの上昇は感じる。
「あんな目と言うがな? 節を増やすのは並大抵の努力ではない。ワシらは自分の限界値を無意識に自覚しているが、それを知らぬお主らでは、無茶をして1節増やせば、体に甚大な被害がでるじゃろう」
(確かに……)
(今思えば無茶も無茶でしたね……)
信長と帰蝶は、信秀の話を聞いて、1回目の復活後の失敗に納得した。
と一応伏せているが、読者を引き止める色仕掛けではなく、ちゃんと理由があったのだ。
じゃあ、表現しろよ?
それとこれとは話が違うのだ!
「才能ある者が努力して3節、杖や武器の補助ががあって4節、あらゆる供物や巫女達の力を借りて、成功するか、しないかが5節なのじゃ」
「そうでしたか……」
杖や武器の補助、と聞いて、信長と帰蝶は玉座の隣にある異物に気が付いた。
「の、信秀様! それでもあの方法しか無かったのですか?」
「あぁ、術の無い3次元では、異性とので戦いの気合を入れると言う概念は無いか。ならばさぞ驚いた事だろう」
そんな事はない。
戦前に女性の穢れを嫌う武士も居たが、最後の別れかもしれないと、気にしない人もいた。
攻め入れば略奪暴行誘拐やりたい放題なのが戦国時代。
人による、が正しい答えだろう。
「しかしな? あと9日しか無いのじゃ」
「!」
「あっ」
「これが最速最善じゃった。のんびり鍛えている暇はない」
行為はアレだが、信秀達8次元ならではの方法であり、最善の行為を選んだのだ。
これは流石に3次元の常識では、今も現代もありえな……あるかもしれないが、一応ない。
決して読者を釣る為の、サービスシーンでは無い事は今一度明言しておく。
「成程。方法には驚きましたが、理由があったのなら納得です」
「あの、ちなみに時間があったら、あんな事はしないですよね?」
「どうだろうな……? 時間があると断言できる事など未来を見通せなければ不可能じゃ。なら倅の方法も一つの手段。8次元の倅が何と呼ばれていたか知っておるじゃろう?」
「傲岸不遜、傍若無人、唯我独尊、眼中無人、奸佞邪智、酒池肉林、残虐非道……あっ酒池肉林!?」
「言葉は悪いが倅はこれで5節を自由自在に操った。元々の才能もあるが性癖なのじゃろうな。は古来より歌術的に効果があるのだ」
「え、じゃあ……これから毎日あんな事をッ!?」
信長が恐怖に青ざめ絶叫する。
我々には想像できないナニがあったのだろう。
恐ろしや……!
「いや、同一人物とは1回で良いし、誰でも良い訳でも無い。子をなすならともかく、お互いの術相性を高めるにはコレが一番じゃ」
そう。
余程特殊な次元にでも行かない限り、普遍不動。
そういう訳だから、前話と今までの話は卑猥なエピソードではないから、はこれ以降期待しても無駄よ?
いえ?
期待を持たした方が読者が付いてくるかしら……?
「ン゛ン゛! そうでしたか。もうアレは勘弁願いたいです……。《ファル! 時間を止めろ!》」
《なぁに?》
《いくら200年の、経験豊富な記憶が入ってきた経験を足してもアレは酷いぞ!?》
《そうですよ!? 私の! 私の! あぁ!!》
《ここは歌術の世界。術力が全てであり、アレも底上げ方法の一つ。あ! じゃあ精神年齢にもう100年追加したら受け入れられそうね?》
《……もう一回死ねと?》
《死んだらそうなるってだけよ。義元を倒せば問題ないわよ?》
《……1節まともに歌えるだけでも、良しと考えるべきか》
《そうそう。帰蝶ちゃんも1回目のあんな死に方嫌でしょ?》
《分かりました……》
《よろしい。再開!》
「と、ともかく、こちらの準備は8日目まで特にありません。……いや!? そう言えば、術があるなら日が暮れた後も、明かりも自由自在で!?」
「明かり? 光源の事か? 当然、兤陽神様や火燎神様の歌術で部屋程度なら問題なく明るく照らせる」
「おぉ!!」
戦国時代の夜、と言うより『灯り』には油や蝋燭などの燃料が使われるが、当然貴重品である。
農民などは日が暮れたらもう就寝時間だ。
現代日本では電気の力でどうとでもなる。
だが8次元の世界は違う!(ギュッ)
歌術がある。
昼だから、夜だから、という理由で困る事は、生活面では無いのだ。
「ならば、間者……忍者ますたぁが居る前提で、各派閥に分かれて毎日議論をしましょう。嘘とバレるとマズいので、父上は開戦派、ワシと帰蝶とウェアウルフに噛まれた者が降伏派で激しい言い争いを演じます。どうせ噛まれた者は全員武闘派……歌術派? と言うのか分かりませんが、使い手なのでしょう?」
「そうだな。それで開戦派のワシらを討ち取った体で、お主らが降伏に行く。どうせワシもあと9日では回復も間に合わん。戦力的にも噛まれた者しか対抗出来まい。ならばそれでいこう。ただ、嘘とバレるのも困る。今ここにいる者と勝家には真実を話し、本気の言い合いを演じなくてはな」
「そうですな。ワシら降伏派だけで義元を倒します!」
信長はそう言いながら、どうしても先ほどから気になっている、信秀の玉座横に立てかけられている品に眼を奪われる。
勿論、帰蝶もだ。
何故か惹きつけられる、異様な風体の品々を。
「うむ。可能性が見えると活力も増すな! 明日からの親子喧嘩……次元違いの親子喧嘩か。楽しみじゃな!」
「……楽しみ? 勝つ可能性が見えたからですか?」
「それもあるがワシは『信長』を叱った事が無い! 偉そうに言う事でも無いがな。あ奴が恐ろしくて何も言えんかった。何故か平手の爺だけは遠慮なく殴って叱りつけておったが、『信長』を怒るのは夢じゃったからな!」
「お、お手柔らかに……いや、それでお願いします」
演技とは言え、全員をだます説教というか言い争いだ。
8次元の言い争いがどうなるか分からないが、歌術が飛び交う危険な場を想像し、信長と帰蝶はなるべく誰かの陰に居ようと決心するのであった。
「っとそうだった。コレを渡さねばな」
信秀は玉座の真横に置いてある、信長と帰蝶が気になっていた六振の刀に眼をやった。
信長と帰蝶が気になっていたアレだ。
妙な力を感じる刀を。
「これらは8次元の倅と帰蝶殿がかつて使っていた武器。朱雀炎魔刀、青龍氷魔刀、白虎嵐魔刀、玄武堅魔刀、応龍陽魔刀、麒麟陰魔刀」
「使っていた武器?」
「最後まで使わなかったと?」
「最後は刀の力に頼る必要が無い位に成長したからな。お主らは契約属性に合わせて使えば、詠唱や戦闘の役に立つだろう」
《指輪もそうだったが、前回と展開が違う。こんな大事な武器、貰わなかったぞ》
《私が早々に死んだからじゃないでしょうか?》
《それか》
信長と帰蝶は、それぞれ属性刀を佩き、さらに通常の鉄製の刀を佩き、左右の腰に2本ずつの3次元では傾奇者でしか見たことの無い風体になった。
脇差が無い、全部長刀という異様さだが、中々サマになっている。
「おぉ! 意匠が凄い! 鍔も属性神の紋昇とは洒落ているな! はっきりと分かるぞ! 力が沸き上がるのが!」
「えぇ! これなら、頑張れば2節は行けるんじゃないでしょうか!?」
「そうなる事を願うぞ」
頑張って2節か――
その言葉を信秀と四聖の巫女は飲み込んだのだった。
【創造神パルヴァーネ様のお言葉】
次回からは『ギャグ』はなしだ。
タグに『シリアス』ってあるだろう?
面白かった話はここまで……面白くない? 出しゃばり過ぎ? いい度胸だなッ……!?




