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暗黒の信長と帰蝶 ~異次元の信長Take3~  作者: 松岡良佑
第2章

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20話 ジョブ 足軽補佐代理心得

【時空神ファルファッラ様のお言葉】


「もうそろそろ無くてもいい? でも、いつ初見の人が途中から読むか分からないから、残すしかないわね」


「●●●●●●」通常会話。誰にでも通じる言葉。

《●●●●●●》神言語3。信長と帰蝶と神にしか理解できない神言語含む3次元語。

『●●●●●●』歌術。

【●●●●●●】場所や地名。

(●●●●●●)心の声、またはヒソヒソ声。

【8次元世界下界/尾張国 清須城 広間】


(寒気……いや悪寒か? 何だ? 四聖の巫女は何に注目? 執着? 喜び……いや悦び? なんだこの視線は!?)


 猛烈に嫌な視線を浴びる信長。


(歌術ではないよな? なんじゃこの圧力は!?)


 そう思っていたら、襖の下から風の圧力が噴き出してきた。


「『暴風よ 薙ぎて払うや 竜巻乱気流(たつまきらんきりゅう)! 風飄(ふうひょう)神ペルホネン!!』えぇい! 退けぃ!!」


「きゃあ!?」


 潰されたまま忘れ去られた平手政秀が、歌術を発動させて巫女たちと襖を吹き飛ばした。

 政秀は風と水の心得がある術士でもある。


「信秀様! 光闇の宝玉、聖水、狼の毛や血肉、祝詞の巫女4人、兤陽(こうよう)神の術の補助に使える物を集めればよろしいですな!?」


「ッ! そ、そうじゃ。他には無いな?」


「ッ! は、はい! あとは爺の目から見て使えそうな触媒があれば頼む! 無ければ無いで構わんので爺よ、準備を頼んだ……よ?」


「承知しました!」


 怒気をまき散らしながら政秀が部屋を退出する。

 信秀もビビっている事から、信長の守役でもあり、信秀の右腕的存在なのだろう。


《丸々1話分潰されっぱなしだったから、あの怒りも仕方ないわね》


 ファルがまた『1話』とか言い出す。


《1話分も、何か悪寒を感じる視線を浴びておったから助かったわ》


《悪寒ですか? あれは悪寒というより1話にまたがる……まぁ先に進めましょう》


 信長と帰蝶が第四の壁をナチュラルに壊しつつ政秀を労う。

 この物語の文字数は、1話あたり多くても3000字前後だ。

 しかし、スピンオフの大本の『信長Take3』だったら、最近は5000字前後なので筆者の常識では1話丸々は大げさだが、1話の文字数を少なくしたが故の、悲しき事故でもあろう。


「ふう。爺の怒の説教は長いからな。信長も気をつけよ。唯一8次元の倅も頭が上がらん、強いて言うなら『憤怒神の化身』かのう? まぁそんな神は居らぬが――」


「なるほど《名前は一緒でも性格が違う場合もあるのか? あんな怖い爺ははじめてじゃ》」


《平手殿を困らせていたという記憶はあります。この次元では注意してくださいよ?》


《はいストップ。確かに憤怒神は居ないけど、多分貴方達は憤怒を力に変えられるわ。憤怒神はともかく『怒りの力』は、貴方達に限ってあながち間違いでもないわ。低次元人故にね。でも8次元人は気合や根性、怒りでの術の強化はたかが知れてるわ。基礎術もね。基本的に術の強化は精神力と体力よ! だからあれだけ走らせたんだからね!?》


 それなのに絶望的な基礎術の信長と帰蝶は、稀に見るどころか、史上最低の逸材だった。


《な、なるほど。まぁ3次元でも怒りで力や執念を増大させたりするからのう》


《そうですね。その辺の感覚はわかります》


《じゃ再開!》


「――では巫女達はそちらに待機しておれ。何か指示があるかもしれんからな」


「はい!」


 そういって四聖の巫女たちは、信長に近い場所の壁沿いに座ったと同時に視線の圧力が再開し、信長は謎の視線に身震いする事になった。


「必要な物は可能な限りそろえるとして、どうする? 策はあるんだろう?」


「もちろんです。集めた物を荷車に乗せて……あ、荷車って分かりますか?」


「ニグルマか。わからんな……」


「……そんな気がしてました。この次元では荷物の運搬はどうするので? あ、愚問でしたな。歌術ですな?」


「うむ。今回なら風飄(ふうひょう)神様か暝朧(みょうろう)神様の歌術が相応しかろう。風の力で程よく浮かせるか、闇の力で重力を操るかじゃな」


「ジューリョク?」


「呪力?」


「通じぬか……。重力……こんなに言葉が通じぬとは、とっさの――」


《はいストップ! 重力とは――中略――よ》


《大地に吸い付けられる!?》


《無重力を作る!? 浮くって事ですか!?》


《そうじゃない次元世界もあるけど、ここはそうなの! 変な所で毎回引っかかるんじゃ無いわよ! 再開!》


「――判断で隙ができそうじゃな」


 もう何度目か忘れた、数えるのも面倒なので数えないすれ違い。

 肝心な所で〇〇〇ャッ〇ュしては致命傷になりかねない。


「な、成程。わかりました。今、ファルの奴、いやファルから教えてもらいました。3次元と8次元、言葉は通じるが似て非なる物だと痛感しております。ファルもですが……。とにかく運搬に支障はないのは助かります」


「今集めさせているものなら1節の歌術でよかろう。重量物ほど節が必要になるが、城でも持ち上げるつもりじゃなければ、誰でも何らかの手段がある。全属性でな」


「ならば、問題は無いと言う事で9日目まで待ちましょう」


「策はどうする? 集めさせた触媒を何に使う?」


「策は、まずこの清須城を8日目に破壊します」


「は? 破壊!?」


「どうせ負けたら終わりです。遠慮しては見破られます。つまり城内で意見の相違があり内乱があったと見せかけます。なので歌術を使って派手に行きましょう!」


「それで?」


「それで、勝者陣営に扮した我々が義元に降伏し頭を下げに行きます。この時、噛まれた者は全員連れていきます」


「……それで?」


「そこで義元を倒します。以上です」


「以上……か。肝心な所がぬけておるよな!? いつもなら詳細を聞くが、言わないのは何かの理由が?」


「はいファルの奴も言ってます『ここで全貌を明かすと面白くない』と。『必殺の策はここぞで披露するのが人気の秘訣だ』と。言っている意味が全く不明ですが……」


「私にも良く分からない事を仰っています。誰に対しての人気なのか……ただ、怒られると怖いのでここはご辛抱を」


「意味は分かるが……面白さが戦略に必要なのか……?」


「8次元の常識かと思いましたが?」


「私もです」


「そんな常識は無い!!」


 何いってんの!?

 まったくロマンってものを分かってないわね!?

 ここで全部バラしたら、今川義元との戦いをどう面白く書けば良いのよ!?

 ここで色んな作家が、いろんな方法で誤魔化すんだけど、ここは8次元。

 そして地の文は神の視点!

 このファルファッラがこうして出てき無理やり誤魔化しても問題ないのよ。

 前にも言った?

 うるさいわね!

 運命禍福法のビンタで吹き飛ばすわよ!?


「ただ、秘密にするのに面白さはともかく、理由はあります。間者対策です」


「間者? 文脈から察するにニンジャじゃな? 確かにニンジャマスターに潜まれては発見は難しい」


「忍者とも言いますが『ますたぁ』? 文脈から察するに上忍ですか?」


「ジョーニン? 3次元ではそう表現するのか。ニンジャマスターは簡単に言えばニンジャのジョブを極めた者じゃな」


「じょ、じょぶ?」


「文脈から察するに『丈夫』じゃない、ですよね……?」


「うむ。ジョブとは――」


《ストップ!! 信秀の方も油断ならないわね!? ジョブとは職業の事! 良い!? 貴方達の次元でも、武士、農民、商人、大工とか職業があるでしょう!? ちなみに貴方達のジョブは『見習い底辺足軽士入門(仮)』と、『見習い底辺姫足軽入門(仮)』よ!》


《……もうちょっとワシらの心を傷つけない配慮は無いの?》


《……えぇ。別に『姫足軽見習い』ぐらいでも良いのでは?》


 足軽に入門も仮も無い次元からの来訪者だ。

 雑に言えば名乗った物がそうなる次元だ。

 大体、最初から支配者階級なので足軽と言われる筋合いはない。

 それが意味不明だが下級職業、ジョブだと言うのは伝わった。

 憤慨したいところであるが――


《あの基礎術で?》


《うっ……》


《我々は……最下級ですか?》


《正解! 今までの最低階級の底を突き破って、ブッチギリの史上最低最下位よ! 農民や流人罪人子供よりも下なんだからね!? 足軽にしてあげたのはサービスよ! 本当なら雑兵以下よ!?》


《さぁびす……頑張ってコレも上げろというのだな?》


《雑兵以下……。頑張ります……》


《うん! 分(ぶん)を弁(わきま)えてて偉い!!》


《ありがとうございます(流人罪人子供より下って嬉しくないわ!)》


《何か言った!?》


《ナンデモアリマセン!》


《再開!》


「ジョブとは――む、今ひょっとしてファルファッラ様が割り込んで教えてくれたか?」


「はい」


「では何と?」


「要約すれば……お前らはカスだと」


「見習い底辺足軽入門(仮)と、見習い底辺姫足軽入門(仮)だそうです……」


「ッ!? お、おぉ……8次元に慣れるしかないが……辛いのう? せめてレベルアップの手助けになる様にコレを渡しておこう。『光なす 光銀の箱 鍵解き 光聖宝物庫(こうせいほうもつこ) 兤陽(こうよう)神パーピリオー』」


「ッ!?」


「エッ!?」


 信秀が空間に手を伸ばすと肘から先が空間に飲まれ消えたと思ったら、スグに引き戻した。


「この歌術は空間に干渉して物品を保存しておく歌術。3節なら唱えた場所の半径100mから自由自在に出し入れ可能だ。仮に5節なら場所を問わぬが5節は難しい。だから荷運びには使えぬぞ?」


「そ、そうですか。時空神の歌術かと思いました」


 信長は時空を操って空間を捻じ曲げたのかと思った。

 ならばファルファッラの歌術だ。


「鋭いな。これは時空神ファルファッラ様が六属性神に授けた術といわれる。1節だと唱えた場所の半径1m……あ、一応、言っておこうか。1mとはコレぐらいじゃ」


 信秀がメートルを知らぬと見抜き、手で広さを示した。

 尺貫法で生きてきた信長と帰蝶には全く分からないメートル法だが、なぜか(●●●)こちらの方が頭に入りやすいので、素直に従った。

 決して尺貫法への変換が面倒だから、メートル法を採用した訳ではないのは明記しておく。

 なにせ8次元なのだ。

 3次元の常識で考えてもらっては困るよ?


「なるほど。1めぇとるとは大体3.3尺ほどですか……コレは輪っか?」


 信秀から受け取った輪を見る信長と帰蝶。


「小さい輪ですね。あ、指にピッタリです! これで殴れと?」


 体術の心得がある帰蝶である。

 この謎の輪を暗器の一種と推察した。


「殴る!? ま、まぁ殴っても壊れやせんが、これは倅と帰蝶殿の唯一の遺品。いつか何かの役にたつかもしれぬ。指にはめれば、僅かじゃが術の強化になるじゃろう。あと一応言っておくと、光聖宝物庫(こうせいほうもつこ)を唱えた場所を忘れると、永遠に封印した物を失うから気をつけよ」


 信秀は次元違いの息子とその嫁を労わるのであった。

【時空神ファルファッラ様のお言葉】

ちなみに画面の前の人のジョブは『読者』よ。

ジョブレベルが上がって『読者マスター』を目指しなさい。

レベルアップ方法は、言わなくても理解してるわよね?

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