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追放された《解読》士、魔王が世界を守っていると気づく  作者: 北こたろう


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古い結界

朝になる頃には、

空の亀裂も薄くなっていた。


 だが消えてはいない。


 黒い傷跡のように、

空へ残り続けている。


 魔王軍の男は、

夜明け前には姿を消していた。


「これ以上は話せない」


 そう言い残し、

森の奥へ消えていった。


 まるで最初から、

闇へ溶けるように。


 リナはしばらく、

その方向を見つめていた。


「……あの人が来るの、

 かなり珍しい」


「強いのか」


「魔王軍でも上位。

 でも滅多に前へ出ない」


 レイは静かに空を見る。


 魔王軍側も、

余裕があるようには見えなかった。


 空の亀裂。


 暴走魔物。


 世界崩壊。


 何かが、

確実に進行している。


「……戻るのか」


 後ろからリナの声がする。


「確認したいことがある」


「軍?」


「いや」


 レイは小さく首を振った。


「教会だ」


 男の話が正しければ、

軍は何かを隠している。


 だが、

全てを軍だけで処理できるとは思えなかった。


 情報量が多すぎる。


 亀裂。


 暴走魔物。


 土地の腐敗。


 長期間に渡る魔王軍の異常行動。


 なら、

もっと前から記録があるはずだ。


 そしてこの世界で、

最も古い記録を持つのは教会だった。


「……行くの?」


 リナが不安そうに聞く。


「問題あるか」


「人間の街だよ」


「お前は入らない方がいいな」


「そういう意味じゃない」


 リナは少し黙り込み、

やがて視線を逸らした。


「お前、

 そのまま戻ったら殺されるかも」


 レイは否定しなかった。


 追放はされた。


 だが、

魔王軍と接触したことまで知られれば、

今度は裏切り者扱いされる。


 それでも。


「確認しないと進めない」


 リナは小さく息を吐く。


「……ほんと変」


「そうかもな」


 その時だった。


 レイの視線が、

村の石壁へ止まる。


「どうしたの」


「……妙だな」


 壁へ近づく。


 焼け焦げた石材。


 そこへ、

薄く何かが刻まれていた。


 レイは指で灰を払う。


 古い文字。


 いや。


 魔法式に近い。


「これは……」


 《解読》が反応する。


 頭の奥で、

情報が繋がっていく。


 劣化している。


 だが読める。


「結界?」


 リナが目を見開く。


「分かるの?」


「村全体へ張られていた痕跡がある」


「そんなの聞いてない」


「お前たちも知らなかったのか」


 レイは壁を見つめる。


 かなり古い。


 最近の術式じゃない。


 少なくとも数十年以上前。


「……なんでこんな場所に」


 さらに読み取る。


 術式構造。


 魔力循環。


 中心座標。


 その瞬間、

レイの表情が変わった。


「これは対魔族用じゃない」


「え?」


「対象が違う」


 リナの顔が強張る。


「じゃあ何を防ぐ結界なの」


 レイは少し黙る。


 術式の構造が異常だった。


 普通の防衛術式じゃない。


 もっと——。


「……空間干渉?」


 理解した瞬間、

背筋へ寒気が走る。


 この結界。


 空の亀裂を抑えるためのものだ。


 つまり。


「この世界、

 昔から壊れ始めていたのか……?」

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